この記事のポイント
- Mondelezが$35億規模のデジタルコマース戦略をAI検索・エージェンティックコマース対応に全面刷新——Oreoのチャットボット推薦率を10%→70%に改善
- Google Adsがエージェンティックコマース時代のプロダクトデータ最適化戦略を公開——構造化データと「意図理解」が新たな競争軸に
- Bazaarvoiceが特許出願中のAIレビュー発見APIを提供開始し、Two BoxesやZellorなどAIコマース特化スタートアップへの投資も活発化
今日の注目ニュース
Mondelez、$35億デジタルコマース戦略をAI検索時代に全面刷新

Mondelez is aggressively shifting its digital commerce strategy to optimize for AI, ensuring brands like Oreo dominate agentic search.
digiday.com世界的CPG企業のMondelezが、$35億規模のデジタルコマース事業をAIエージェント・AI検索に最適化する形で全面的に作り直すと発表しました。きっかけは、リテールパートナーが2028年までにサイトトラフィックの30%がAIエージェント経由になると予測したことです。
同社はまず、AIボットクローラーのブロックを解除しました。ブロックしていた間、OreoがAIチャットボットのクッキー推薦で引用される割合はわずか10%だったといいます。解除後、構造化データの整備・サイトマップの最適化・AI向けコンテンツのスケーリングという3本柱の改革を実施し、特定クエリでのOreo推薦率は70%まで改善しました。VP Andrew Lederman氏は、1〜2年以内にMondelez製品購入の20〜30%がエージェント経由になると予測しています。
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Google Ads、エージェンティックコマースに必要なプロダクトデータ戦略を語る

By making search more natural and conversational, AI is creating myriad opportunities for retailers to deepen their understanding of shopper intent.
www.retailtouchpoints.comRetail TouchPointsがGoogle Adsチームに独占インタビューを実施し、エージェンティックコマース時代にプロダクトデータをどう管理・最適化すべきかが明らかになりました。AIによる検索の自然言語化・会話化が進む中、リテーラーが「ショッパーの意図」をより深く理解する機会が生まれているとGoogle側は述べています。
構造化データ、商品フィードの品質、リアルタイム在庫情報の正確性が、AIエージェントによる商品推薦の精度を左右する鍵になります。従来のSEO最適化とは異なり、AIが「読み取れる」形式でプロダクト情報を整備することが、今後のEC競争力を決定づけるとの見解です。
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エージェンティックコマース
エージェンティックコマースがトランザクションデータを「ノイジー」にする——Sallie's幹部が警告
Agent-driven transactions that optimize purchases based on price and other factors will disrupt the closed-loop foundation that…
www.beet.tvリテールメディア分析企業Sallie'sのMarco Steinsieck氏が、エージェンティックコマースがトランザクションデータの「クローズドループ」を破壊すると指摘しました。AIエージェントが価格最適化を行い、従来とは異なる購買パターンを生み出すことで、リテールメディアの測定・アトリビューションの基盤が揺らぐという警告です。
広告主やリテーラーがこれまで築いてきた「購買データに基づく広告最適化」のサイクルは、エージェント介在による予測不能な取引が増えるほど信頼性が低下します。データドリブンマーケティングの根幹に影響する構造的な問題として注目されています。
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Bazaarvoice、AIエージェント向けレビュー発見APIを提供開始

Bazaarvoice unveils patent-pending API to help brands and retailers surface verified reviews in AI-led shopping and search results.
ecommercenews.com.auUGCプラットフォーム大手のBazaarvoiceが、AIエージェントやAI検索エンジンが商品レビューを発見・参照できる特許出願中のAPIを発表しました。ブランドやリテーラーが検証済みレビューをAI主導のショッピング結果に表示させるためのインフラです。
AIエージェントが購買判断を行う際、実際の消費者レビューは最も重要な判断材料の一つです。このAPIにより、構造化されたレビューデータがAIに直接供給されることで、エージェンティックコマースにおける「信頼性のある商品評価」のパイプラインが構築されます。
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決済・フィンテック
Razorpay、OpenAIと提携——AIが生成したアプリに決済機能を直接組み込み

Razorpay has partnered with OpenAI to help developers add payment feature directly into applications created using AI tools.
www.electronicpaymentsinternational.comインドの決済大手Razorpayが、OpenAIと提携しCodexなどのツールで構築されたアプリに決済機能を直接組み込める仕組みを構築しました。開発者がAIツールでアプリを生成する際に、決済処理を自動的に統合できるようになります。
AIがコードを書き、AIが決済を処理するという流れは、エージェンティックコマースの「インフラ層」がさらに深化していることを示しています。開発者のワークフローにAI決済が自然に組み込まれることで、コマース機能を持つアプリケーションの開発スピードが加速すると見込まれます。
AIコマースツール / 資金調達
Two Boxes、AI返品プラットフォームで$320万を調達

Two Boxes has raised $3.2 million to help scale its AI-powered returns platform as retailers grapple with rising fraud and costly reverse logistics.
www.freightwaves.comAI活用の返品管理プラットフォームを提供するTwo Boxesが、$320万のシード資金を調達しました。リテーラーが直面する返品詐欺の増加とリバースロジスティクスのコスト高騰に対し、AIによる自動判定で対応するサービスです。
返品率の上昇はEC業界全体の課題であり、返品なし返金(returnless refund)の判定精度向上にAIを活用する動きが広がっています。Two Boxesは返品データの分析からパターン検出、不正検知までをAIで一貫処理するアプローチを取っています。
Zellor、AIショッピングアシスタントで€85万を調達
Dublin-based e-commerce technology company Zellor has raised €850,000 in its very first external funding round.
www.siliconrepublic.comダブリンを拠点とするAIコマーススタートアップのZellorが、初の外部資金調達として€85万を獲得しました。動画ベースのAIショッピングアシスタントを開発しており、消費者が動画コンテンツから直接購買につなげるインターフェースを提供しています。
nFuse、B2Bメッセージングコマースで$200万を調達

Former Coca-Cola operators build a messaging-first platform, achieving 70% adoption and cutting order costs by up to 20x.
tech.eu元Coca-Cola幹部が創業したnFuseが、メッセージング起点のB2B受発注プラットフォームで$200万を調達しました。従来の受発注アプリに代わり、WhatsAppなどのメッセージングで注文を完結させるアプローチで、導入企業では70%の採用率と注文コスト最大20分の1の削減を達成しています。B2B領域でも「会話型コマース」の流れが加速していることを示す事例です。
グローバルEC動向
インドEC市場、2030年に$2500億規模へ——クイックコマースは$500億の巨大市場に成長

The report also stated that Live Commerce is set to become an $8 billion sector, powered by Gen Z adoption.
www.deccanherald.comGoogleとDeloitteの共同レポートによると、インドのEC市場は2030年までに$2500億規模に達する見通しです。特にクイックコマース(即時配送)セグメントは$500億の巨大市場に成長すると予測されています。Gen Zがオンライン支出の45%を占める主要な牽引役であり、ライブコマースも$80億セクターに成長する見込みです。
Coupang、データ漏洩からの完全回復——韓国EC市場の支配力を再確認

Coupang has effectively shaken off the fallout from a massive data breach that exposed personal information of about 33.7 million users.
www.ajupress.com韓国最大のオンラインリテーラーCoupangが、約3370万人分の個人情報漏洩事件から月間アクティブユーザーと推定取引量を事件前の水準に回復させました。3月のデータで回復が確認されています。ただし中国系プラットフォーム(AliExpress、Temu)が韓国市場でシェアを拡大しており、競争環境は変化しています。
AI、英国マーケティング・EC支出£37億を2030年までに変革へ

AI is expected to claim a growing share of UK retail expenditure by the end of this decade, particularly in marketing and e-commerce.
www.esmmagazine.comESM Magazineの報道によると、AIは2030年までに英国のマーケティング・EC支出のうち£37億(約7100億円)に影響を及ぼすと予測されています。特にマーケティング自動化、パーソナライゼーション、在庫最適化の領域で変革が進むとの分析です。
物流・フルフィルメント
Amazon、USPS配送を20%削減で新契約締結——3Pセラーには新たな物流サーチャージも

Amazon and USPS reach a tentative deal, allowing USPS to maintain 80 percent of Amazon deliveries.
thehill.comAmazonとUSPSが新たな配送契約で合意し、Amazonの配送量は約20%削減されるものの、USPSは依然としてAmazon配送の約80%を維持する形となりました。Amazonが自社配送網を拡大しつつも、ラストマイルでUSPSへの依存が続く構図です。
一方、Amazonは欧州の販売パートナーに対して中東情勢に起因する追加の物流サーチャージを導入することも発表しています。米国では3月に3.5%の燃料サーチャージが導入されたばかりであり、3Pセラーのコスト負担が複数方面から増加する状況が続いています。
まとめ
本日のニュースの核心は「ブランドと広告プラットフォームが、エージェンティックコマースへの具体的な対応を始めた」という点にあります。Mondelezはボットクローラーの解除から構造化データ整備まで実行し、Google Adsはプロダクトデータの最適化を語り、Bazaarvoiceはレビューデータのパイプラインを構築しています。先週までのインフラ・決済レイヤーの議論から、今週はブランド・小売の実務レイヤーに議論が移行した印象です。明日以降は、他のCPG・リテールブランドが同様の対応を発表するかどうかに注目です。




