この記事のポイント
- Perplexity AIがPayPal・Venmo連携でチャット内完結型ショッピングを展開、検索から決済までをワンストップで実現
- Visa・Mastercard・PayPalの三大決済ネットワークがエージェンティックコマースに本格参入し、業界標準の争いが激化
- EC事業者は構造化データの整備とPayPal/Shopify連携を進め、AIチャット経由の新たな販売チャネルに備える必要がある
Perplexity AIがPayPalと組み、チャット内で「検索から購入」を完結させる新体験を提供
WebFX reports Perplexity AI's in-chat shopping with PayPal allows seamless transactions from discovery to payment in one thread, redefining e-commerce.
www.aol.comAI検索エンジンのPerplexity AIが、PayPalおよびVenmoとの連携により、チャットインターフェース内で商品の検索から決済までを完結させるショッピング機能を本格展開しています。2025年11月のブラックフライデー前に「Instant Buy」として正式ローンチされたこの機能は、ユーザーがPerplexityのチャット画面から一歩も離れることなく、商品の発見・比較・購入・配送追跡までを行えるものです。
WebFXの分析記事によると、具体的な購入フローは以下のとおりです。ユーザーがチャットで商品について質問すると、PerplexityがAIと構造化データを組み合わせて最適な商品を推薦します。ユーザーが選択するとPayPalのパスキー認証によるワンクリック決済が実行され、配送・追跡・請求処理までPayPalが自動で処理します。タブの切り替えもカート画面への遷移も不要です。
対応加盟店にはAbercrombie & Fitch、Ashley Furniture、Fabletics、Adorama、Neweggなどが名を連ねており、2026年初頭にかけてカタログ連携の深化と対応カテゴリの拡大が進められています。
業界動向
Perplexityのチャット内ショッピングは、決済業界全体で加速する「エージェンティックコマース」の潮流の中に位置づけられます。エージェンティックコマースとは、AIエージェントがユーザーに代わって商品の発見・比較・購入を自律的に実行する仕組みを指します。
2025年4月以降、三大決済ネットワークが相次いでこの領域に参入しました。Visaは「Intelligent Commerce」を発表し、AIエージェントがトークン化された安全な決済を実行できるプロトコルを提供しています。MastercardはPayPalと提携し「Agent Pay」を公開、MicrosoftのAI技術と組み合わせてウォレット内でのエージェント決済を実現しました。PayPal自身もエージェントツールキットを公開し、開発者がAIショッピング体験にPayPal決済を組み込めるようにしています。
市場規模も急拡大しています。Salesforceの分析では、2024年ホリデーシーズンにAIが影響を与えたオンライン売上は2,290億ドルに達しました。AIチャットによるカスタマーサービスの利用は前年比42%増となっています。McKinseyの予測では、2030年までにグローバルで最大5兆ドルの小売売上がエージェンティックコマースの対象になるとされています。
PerplexityとChatGPT ── AIショッピング競争の構図
Perplexityのチャット内ショッピングが注目される理由は、競合であるChatGPTとの差別化にあります。
OpenAIは2025年9月に「Instant Checkout」を導入し、ChatGPT内でのEtsy商品の直接購入を可能にしました。その後、Walmart、Target、Instacart、DoorDashなど主要リテーラーとの提携を拡大しています。週間アクティブユーザー9億人という圧倒的な規模が強みです。
一方、ChatGPTのショッピング機能は商品発見と比較に重きを置いており、多くの場合は外部の商品ページへリンクで誘導する設計です。Perplexityはこれと異なり、チャット画面内で検索・選択・決済・配送追跡まで完結させる点で一歩先を行っています。
Perplexity AIの事業規模も急成長を遂げています。TechCrunchの報道によると、2025年9月のシリーズDラウンドで2億ドルを調達し、企業評価額は200億ドルに到達しました。月間アクティブユーザーは4,500万人以上、年間経常収益(ARR)は1億4,800万ドルに成長しています。検索特化型AIとして培った情報精度の高さと、PayPalという世界最大級の決済インフラとの組み合わせが、PerplexityのEC参入の武器となっています。
Modern Retailの報道では、2026年にAIショッピングエージェント間の競争がさらに激化すると予測されています。Googleも2026年1月にUniversal Commerce Protocolを発表し、Walmart、Target、Shopifyなど20社以上が支持を表明しました。AIプラットフォームが「検索の入り口」から「購買の完結地点」へと変貌する動きは、もはや一企業の実験ではなく業界全体のトレンドです。
EC事業者への影響と活用法
Perplexityのチャット内ショッピングの拡大は、EC事業者にとって新たな販売チャネルの出現を意味します。具体的な対応策を整理します。
構造化データの整備が最優先です。 PerplexityをはじめとするAIプラットフォームは、商品情報をProduct SchemaやOffer Schemaなどの構造化データから取得します。価格、在庫状況、レビュー評価、配送情報を正確にマークアップすることで、AIの推薦候補に選ばれる確率が大きく向上します。
PayPalとShopifyの連携を確認してください。 Perplexityのチャット内決済はPayPalのインフラ上で動作しています。すでにPayPalやShopifyを利用しているストアであれば、追加の開発なしでPerplexity経由のショッピングに対応できる可能性があります。
会話型検索に最適化したコンテンツを用意してください。 従来のSEOキーワード戦略に加えて、AIチャットが商品を正確に理解できるよう、具体的な商品説明、ユースケース別の提案、よくある質問への回答を充実させることが重要です。
AIチャネルからの流入をGA4で計測する仕組みを構築してください。 Google Analytics 4でPerplexity、ChatGPT、Geminiなど各AIプラットフォームからのリファラルを識別するカスタムチャネルグループを設定することで、新チャネルのROI測定と戦略の最適化が可能になります。
まとめ
Perplexity AIとPayPalの連携によるチャット内ショッピングは、AIが「情報を提供するツール」から「購買を完結させるチャネル」へと進化したことを象徴する動きです。Visa、Mastercard、PayPalという決済インフラの巨人たちが揃ってエージェンティックコマースに本格投資している事実は、この変化が一時的なトレンドではないことを示しています。
EC事業者にとって重要なのは、AIプラットフォーム上で自社商品が「発見され、選ばれ、購入される」状態を作ることです。構造化データの整備、決済プラットフォームとの連携確認、そしてAIチャネル経由の売上計測の3点を、今すぐ着手すべき優先事項として押さえておくことが重要です。




