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2026年1月28日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年1月28日)

目次
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この記事のポイント

  1. Amazon Go/Fresh全店閉鎖、Whole Foods拡大へ戦略転換
  2. UPSが3万人削減、Amazon取引縮小が物流業界に影響
  3. Mastercard Agent Suite発表、エージェンティックコマース基盤が拡充

今日の注目ニュース

Amazon、Amazon GoとAmazon Freshの全店舗を閉鎖へ

Amazonは1月27日、全てのAmazon GoおよびAmazon Fresh店舗を閉鎖し、代わりにWhole Foods Marketの拡大と即日配送サービスの強化に注力すると発表しました。

Amazon Goは2016年に「レジなし店舗」として登場し、「Just Walk Out」技術の実験場として注目を集めてきました。しかし同社は「Amazonブランドの実店舗で期待できる兆候は見られたものの、大規模展開に必要な独自の顧客体験と適切な経済モデルを構築できなかった」と説明しています。

今後、同社は数年間で100店舗以上のWhole Foods新規出店を計画しており、小規模フォーマットの「Whole Foods Market Daily Shop」も展開予定です。Just Walk Out技術は5カ国360カ所以上のサードパーティ施設(スポーツスタジアムなど)への提供に注力します。2017年のWhole Foods買収以来、売上は40%以上成長し550店舗に拡大しており、ブランド認知度の高いWhole Foodsへのリソース集中という判断は理解できます。

この決定は、EC巨人による実店舗戦略の大幅な転換を示すものであり、無人店舗技術の将来についても業界に大きな問いを投げかけています。

詳細記事: Amazon、全てのAmazon GoとAmazon Fresh店舗を閉鎖へ

UPS、3万人の追加削減を発表、Amazon取引縮小が影響

UPSは1月27日の第4四半期決算発表で、2026年に最大3万人のオペレーション職を削減し、24施設を閉鎖すると発表しました。昨年の4万8000人削減に続く大規模リストラとなります。

この背景には、最大顧客であったAmazonとの取引縮小があります。UPSは2025年1月、Amazonの配送量を2026年後半までに50%以上削減する契約を締結。CEOのCarol Tomé氏は「2025年末までにAmazonの1日あたり配送量を約100万個削減し、2026年もさらに100万個削減する予定」と述べました。同社はAmazonとの取引を「利益率を著しく希薄化するもの」と評しています。

UPSはより高い利益率が見込める出荷にシフトする戦略を進めており、2026年の売上高は897億ドルを見込んでいます。EC物流の競争激化と利益率確保のバランスは、物流業界全体の課題となっています。

エージェンティックコマース

Mastercard、マーチャント向け「Agent Suite」を発表

Mastercardは、マーチャントと銀行がAIエージェント時代に対応するための新ソリューション「Agent Suite」を発表しました。2026年第2四半期に提供開始予定です。

Agent Suiteは、1月に発表された決済認証フレームワーク「Agent Pay」とは異なり、マーチャント向けの顧客体験構築基盤です。在庫、マージン、プロモーション、ブランドボイスのルールを設定し、ショッピングジャーニー全体で会話型ガイダンスを提供できます。

初期ユースケースは銀行向けの商品発見機能と、マーチャント向けのパーソナライゼーション×会話型ショッピング。Google UCP、Microsoft Copilot Checkout、OpenAI Agentic Commerce Protocolとも連携予定で、エージェンティックコマースのエコシステム構築が進んでいます。

詳細記事: Mastercard、エージェンティックコマース向け「Agent Suite」を発表

HawkSearchとNexi Group、Agentic Commerce Allianceに参加

AIエージェントによるコマースの標準化を目指す「Agentic Commerce Alliance(ACA)」に、新たに2社が参加しました。

Bridgeline Digital傘下のHawkSearchは、AI駆動の検索・パーソナライゼーションプラットフォームとして、製品発見やマーチャンダイジングインテリジェンスの専門知識を提供します。CEOのAri Kahn氏は「AIエージェントが発見・意思決定・取引に積極的な役割を果たす未来に向け、これらのエージェントが透明性を持ち、マーチャントとショッパー双方に利益をもたらす形で運用されるよう貢献する」と述べています。

欧州決済大手のNexi Groupも同アライアンスに参加。同社はGoogle、Mastercard、Visaとエージェンティックコマースの取り組みを進めており、欧州規模のローカル決済知識とAIエージェント向けトランザクションレイヤーの保護経験を提供します。

ACAはShopwareが主導し、ベンダー中立のオープンスタンダード策定を通じて、AIエージェントがプラットフォーム間で相互運用可能かつマーチャント制御を尊重する形での運用を目指しています。

Phia、AIショッピングエージェント開発に3,500万ドル調達

Phoebe Gates氏とSophia Kianni氏が共同創業したAIショッピングエージェント「Phia」が、シリーズAで3,500万ドルを調達しました。評価額は1億8,500万ドルです。

2025年4月のローンチからわずか10カ月で、100万人以上のユーザーと6,200以上の小売パートナーを獲得。収益は11倍成長を達成しました。Notable Capitalがリードし、Khosla VenturesやKleiner Perkinsも参加しています。

Phiaは毎日数十億の商品を処理し、パーソナライズされた商品推薦を提供。検索レイテンシを80%削減し、収益化GMVを40%向上させています。ブランド向けには、コンバージョン率13%向上、新規顧客獲得30%増、返品率50%以上削減という成果を報告しています。

詳細記事: ビル・ゲイツの娘が創業したAIショッピングエージェント「Phia」—3,500万ドル調達の全貌

グローバルEC動向

ラテンアメリカEC市場、急速な配送需要で成長加速

Americas Market Intelligence(AMI)のレポートによると、ラテンアメリカのEC市場は急速な配送への消費者需要を背景に成長を続けています。

PCMIの予測では、同地域のEC取引量は2026年末までに9,230億ドルに達し、2022年から2026年で倍増する見込みです。年平均成長率は23%と、世界でも稀な高成長を維持しています。ブラジルとメキシコが市場をリードし、コロンビア、ペルー、アルゼンチンも急成長中です。

消費者の即日・翌日配送への期待が高まる中、物流インフラへの投資が各社の競争力を左右する要因となっています。

中国、EC価格競争規制を強化

中国政府は1月、アリババなどの大手プラットフォームがマーチャントにプロモーション参加を強制することを禁止する規制を発表しました。2月から施行されます。

さらに4月には、プラットフォームがマーチャントに「最低価格」契約を強制したり、ユーザーデータに基づく価格設定を同意なく行うことを禁止する29条の規制が施行されます。トラフィック制限や検索ランキング降格、アルゴリズムペナルティを使った価格引き下げ圧力も禁止対象です。

これらの規制は、プラットフォーム間の激しい価格競争がマーチャントの経営自律性を侵害してきた問題への対応です。ブランドは「各プラットフォームで異なる型番の類似商品を作る」必要に迫られ、運営コストが上昇していました。中国市場で事業展開するブランドは、この規制変更への対応が求められます。

まとめ

本日は、Amazonの実店舗戦略の大転換とUPSの大規模リストラという、EC・物流業界の構造変化を象徴する2つの大きなニュースがありました。Amazonは無人店舗技術への投資からWhole Foodsとデリバリーへと軸足を移し、UPSはAmazon依存からの脱却と高利益率事業へのシフトを進めています。

エージェンティックコマース分野では、Agentic Commerce Allianceへの参加企業が増加し、業界標準化の動きが加速しています。Phiaの大型調達も示すように、AIショッピングエージェントへの投資は活発化しており、2026年は同領域の競争が本格化する年となりそうです。

明日以降は、Amazonの店舗閉鎖がJust Walk Out技術のサードパーティ展開にどう影響するか、またUPSのリストラが他の物流企業の戦略にどう波及するかに注目です。