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2026年3月3日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年3月4日)

目次
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この記事のポイント

  1. Stripe基盤でAffirm・KlarnaがAIエージェント向けBNPL決済を提供開始
  2. DoorDash・UberがGoogle Geminiで本格エージェンティック注文をテスト
  3. Meta AIのショッピング機能からNexi×Google Cloudの欧州基盤まで、業界全体でエージェンティックコマースのインフラ整備が加速

今日の注目ニュース

Stripe × Affirm × Klarna:AIエージェント向けBNPL決済基盤が始動

AffirmとKlarnaが相次いでStripeとの提携を拡大し、「Shared Payment Tokens」を活用したAIエージェント向けBNPL(後払い)決済を提供開始します。Shared Payment Tokensは、VisaやMastercardが策定したエージェンティックコマース決済用のトークン規格で、AIエージェントがユーザーの代理で安全に決済を完了できる仕組みです。

AffirmはStripeのAgentic Toolkitとの統合を発表し、AIエージェントがチェックアウト時にAffirmの分割払いオプションを提示できるようになります。一方、Klarnaも同様にStripe経由でAIエージェントにBNPL機能を提供します。

一方で、Retail Diveの報道によると、Stripe自身はエージェンティックコマースの進展について「段階的に進む」との慎重な見方を示しています。インフラの準備は進めつつも、消費者の実際の利用は時間をかけて普及するとの認識です。決済インフラの整備が先行し、実需はこれから──という業界の現在地を象徴するニュースです。

詳細記事: Stripe・Affirm・Klarnaが「Shared Payment Tokens」でBNPLをAIエージェント決済に統合

DoorDash・Uber、Google Geminiで「真のエージェンティック注文」をテスト

DoorDashとUberが、Google Gemini上でAIエージェントによる注文体験のテストを開始しました。ユーザーがGeminiに「今夜のディナーを注文して」と依頼すると、AIが過去の注文履歴や好みを踏まえてレストランやメニューを提案し、そのまま注文まで完了するという、エージェンティックコマースの実用的なユースケースです。

これまでのAIアシスタントは「情報の検索・提案」にとどまっていましたが、今回のテストではAIが実際に注文を実行する「トランザクション完了」までをカバーします。Google Geminiという巨大プラットフォーム上で食品デリバリー大手2社が同時にテストを行うことで、エージェンティックコマースが「概念」から「実装」フェーズに移行しつつあることを示しています。

詳細記事: DoorDashとUberがGoogle Geminiで「真のエージェンティック注文」をテスト開始

エージェンティックコマース

Nexi × Google Cloud、ヨーロッパ全域でエージェンティックコマース基盤を構築

欧州最大級のペイテック企業Nexi GroupとGoogle Cloudが、エージェンティックコマースをヨーロッパ全域で推進するためのMoU(覚書)を締結しました。

この提携では、Google CloudのAI技術とNexiの決済インフラを組み合わせ、AIエージェントが欧州の多様な決済環境でシームレスに取引を処理できる基盤を構築します。欧州はPSD2/PSD3規制やオープンバンキングが進んでいる市場であり、エージェンティック決済との親和性が高いと見られています。

米国ではStripeがエージェンティック決済の基盤整備を進めていますが、欧州でもNexiとGoogle Cloudの組み合わせで同様の動きが加速しています。グローバルでエージェンティックコマースのインフラ競争が本格化しています。

詳細記事: Nexi × Google Cloud、ヨーロッパ全域でエージェンティックコマース基盤を構築

Paysafe、新ウォレットとエージェンティックコマースで2026年を展望

決済企業Paysafeが2025年第4四半期の決算を発表し、2026年の戦略としてエージェンティックコマースへの対応と新しいデジタルウォレットの展開を掲げました。

同社は2025年にeコマースとウォレット事業で堅調な成長を達成しており、2026年は売上5〜8%成長を見込んでいます。エージェンティックコマースについては、AIエージェントによる決済処理に対応するためのインフラ整備を進めていく方針です。決済企業がこぞってエージェンティック対応を経営戦略に組み込み始めている流れが鮮明になっています。

Shopify社長「エージェンティックコマースでECの市場規模が拡大する」

Shopifyの社長がMorgan Stanley主催のカンファレンスで、エージェンティックコマースがEC市場全体のTAM(Total Addressable Market)を拡大する可能性があると発言しました。

AIエージェントが消費者の代わりに商品を探し、比較し、購入するようになることで、これまでECを利用していなかった層や、購入プロセスの複雑さから離脱していたユーザーの取り込みが可能になるという見立てです。Shopifyは自社のエージェンティックコマース戦略として「Agentic Storefronts」を推進しており、プラットフォーム全体でAIエージェント対応を加速させています。

AIコマースツール

Meta AI、ショッピングリサーチツールをテスト ── ChatGPT・Geminiに対抗

Metaが自社のメッセージングアプリ内で、AIを活用したショッピングリサーチツールのテストを開始しました。ChatGPTやGoogle Geminiが進めるAIショッピング機能に対抗する動きです。

このツールはMetaの大規模言語モデル「Llama」を基盤としており、ユーザーが商品について質問すると、AIが商品の比較情報やレビューを要約して提示します。InstagramやWhatsAppなど、Metaの巨大なユーザーベースを活用できる点が競合との差別化要因です。

AIショッピングアシスタントの市場では、ChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)、そしてMeta AIの三つ巴の競争が形成されつつあります。

詳細記事: Meta AI、ショッピングリサーチ機能をテスト開始

Riskified、AIエージェント向け不正検知を拡充 ── マーチャントのAIショッピングアシスタントを保護

不正検知プラットフォームのRiskifiedが「AI Agent Intelligence」機能を拡張し、マーチャントが独自に構築するAIショッピングアシスタントの保護に対応しました。

AIエージェントによる購買が増えると、不正注文もAIを使って大量に実行されるリスクが生じます。Riskifiedの新機能は、AIエージェント経由の取引を分析し、正当なエージェント注文と不正なエージェント注文を識別します。エージェンティックコマースの普及に伴い、セキュリティ面の整備も急務であることを示す動きです。

詳細記事: Riskified、AIエージェント不正検知を拡張

Amazon、セラー向けAI生成「Canvas」をローンチ

AmazonがSeller Centralに新機能「Canvas」を導入しました。セラーが自然言語でプロンプトを入力すると、AIがパーソナライズされたビジュアルダッシュボードをリアルタイムで生成します。

既存のAIアシスタント「Seller Assistant」の拡張として位置付けられ、売上分析、在庫状況、広告パフォーマンスなどの情報をダッシュボード形式で視覚的に表示します。Shopify、Walmartなど各ECプラットフォームがセラー向けAIツールの強化を競っている中、Amazonも独自のアプローチで対抗しています。

詳細記事: Amazon、セラー向けAI生成「Canvas」をローンチ

グローバルEC動向

TikTok Shop、東南アジアでShopeeとの差を急速に縮小

東南アジアのEC市場で、TikTok ShopがShopeeとの差を急速に縮めています。特にベトナムではTikTok Shopが市場シェア40%超を獲得し、Shopeeを脅かす存在になっています。

ソーシャルコマースの強みを活かしたTikTok Shopの成長は、「コンテンツ→購買」の導線が従来の検索型ECとは異なるユーザー体験を提供している結果です。東南アジア6億人超の市場で、プラットフォーム間の競争がさらに激化しています。

Coupang、データ漏洩後にMAU(月間アクティブユーザー)が3カ月連続減少

韓国EC最大手Coupangの月間アクティブユーザー数が、2月まで3カ月連続で減少しました。2025年末に発覚した大規模な個人情報漏洩事件が主因とされています。

韓国のEC市場ではCoupangが圧倒的なシェアを持っていましたが、データ漏洩をきっかけにユーザー離れが顕在化しています。EC事業者にとって、データセキュリティが事業成長に直結するリスクファクターであることを改めて示す事例です。

まとめ

3月4日のEC・AIコマース業界は、エージェンティックコマースの決済インフラ整備が最大のテーマでした。Stripeを基盤にAffirm・Klarnaの両BNPLプレイヤーがAIエージェント向け後払い決済を提供開始し、欧州ではNexi×Google Cloudがエージェンティック決済基盤の構築に動いています。

一方で実需面では、DoorDash・UberがGoogle Gemini上でエージェンティック注文をテストするなど、「AIが実際に注文を完了する」具体的なユースケースが登場しています。Meta AIもショッピング機能のテストを開始し、AIショッピングアシスタントの三つ巴の競争が形成されつつあります。

注目すべきは、Stripe自身が「エージェンティックコマースは段階的に進む」との慎重な見方を示している点です。インフラは急速に整備される一方、消費者の利用浸透には時間がかかるという、業界の現在地が浮き彫りになった一日でした。