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2026年2月26日

CircleがUSDCをエージェンティックコマースの決済基盤に位置づけ ── Q4売上77%増、AIエージェント決済が新たな成長ドライバーに

目次
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この記事のポイント

  1. CircleがQ4 2025決算でUSDCのエージェンティックコマース決済基盤としての戦略を明示
  2. オンチェーン取引量247%増、AIエージェント決済の約99%がUSDCを利用する状況に
  3. EC事業者はステーブルコイン決済とx402プロトコルへの対応検討が今後の差別化要因に

CircleがAIエージェント経済における「決済インフラ」としての地位を宣言

2026年2月25日、ステーブルコイン大手のCircle Internet Group(NYSE: CRCL)は2025年第4四半期および通期の決算を発表しました。CEOのJeremy Allaire氏は決算説明会の中で、AIエージェントがインターネット上で自律的に取引を行うエージェンティックコマースがUSDCの新たな需要ドライバーになっていると明言しています。

Allaire氏は決算説明会で、数百億規模のAIエージェントがインターネット上でやり取りする時代が到来しつつあり、それが金融システムに史上最大の変革をもたらすとの見解を示しました。Q4の売上高は7億7,000万ドル(前年同期比77%増)、純利益は1億3,300万ドルで、前年の300万ドルから大幅に改善しています。

業界動向

エージェンティックコマースとは、AIエージェントが人間に代わって商品の検索・比較・購入・決済を自律的に行う仕組みです。2025年後半から急速に注目を集め、StripeGoogleMastercardなど決済・テクノロジー大手が相次いでインフラ整備に乗り出しています。

この流れの中で、決済手段としてのステーブルコインが急浮上しています。AIエージェントはクレジットカード番号を保持できず、銀行口座も持ちません。一方でステーブルコインはプログラマブル(ソフトウェアによる自動制御が可能)であり、ブロックチェーン上でサブ秒単位の即時決済が可能です。AIエージェントにとって最も相性の良い決済手段として、業界の認識が固まりつつあります。

Circleはこの潮流を先取りする形で、Agentic AI Foundationに加盟し、GoogleのA2A(Agent2Agent)プロトコルやAP2(Agent Payments Protocol)にも参画しています。ステーブルコインの発行者から「AIエージェント経済の金融インフラ提供者」へと、自社の位置づけを明確にシフトさせています。

USDCの急成長とArcネットワークの全貌

Circleの業績は、エージェンティックコマースの勢いを数字で裏付けています。2025年Q4決算によると、USDC流通量は753億ドル(前年比72%増)に達し、オンチェーン取引量は11.9兆ドル(同247%増)まで拡大しました。有意義なウォレット数は680万で前年比59%増加し、USDCは現在30のブロックチェーンに展開されています。

PYMNTS.comの報道によると、Circleは自社を暗号資産の発行者ではなくグローバル経済の「ミドルウェア」と位置づけています。具体的には以下の4層で構成される「インターネット金融OS」の構築を進めています。

Circle Payments Network(CPN)。 リアルタイムのグローバル決済ネットワークで、現在55の金融機関が参加し、さらに74機関が審査中です。年間換算の取扱高は57億ドルに達しています。

Arc。 エンタープライズ向けブロックチェーンで、テストネットでは1億6,600万件のトランザクション(1日平均230万件)を処理済みです。メインネットは2026年中にローンチ予定です。Allaire氏はArcを「高速道路」にたとえ、あらゆる資産発行者がこのインフラを利用できると説明しています。

x402プロトコル対応。 HTTPネイティブの決済規格であるx402に対応し、AIエージェントがAPI呼び出しと同時にマイクロペイメント(少額決済)を実行できる仕組みをGatewayに統合しています。Nanopayments機能により、0.000001ドルという極小単位の決済も可能です。

StableFXとUSYC。 外国為替のリアルタイム変換とトークン化されたマネーマーケット商品を提供し、ステーブルコインの用途を決済以外に拡張しています。

EC事業者への影響と活用法

Circleの戦略は、EC事業者にとって3つの観点で注目に値します。

AIエージェント決済の標準化が進んでいます。 StripeはX402決済をBase上で統合し、VisaはUSDCでの加盟店決済を米国で許可しています。さらにAkeneoがStripeのAgentic Commerce Suiteと連携するなど、従来のEC基盤とステーブルコイン決済の接続が急速に進んでいます。AIエージェントが商品を発見・購入する際の決済手段としてUSDCが事実上の標準になる可能性を視野に入れるべきです。

クロスボーダー取引のコスト構造が変わります。 従来の国際決済では中間業者の手数料と数日の処理時間が必要でした。USDCとArcを組み合わせれば、サブ秒単位での即時決済が可能になります。越境ECを展開する事業者にとって、決済コストの大幅な削減と顧客体験の改善が見込めます。

段階的な対応が現実的です。 現時点でステーブルコイン決済を全面導入する必要はありません。まずはStripeやCoinbase Commerce経由でUSDC決済を受け入れるオプションを追加し、AIエージェントからの購入リクエストに対応できる環境を整えることが第一歩です。x402プロトコルの動向を注視しつつ、自社APIのエージェント対応(構造化データの提供、プログラマブルなチェックアウトフロー)を進めることが推奨されます。

まとめ

Circleの決算は、ステーブルコインがエージェンティックコマースの「決済レール」として実際に機能し始めていることを示しています。247%のオンチェーン取引量増加は、AIエージェントによるマシン間決済の急拡大を反映したものです。

Circleは2026年のUSDC流通量について年平均40%の成長率を目標に掲げており、Arcメインネットの稼働開始がその達成に向けた重要なマイルストーンとなります。EC事業者にとっては、StripeやVisaといった既存の決済パートナーがステーブルコイン対応を進めている今が、AIエージェント時代の決済戦略を検討するタイミングです。