この記事のポイント
- ForresterがCX Forum East(NYC 6/16-17)・West(SF 6/29-30)でEmily Pfeiffer氏らによるAgentic Commerce Workshopを開催
- テーマは「FOMOからフォーカスへ」、自社の商品・顧客・チャネル成熟度に基づく優先順位設計を支援
- パネル中心の他カンファレンスと異なり、6つの実務問いに沿ったハンズオン形式で持ち帰れる成果物を重視
なぜ今「正しい問い」のワークショップなのか

Join Emily Pfeiffer and Chuck Gahun for interactive workshops at Forrester's CX Forums in New York City (June 16-17) and San Francisco (June 29-30).
www.forrester.com2026年5月、Forresterのプリンシパルアナリスト Emily Pfeiffer氏は、6月開催のCX ForumでChuck Gahun氏とともに「Catalyze Agentic Commerce — How To Move from FOMO to Focus」と題したインタラクティブワークショップを実施すると発表しました。会場はニューヨーク市(CX Forum East、6月16〜17日)とサンフランシスコ(CX Forum West、6月29〜30日)の2拠点です。
Pfeiffer氏は冒頭で印象的な指摘をしています。日々企業から「エージェンティックコマースにどう関わるべきか」「商品をAnswer Engineにどう載せるか」という相談が寄せられるが、それは多くの場合「間違った起点」からの問いだと述べています。本来必要なのは、自社のブランド・商品・顧客に立ち返り、新しいチャネルを優先すべきかどうかを判断することです。
このワークショップが投げかけるメッセージは明確です。技術選定や実装手順を急ぐ前に、戦略の起点を整える時間を取るべきだ──Forresterが提示する「正しい問い」は、エージェンティックコマースに関する議論を一段引き上げる役割を担います。
ワークショップで扱う6つの問い
Pfeiffer氏とGahun氏は、参加企業が自社にあてはめながら答えを探すべき6つの問いを提示しています。最初の問いは「現在どのような形態のAgentic Commerceが存在するのか」です。自社サイトのようなowned環境と、ChatGPTのようなAnswer Engineに代表されるnon-owned環境の両方を視野に入れなければ、エージェンティックコマース全体像は捉えられないとされます。
続く問いは「顧客はAnswer Engineショッピングをどう受け入れているか」です。デモグラフィック特性や消費者トレンドを踏まえつつ、自社顧客がどこで・どう買いたいのかへ思考を引き戻すパートになります。新興チャネルでもエンゲージメントの高い体験を作れれば、コンバージョンとリテンションの両立が可能だという視点が示されます。
3つ目の「Agentic Commerceのビジネスインパクトは何か」では、組織の体験技術成熟度に応じて機会とリスクが変化することを掘り下げます。Forresterはここで成熟度の次元を提示し、参加者が自社のreadinessと次の一手を見極められるよう支援します。
4つ目以降は、より実務に踏み込みます。「自社商品はAnswer Engine販売に向いているか」では、インタラクティブな演習を通じて商品・ブランド・顧客との適合度を判定します。「今優先すべきかどうか」を明言できる状態で持ち帰れる点が、このセクション最大の価値です。
最後の2つの問いは、より広い戦略との接続を扱います。「Agentic Commerceは大きなコマース戦略にどう収まるか」と、市場ボラティリティが続く中での投資判断のプレッシャーテストです。Forresterは、owned・third-party双方を含む俯瞰視点に引き上げたうえで、参加者の戦略を圧力検証するアプローチを採ります。
既存研究との連動とFOMO脱却の意義
このワークショップは、Forresterが2026年に積み重ねてきた一連のリサーチの集大成という性格を持ちます。Pfeiffer氏らは別記事Forresterが指摘する「信頼ギャップ」で、消費者がエージェントによる購買を委ねるには3つの「信頼フロンティア」を越える必要があると論じてきました。Answer Engineでの商品発見、AIによる購買代行、標準規格と消費者保護──いずれも企業が技術導入だけでは解けない論点です。
Pfeiffer氏はまた、ソーシャルコマースの教訓を引きながら「If you build it, they will come(作れば来る)」はもはや通用しないと警告しています。"Buy"ボタンを置けば売れるという発想は、ソーシャルコマースの停滞で否定されました。エージェンティックコマースで同じ轍を踏まないためには、自社顧客が本当にそのチャネルにいて、買う気でいるのかを起点にした判断が欠かせません。
「FOMO(取り残されることへの恐怖)からFocus(集中)へ」というタイトルは、こうした文脈に直接根ざしています。Forrester自身のサーベイでも、Answer Engineを商品発見に使う米国成人は2025年2月の18%から10月の19%へと微増にとどまり、OpenAIのInstant Checkoutを利用した米国成人は10月時点で8%に過ぎません。市場全体のペースが想像より緩やかなのに、企業側だけが先走っている状態を冷静に見直す機会として、このワークショップは設計されています。
他カンファレンスのAgenticパネルとの違い
Adobe Summit、Shoptalk、NRF Big Showといった大規模カンファレンスでも、2026年に入ってからエージェンティックコマースのパネルセッションが急増しました。しかし、それらの多くは事例紹介中心で、参加者が自社の意思決定に持ち帰れる成果物を欠くという課題が指摘されてきました。プラットフォーマーや先行企業のスピーカーが舞台に上がる構成では、観客が情報を消費するに留まりがちです。
Forrester Workshopが提供する価値は、ここから明確に分岐します。アナリスト2名が伴走するハンズオン形式で、6つの問いを順に検討しながら、参加者自身が自社のreadiness診断と優先順位付けを進めます。Forrester CX Forum Eastの公式案内によれば、会場は400名未満の少人数構成で、アナリストとの1対1ミーティングや小グループ討議を組み合わせる設計です。
Forresterは事後フォローも仕組み化しており、有料参加者には2本の補完リサーチレポートと「CX Starter Kit」と呼ばれるテンプレート群が提供されます。パネル視聴で終わらず、自社のCX・マーケティング・デジタル施策の優先度設計に直結させる──ここがコンサル付きワークショップ形式ならではの差別化ポイントです。
EC事業者・CX担当者が準備すべきこと
参加検討にあたり、まず確認したいのは社内の送り込みメンバーです。Forresterのテーマ設定からすると、デジタルコマース責任者、CX担当役員、商品データ・カタログ管理のリーダー、決済・チェックアウトのプロダクトオーナーが揃って参加することで、ワークショップの議論を実装計画にまで落とし込めます。一人で参加する場合でも、社内の意思決定者と事前に問いを共有しておくと帰社後の展開がスムーズです。
事前準備の柱は3つです。第一に、自社の商品データ品質と在庫連携の現状を棚卸しすること。Pfeiffer氏は別記事で、Answer Engineに正確な商品フィードを送れるかどうかがチャネル成功の鍵だと指摘しています。第二に、自社顧客の利用デバイスやAnswer Engine接触状況のデータを揃えること。第三に、現行のチェックアウトUXとブランド体験で、AIエージェント連携時にどこが破綻しそうかを仮説化しておくことです。
期待アウトプットは、参加者が「自社にとってAgentic Commerceを今優先すべきか」を明言できる状態で帰ることだとForresterは明記しています。さらに、現行コマース戦略にどう組み込むかの俯瞰視点と、市場ボラティリティに耐える判断軸を持ち帰れる構成です。Forresterクライアントであれば、フォーラム後にguidance sessionを予約してワークショップで得た仮説を深掘りできるため、組み合わせて活用するのが最も投資対効果が高い使い方になります。
まとめ
Forrester Agentic Commerce Workshopは、エージェンティックコマースの議論を「やるべきか・どう進めるか」から「自社にとっていま優先すべきか」に引き戻す試みです。Pfeiffer氏とGahun氏は、ソーシャルコマースの停滞や2025年の消費者調査データを踏まえ、企業が陥りがちなFOMO主導の意思決定に冷静なフレームを提供します。
CX Forum EastとWestはいずれも400名未満の少人数構成で、定員に達し次第クローズされる見込みです。Forresterは並行してState of Agentic Commerceウェビナーをオンデマンド配信しており、参加判断の前に内容感を確認することもできます。
EC事業者・CX担当者にとって2026年6月は、自社のagentic readinessをアナリスト同席で検証する数少ない機会です。Answer Engine上で在庫と価格の整合が崩れる前に、商品・顧客・チャネルの三方向から優先順位を設計し直す戦略リセットの場として、このワークショップは活用に値します。




