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2026年2月27日

GoogleとKlaviyoが戦略提携を発表 ── 広告・検索・RCSメッセージングとリアルタイム顧客データの統合でエージェンティックコマースを推進

目次
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この記事のポイント

  1. GoogleとKlaviyoがエージェンティックコマース向け戦略提携を発表、広告・検索・RCSとリアルタイム顧客データを統合
  2. Google検索からRCS会話へ直結するAIカスタマーエージェントが限定パイロットで提供開始、メッセージングが新たな購買接点に
  3. EC事業者はKlaviyo×Google Ads連携による広告精度向上とRCSチャネルの早期検証を進め、会話型購買体験への移行に備える必要がある

GoogleとKlaviyoが戦略提携 ── 広告・RCS・顧客データを一気通貫で接続

2026年2月24日、CRMプラットフォームのKlaviyo(NYSE: KVYO)とGoogleが戦略的パートナーシップを正式に発表しました。Googleの検索・広告・AI・メッセージング技術と、Klaviyoのリアルタイム顧客データ基盤を統合し、商品発見から購入・サービス・ロイヤルティまでを一気通貫でカバーする「自律型AI顧客体験」を実現するものです。

今回の提携の核心は、Google上で捉えた消費者の意図シグナルをKlaviyo側でパーソナライズされたアクションにリアルタイム変換し、すべてのインタラクションを単一の顧客プロファイルに統合する点にあります。従来の静的キャンペーンから、顧客の意図と行動に自動的に適応する体験への転換を目指しています。

背景と業界動向

今回の提携は、EC業界全体で加速する「エージェンティックコマース」の潮流を象徴しています。エージェンティックコマースとは、AIエージェントがユーザーに代わって商品の発見・比較・交渉・購入を自律的に実行する仕組みです。2026年に入り、この概念は構想段階から実装段階へと急速に移行しています。

commercetoolsの分析によると、2026年はエージェンティックコマースの本格的なブレイクアウトイヤーと位置づけられています。成果を出しているブランドは、AIエージェントを孤立したツールとしてではなく、共有コンテキストと明確な収益責任を持つ実行ワークフローに組み込んでいます。Morgan Stanleyの予測では、2030年までにオンラインショッパーの約半数がAIショッピングエージェントを利用し、支出の約25%を占めるようになるとされています。

こうした流れの中で、GoogleとKlaviyoの提携は「広告プラットフォームとCRM/顧客データ基盤の直結」という新しいレイヤーを加えたものです。Googleはすでに Walmart、Target、Shopifyなど20社以上が支持するUniversal Commerce Protocol(UCP)を発表しており、今回のKlaviyo提携はUCPエコシステムのCRM・メッセージング領域への拡張と捉えることができます。

3つの統合機能とRCS会話型コマースの衝撃

今回発表された具体的な統合ポイントは3つです。

第一に、Google Ads連携の深化です。 Klaviyoが保有する顧客データを活用し、Google広告とRCS for Businessにおけるターゲティングとパーソナライゼーションを強化します。Klaviyoのデータプラットフォームは1日あたり34億件の顧客インタラクションを処理し、80億以上のプロファイルを管理しています。この膨大なファーストパーティデータがGoogle広告の精度向上に直結します。

第二に、BigQuery連携です。 エンタープライズブランド向けに、KlaviyoのデータをGoogleのデータウェアハウスであるBigQueryで一元化・活用できるようになります。マーケティングデータと販売データ、行動データを統合的に分析し、AIによる意思決定の精度を高める基盤となります。

第三に、そして最も注目すべきは、RCS for Businessを軸とした会話型コマースの展開です。 Klaviyoの発表によると、同社はグローバルで初めてGoogle検索からRCS体験へ直結する機能を顧客に提供するパートナーの一つとなりました。消費者はGoogle検索の結果から直接、AIカスタマーエージェントとの会話を開始できます。この機能は現在、限定パイロットとして一部の顧客に提供されています。

RCS(Rich Communication Services)はSMSの後継として位置づけられるリッチメッセージング規格で、商品カルーセル、リッチメディア、インタラクティブなボタンなどをネイティブのモバイルメッセージング内で表示できます。POPFLEXのマーケティング担当VP、Jen-Ai Notman氏はKlaviyoの発表の中で、メッセージングがもはや再エンゲージメントツールではなく「真のストアフロント」になりつつあると述べています。

これらの統合を支えるのが、KlaviyoのK:AI Customer Agentです。これはB2Cマーケターとサービスチーム向けの24時間対応AIエージェントで、ウェブチャット、SMS、メール(ベータ版)、RCS、そして今後WhatsAppにも対応予定です。ストアフロント、ヘルプドキュメント、Klaviyoの顧客レコードから自動的にデータを取得し、注文状況の確認、パーソナライズされた商品推薦、サイズ・フィットのガイダンスなどを提供します。ノーコードで数分以内に導入でき、ある顧客企業では90日間でサポート会話の50%以上をエージェントが人間の介入なしに処理したと報告されています。

EC事業者への影響と活用法

GoogleとKlaviyoの戦略提携は、EC事業者にとって複数の実務的な意味を持ちます。

Google Ads×Klaviyoデータ連携による広告ROIの向上を検討してください。 すでにKlaviyoを利用している事業者は、Google Adsとの連携を有効化することで、既存顧客のセグメントデータや購買行動をGoogle広告のターゲティングに活用できます。サードパーティCookieの廃止が進む中、ファーストパーティデータに基づく広告配信の精度向上は差し迫った課題です。

RCSチャネルへの早期参入を検討してください。 現在は限定パイロット段階ですが、Google検索からRCS会話への直結が一般提供されれば、消費者はメッセージアプリ内で商品を閲覧・購入できるようになります。従来のECサイトへの遷移が不要になるこの体験は、コンバージョン率に大きな影響を与える可能性があります。

BigQuery連携でデータの統合分析基盤を構築してください。 エンタープライズ規模の事業者は、KlaviyoのマーケティングデータとGoogleのBigQueryを連携させることで、広告・CRM・購買データを横断的に分析し、AIによる施策の最適化を加速できます。

K:AI Customer Agentの導入でサポートコストの最適化を図ってください。 24時間対応のAIエージェントは、特に越境ECやグローバル展開を行う事業者にとって即効性があります。まずはウェブチャットから導入し、RCS対応が拡大した段階でメッセージングチャネルに拡張する段階的アプローチが現実的です。

まとめ

GoogleとKlaviyoの戦略提携は、エージェンティックコマースが「検索・広告・CRM・メッセージング」の全レイヤーを横断する段階に入ったことを示しています。Klaviyoの共同創業者兼共同CEO、Andrew Bialecki氏は「コマースはソフトウェアがタスクを実行するだけでなく、意思決定を行うフェーズに入った」と述べています。GoogleのRCS for Business担当グローバルGTMヘッド、Stephen Brough氏もKlaviyoを「エージェンティックコマースの新時代における重要なマーケティングプレイヤー」と位置づけています。

EC事業者が注視すべきは、RCSを介した「検索→会話→購買」の一気通貫体験がいつ一般提供されるかです。現在の限定パイロットから本格展開に移行したとき、メッセージングアプリが新たなコマースチャネルとして急浮上する可能性があります。Klaviyo×Google Ads連携の有効化とRCSチャネルの早期検証に、今から着手しておくことが重要です。