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2026年1月26日

米国オンライン食品売上が過去最高の127億ドルを記録、前年比32%増の急成長

目次
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この記事のポイント

  1. 米国12月のオンライン食品売上が127億ドルで過去最高を更新
  2. オンライン食品の市場シェアが19%に到達、前年比4.3ポイント増
  3. 日本のEC事業者はデリバリー強化と高頻度購入者への対応が急務

12月のオンライン食品売上が過去最高を更新

2026年1月、調査会社Brick Meets ClickMercatusが発表した最新レポートによると、米国のオンライン食品売上は2025年12月に過去最高となる127億ドル(約1兆9,000億円)を記録しました。これは前年同月比32%増という大幅な成長を示しています。

注目すべきは、オンライン食品の市場シェアが「19%」に達したことです。これは2024年12月と比較して4.3ポイントの上昇であり、食品購入の約5分の1がオンラインで行われる時代が到来したことを意味します。

背景と業界動向

オンライン食品市場は2025年を通じて急速な拡大を続けてきました。Digital Commerce 360の報道によると、2025年は月間売上が100億ドルを超える月が7回に達し、年間累計では1,159億ドルを記録しています。

特に下半期の成長は顕著でした。9月には125億ドルで前年比31%増を記録し、11月もBrick Meets Clickの公式発表によれば123億ドルで29%増となりました。12月の127億ドルは、この成長トレンドの延長線上にある数字です。

この成長を支えているのは、消費者行動の構造的な変化です。オンライン食品は「緊急時の代替手段」から「日常的な選択肢」へと進化しました。Brick Meets Clickの分析では、この変化を「convenienceからpreferenceへの移行」と表現しています。

成長を牽引する3つの要因

12月の記録的な売上を分析すると、3つの明確な成長ドライバーが浮かび上がります。

高頻度購入者の増加

月間アクティブユーザー(MAU)の購入頻度が過去最高を更新しています。11月のデータでは、MAUが月平均2.8回の注文を行い、約50%のユーザーが月に3回以上購入しています。30〜44歳の年齢層では購入頻度が前年比20%以上増加し、月平均3.1回に達しました。

デリバリーの急拡大

Grocery Diveの報道によると、デリバリーはオンライン食品売上の45%を占めるまでに成長しています。一方でピックアップ(店舗受取)のシェアは同等の割合で減少しており、消費者の選好が「自宅配送」へ明確にシフトしています。Capital One Shoppingの調査では、2026年にはオンライン食品売上の59.4%がデリバリーによるものになると予測しています。

大手プレイヤーの投資拡大

市場シェアを見ると、eMarketerのレポートによればWalmartが31.6%、Amazonが22.6%、Krogerが8.6%となっています。Walmartは2025年第3四半期にオンライン売上28%増を達成し、食品カテゴリが牽引役となりました。Amazonも同日配送サービスを1,000都市以上に展開し、年内に2,300都市への拡大を計画しています。

サードパーティプラットフォームの存在感

大手リテーラーの自社チャネル強化と並行して、InstacartDoorDashなどのサードパーティプラットフォームも急成長を遂げています。

Instacartの2025年推定売上は374億ドルで、前年比11.9%の成長が見込まれています。DoorDashも食品カテゴリで前年比18%の注文増を記録し、CFOのRavi Inukonda氏は「食品分野は今後数年間の成長と利益の主要なドライバーになる」と述べています。

Kroger、Albertsons、Aldiなどの大手スーパーマーケットチェーンは、自社配送能力の構築と並行してInstacart、DoorDash、Uber Eatsとの提携を進めています。これは「ラストワンマイル」の配送能力を確保しつつ、投資リスクを分散する戦略と言えます。

EC事業者への影響と活用法

日本の食品EC事業者にとって、米国市場の動向は2〜3年後の国内市場を予測するうえで重要な示唆を与えます。

即時配送への対応が必須に

消費者がデリバリーを「当たり前」と感じる時代において、配送スピードは重要な競争要因となります。同日配送、さらには数時間以内の配送を提供できる体制の構築が求められます。サードパーティプラットフォームとの連携は、自社配送網を持たない事業者にとって有効な選択肢です。

高頻度購入者の獲得がカギ

米国のデータが示すように、月3回以上購入する高頻度購入者がオンライン食品市場の成長を牽引しています。サブスクリプションモデル、ロイヤルティプログラム、パーソナライズされたレコメンデーションなど、リピート購入を促進する仕組みの導入が重要です。

複数チャネルの活用

消費者はデリバリー、ピックアップ、配送の複数オプションを使い分ける傾向が強まっています。単一の受取方法に限定せず、顧客のニーズに応じた柔軟なフルフィルメントオプションを提供することが、顧客満足度と注文頻度の向上につながります。

まとめ

米国のオンライン食品市場は、2025年12月の127億ドルという過去最高の売上を記録し、市場シェアが19%に達しました。この成長は一時的なものではなく、消費者行動の構造的な変化を反映しています。

Grocery Diveの2026年予測によれば、今年もオンライン食品市場の成長は続くと見られています。ただし、人口増加の鈍化やインフレによる消費者の購買力低下など、成長を抑制する要因も存在します。

日本市場への示唆としては、デリバリーインフラの整備、高頻度購入者向けのエンゲージメント強化、そしてAIを活用したパーソナライゼーションが今後の成長のカギとなるでしょう。米国市場の動向を注視しながら、自社の戦略を練ることが重要です。