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2026年1月12日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年1月12日)

目次
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この記事のポイント

  1. commercetoolsがNRF 2026でStripe ACS・AI Hub連携を発表、JD Sportsが初採用
  2. Coupangデータ漏洩問題で韓国FTCが事業停止の可能性を示唆
  3. Ant InternationalがGoogle UCPをサポート、アジア決済のエージェンティック化が加速

今日の注目ニュース

commercetoolsがNRF 2026でエージェンティックコマース戦略を発表、JD Sportsが初の採用企業に

commercetoolsがNRF 2026において、エージェンティックコマースへの本格参入を示す複数の発表を行った。

同社はStripeが開発したAgentic Commerce Suite(ACS)との統合を発表し、JD Sportsが初の採用企業として名乗りを上げた。JD SportsはcommercetoolsのAgentic JumpstartとACSを組み合わせ、大規模言語モデル(LLM)やAIアシスタントを通じた商品発見から、安全なチェックアウト・決済までを一貫して実現する。

また、AI Hubの機能拡張も発表された。AI Hubは、小売企業が既存のcommercetools環境を大きく変更することなく、AIエージェントから商品を発見可能にし、取引を完結できるようにする基盤技術である。これにより、エージェンティックコマースへの参入障壁が大幅に下がることが期待される。

新規顧客としてNespressoの採用も発表された。同社の創業者兼CIOであるDirk Hoerig氏は「2025年はAI主導の世界でDiscoverability(発見可能性)がどう変わるかを理解する年だった。2026年は、その理解を行動に移す年だ」と述べ、エージェンティックコマースの実用化フェーズへの移行を強調した。

韓国FTCがCoupangの事業停止の可能性を示唆、データ漏洩問題で

韓国公正取引委員会(FTC)の朱炳基(チュ・ビョンギ)委員長は、Coupangに対する一時的な事業停止命令の可能性を示唆した。

12日のラジオインタビューで朱委員長は「是正命令が実施されない場合、または消費者救済に不十分と判断される場合は、事業停止も可能だ」と述べた。Coupangは昨年12月25日、元従業員による3,370万件のユーザーアカウント情報への不正アクセスがあったと発表していた。

この元従業員は、2022年11月から2024年まで同社IT部門で働いていた43歳の中国籍の人物とされる。内部セキュリティキーを盗用し、約3,000件のアカウントのデータ(氏名、メールアドレス、電話番号、住所、限定的な注文情報、およびマンションのエントランスコード2,609件分)を実際に保存したとされる。

Coupangはこれに対し、被害者への補償として1.69兆ウォン(約1,700億円)相当のプラットフォーム専用バウチャーを発表したが、科学技術情報通信部はこの調査結果を「一方的で不完全」と批判している。また、50万人以上がオンラインコミュニティで集団訴訟フォーラムに参加し、法律事務所が1人あたり20〜30万ウォンの賠償を求める訴訟を提起している。

決済・フィンテック

Ant InternationalがGoogle UCPをサポート、アジア決済大手のエージェンティック参入

Ant Internationalが、GoogleのUniversal Commerce Protocol(UCP)への対応を発表した。アジア太平洋地域を中心に18億のユーザーアカウントと1.5億の加盟店を抱える同社の参入により、エージェンティックコマースのグローバル展開が加速する。

Ant Internationalは、Alternative Payment Methods(代替決済手段)とデジタルウォレットにおける専門性を活かし、エージェンティック決済ソリューションを開発している。同社のAntom EasySafePayを活用することで、ユーザーはAI体験から離れることなく、ショッピングからチェックアウトまでを完結できる。

セキュリティ面では、Multi-Party Computation(MPC)ベースのAIリスク管理とモバイルデバイスセキュリティシステムを活用し、不正取引の検知・ブロックを行う。また、アカウント乗っ取り詐欺に対しては決済パートナー向けの返金保証も提供する。

同社のJiang-Ming Yang最高イノベーション責任者は「Googleとの協業を深め、エージェンティックコマースのエコシステムをサポートできることを嬉しく思う。当社の決済能力を活用し、マーチャントフレンドリーでシームレスなユーザー体験とエンドツーエンドの信頼を提供する」と述べた。

AIコマースツール

Fluent CommerceがAI駆動のA/Bテスト機能を発表、フルフィルメント最適化を自動化

Fluent Commerceが、受注管理システム(OMS)向けのAI駆動A/Bテスト機能を発表した。この機能により、小売企業は複数のオーダーソーシングロジックを並行してテストし、最適な戦略を自動的に特定できる。

従来、フルフィルメント戦略の比較は困難で、多くの企業が「経験と勘」に頼っていた。新機能では、粗利益、配送コスト、分割配送率、注文から配達までの時間、平均配送距離などの指標をリアルタイムで比較できる。さらに、AIが勝利したソーシングロジックを自動的に本番適用する機能も備える。

同社CEOのGraham Jackson氏は「オーダーソーシングはコマースで最も複雑な意思決定ポイントの一つであり、これまでは静的なルールと直感に頼っていた。AIをA/Bテストの設計と実行の両方に適用することで、小売企業は推測から確信へと移行できる」と述べた。

パイロットプログラムは2026年上半期に一部既存顧客向けに提供開始、一般提供は2026年下半期を予定している。

企業動向・提携

PacsunがソーシャルコマースアプリPS Community Hubをローンチ、Gen Z/Gen Alpha向け

Pacsunが、ソーシャルコマースとクリエイターエコノミーを融合させた独自プラットフォーム「PS Community Hub」を発表した。NRF 2026で公開された同アプリは、従来の小売アプリやロイヤリティプログラムとは異なるアプローチを採用している。

ユーザーはコンテンツの投稿、フォロワーの構築、アフィリエイト報酬の獲得が可能。トップクリエイターにはPacsunとのカプセルコレクション共同制作の機会も用意される。AIはコンテンツ審査、パーソナライゼーション、カスタマーサービス、アナリティクスに活用されている。

Gen ZおよびGen Alphaをターゲットとした次世代モバイルプラットフォームとして、ブランドと消費者の関係性を再定義する試みと言える。

グローバルEC動向

スペインEC市場が2025年Q2に過去最高を更新、前年比22.6%成長

スペインのEC市場が2025年第2四半期に過去最高の売上を記録した。規制当局CNMCの最新データによると、売上高は283億ユーロに達し、前年同期比22.6%の成長となった。

この成長を牽引しているのは、旅行、エンターテインメント、ストリーミングなどのデジタルサービスである。また、モバイルコマースの浸透も顕著で、2025年第1四半期には全EC取引の71%がモバイル経由で行われた。

物流面では、Correos、SEUR、GLSなどの配送業者がシステムを強化し、平均配送時間が前年比25%短縮された。主要都市圏では当日・翌日配送が標準となりつつある。

市場予測によると、スペインのEC市場は2025年から2029年にかけて年平均8.21%で成長し、2029年には564.6億ドル規模に達する見込みである。

まとめ

1月12日のEC・AIコマース業界は、NRF 2026の発表が引き続き話題の中心となった。commercetoolsのStripe ACS連携とJD Sportsの初採用は、エージェンティックコマースが実験段階から実装段階へ移行しつつあることを示している。

一方、Coupangのデータ漏洩問題は、ECプラットフォームにおけるデータガバナンスの重要性を改めて浮き彫りにした。3,370万件という大規模な個人情報流出に対し、韓国当局が事業停止の可能性まで言及したことは、アジアのEC業界全体への警鐘となるだろう。

Ant InternationalのGoogle UCP対応は、エージェンティックコマースがアジア市場でも本格化する兆候である。18億ユーザーを擁する同社の参入により、アジア太平洋地域でのAIエージェント経由の決済が加速することが予想される。

明日以降は、NRF 2026で発表された各社の詳細な実装計画や、GoogleのUniversal Commerce Protocolを採用する新たなパートナー企業の動向に注目したい。