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2026年1月17日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年1月17日)

目次
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この記事のポイント

  1. Shopify社長がエージェンティックコマースで「merit-based shopping」の時代到来を宣言
  2. Google vs OpenAI、エージェンティックコマースのビジネスモデル戦争が本格化
  3. ベトナムEC市場が35%成長、クロスボーダーではTemuがAmazonと並ぶ

今日の注目ニュース

Shopify社長「エージェンティックコマースがmerit-based shoppingを実現する」

Shopify社長のHarley Finkelstein氏がNRF 2026でRetail Brewの取材に応じ、エージェンティックコマースが小売業界に「merit-based shopping(実力主義のショッピング)」をもたらすと語った。

Finkelstein氏は「AIエージェントベースのショッピングはEC浸透率を高め、最終的にはブランド間の競争条件を平等にする」と述べた。Shopifyは先日Googleが発表したUniversal Commerce Protocol(UCP)の共同開発パートナーとして参加しており、Walmart、Targetなど20社以上が支持している。

UCPにより、AIエージェントがディスカウントコードの適用、ロイヤルティアカウント情報の入力、サブスクリプション購入などを消費者に代わって実行できるようになる。Shopify加盟店はGoogle検索のAI ModeやGeminiアプリを通じた販売が可能になる。

Finkelstein氏は「エージェンティックコマースは多くのブランドが抱える不安や課題に対応するもの」と強調。17年間業界に携わってきた経験から、ソーシャルコマースやRobloxでの販売など新しい販売チャネルが登場するたびにShopifyはそれを可能にしてきたと振り返り、AIエージェントもその延長線上にあると位置づけた。

エージェンティックコマース

Google vs OpenAI:エージェンティックコマースのビジネスモデル戦争

GoogleとOpenAIがエージェンティックコマースで全く異なるビジネスモデル戦略を展開している。FourWeekMBAの分析によると、これは単なる機能競争ではなく「ビジネスモデル戦争」だという。

Googleは「Direct Offers」広告をAIに組み込み、CPC(クリック課金)モデルで2640億ドル以上の広告帝国を守る戦略。一方OpenAIは広告なしのオーガニック検索結果のみを提供し、取引ごとに少額の手数料を徴収するモデルを採用している。

注目すべきデータとして、ChatGPT経由のコンバージョン率が11.4%と直接アクセスの6%のほぼ2倍に達していること、2025年ホリデーシーズンのAIトラフィックが前年比700%成長したことが挙げられる。現在、UCP(Google主導)、ACP、MCPの3つの競合プロトコルが存在し、どちらが加盟店の支持を得るかが今後10年のAIコマースの経済性を決定する。

Checkout.com、AIエージェンティックコマースに戦略フォーカス

決済インフラ大手のCheckout.comが、AIエージェンティックコマースへの戦略的注力を発表した。同社は「エージェンティックコマース」をテーマにした無料ウェビナーの開催を告知し、AIショッピングエージェントと決済システムの連携について解説する。

エージェンティックコマースの普及にはエージェンティック決済インフラの対応が不可欠であり、Checkout.comのような決済プロバイダーの参入は市場の成熟を示す重要なシグナルと言える。

エージェンティックコマース普及予測:バイオメトリクス・デジタルIDの教訓

Javelin Strategy & Researchのアナリストは、バイオメトリクス認証やデジタルIDの普及パターンがエージェンティックコマースの成長予測に示唆を与えると分析している。

Amazonのパーム決済システムなど、バイオメトリクス技術は数年間の開発を経ても依然としてパイロット段階にとどまっている。デジタルIDも州によって展開状況にばらつきがある。しかし2026年には、デジタルIDを提供する州が50%を超え、「鶏と卵」問題が解消に向かう見込みだ。

エージェンティックコマースについては、2026年が多くの人にとって「初めての出会い」の年になると予測。2025年には本番環境に到達したものがほとんどなく、今年は技術的課題の解決と問題の表面化が進む「期待外れに感じる人もいるかもしれないが、自然な発展段階」だという。

AIコマースツール

Alibaba、主力AIアプリにショッピング機能を統合

Alibabaが自社AIアプリ「Qwen」にTaobao、Alipay、旅行サービスFliggy、地図アプリAmapを統合する大型プロジェクトを発表した。約1億人のQwenユーザーが、AIの支援を受けながら買い物、旅行予約、決済を単一プラットフォームで完結できるようになる。

この統合は中国国内でパブリックテストが開始された。Alibabaはインフラとして530億ドル以上の投資計画を表明しており、ByteDanceのDoubaoなど国内ライバルとの競争が激化する中での戦略的な動きとなる。

AmazonやMetaなど世界の大手企業がAIエージェントによるタスク実行(agentic AI)を探求する中、既に「スーパーアプリ」として数百のサービスを運営するAlibabaやTencentは、この分野で初期優位性があるとされている。

NRF 2026でAIが主役に

ニューヨークで開催中のNRF 2026「Big Show」では、AIが小売業界における役割を急速に拡大していることが議論の中心となった。

NRF理事会議長のBob Eddy氏は開会挨拶で「What's happening next is happening now(次に起こることは今起きている)」と宣言。展示会場では、チャットボットや仮想アシスタントといった初期段階のAIツールから、店舗運営やEC運用の意思決定を自動化するより高度なシステムへと話題がシフトした。

小売企業は2026年に技術革新を積極的にアピールしており、人気のAIチャットボットを運営する外部テック企業との提携から、社内でのAIエージェント構築まで、様々なアプローチが見られる。

グローバルEC動向

ベトナムEC市場、2025年に35%成長で160億ドル超に

ベトナムのEC市場が急成長を続けている。データ調査プラットフォームMetric.vnによると、2025年にベトナムの消費者は1日あたり約4,450万ドル(約1.17兆VNĐ)をオンラインショッピングに費やした。

主要4プラットフォーム(Shopee、TikTok Shop、Lazada、Tiki)の年間売上は429兆VNĐに達し、前年比34.8%増となった。市場シェアではShopeeが56%、TikTok Shopが41.3%と2強体制が確立。Lazada・Tikiは合計3%に縮小した。

注目すべきは、2024年には64%だったShopeeのシェアが56%に減少し、29%だったTikTok Shopが41.3%に急伸した点。美容品(29.5%)、ホーム・リビング、レディースファッションが売上上位カテゴリで、健康、子供服、文具が80%増と最も成長が速い。

クロスボーダーEC:TemuがAmazonと並ぶ、中国が38%を占有

International Post Corporation(IPC)の「Cross-border E-Commerce Shopper Survey 2025」によると、クロスボーダーECの勢力図が劇的に変化している。

最も衝撃的なデータは、消費者の直近のクロスボーダー購入先としてTemuとAmazonがともに24%で並んだこと。Temuは2022年にはわずか1%、2021年には存在すらしなかった。3年でEC世界王者に追いついた計算になる。

現在のランキングは、Amazon 24%、Temu 24%、Shein 9%、AliExpress 8%、eBay 5%、Zalando 3%。Temuの成長はAmazonからではなく、中間プラットフォームから奪ったもので、Wishは2018年から95%、eBayは68%、AliExpressは33%のシェアを失った。中国は越境EC購入の38%を占め、圧倒的な存在感を示している。

企業動向・提携

SaleCycle、仏BEYABLEを買収しヨーロッパMartech連合を形成

英国ゲーツヘッドに拠点を置くECパフォーマンス技術企業SaleCycleが、フランスのオンサイトパーソナライゼーション企業BEYABLEを買収した。両社は統合により、エンタープライズECブランド向けの欧州Martechプラットフォームを構築する。

統合後のプラットフォームは、ID解決、行動インテント スコアリング、オンサイトパーソナライゼーション、A/Bテスト、メール・SMS・WhatsApp・RCSを横断するリマーケティング機能を提供する予定。SalesforceやAdobeなどの大規模マーケティングクラウドの補完的存在として、APIファーストの軽量な代替手段を目指す。

まとめ

本日のニュースでは、NRF 2026を舞台にエージェンティックコマースが一気に実装フェーズに入った様子が鮮明になった。Shopify社長の「merit-based shopping」発言は、AIエージェントがブランドの規模ではなく製品の実力で選ばれる時代の到来を示唆している。

一方、GoogleとOpenAIのビジネスモデル戦争は、広告モデル vs 取引手数料モデルという根本的な対立軸を浮き彫りにした。どちらが加盟店の支持を得るかで、今後10年のAIコマースの経済構造が決まる。

グローバル市場では、ベトナムの35%成長やTemuのAmazon追撃など、アジア発の急成長が続いている。明日以降は、NRF 2026で発表された各社のAI戦略の詳細と、それが実際のEC事業者にどう影響するかに注目したい。