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2026年3月31日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年3月31日)

目次
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この記事のポイント

  1. AlibabaがQwen LLM補助金でエージェンティックコマースのエコシステム構築を加速、中国テック各社の顧客争奪戦が激化
  2. Shoptalk 2026ではリテールメディアの「エージェンティック不安」が顕在化、広告指標がCPMから「エージェント推奨単価」へ移行の兆し
  3. Deeplumen、Waddle、Netcore Unbxdなど、エージェンティックコマースのインフラ〜検索領域で新プレイヤーが続々登場

今日の注目ニュース

Alibaba、Qwen補助金でエージェンティックコマース覇権を狙う

KrASIAが、AlibabaのQwen LLM補助金戦略がエージェンティックコマースのエコシステム構築を狙っていると報じています。中国テック各社がAIチャットボットの顧客獲得に向けて補助金競争を繰り広げるなか、Alibabaは自社LLM「Qwen(通義千問)」の利用料を大幅に補助し、開発者やEC事業者の囲い込みを図っています。

旧正月キャンペーンでは9時間で1,000万件の注文を処理し、6日間で1億2,000万件以上の注文を達成しました。キャンペーン中の採用は好調だったものの、インセンティブが終了した後にユーザー行動が持続するかは不透明と記事は指摘しています。ByteDanceのDoubaoが月間アクティブユーザー1億人を突破するなど、競合も激しさを増しています。

詳細記事: Alibaba、Qwen補助金でエージェンティックコマースのエコシステム構築を加速

エージェンティックコマース

Shoptalk 2026でリテールメディアの「エージェンティック不安」が顕在化

The Drumが、Shoptalk 2026でのリテールメディアに関する議論を報じています。AIエージェントが消費者の代わりに商品を選定・購買する世界では、従来のディスプレイ広告やスポンサード商品がスキップされる可能性があり、リテールメディアネットワークのビジネスモデルが根本から問い直されています。

Elf BeautyのCDOは「広告のCPMはエージェント推奨単価に置き換わる」と発言し、Sephora×OpenAI、Gap×Googleなど具体的なパートナーシップも相次いで発表されました。エージェンティックコマースが本格化すると、ブランドの広告投資先は「人間の目」から「AIエージェントのアルゴリズム」に移行する必要があります。

詳細記事: Shoptalk 2026でリテールメディアの「エージェンティック不安」が顕在化

Deeplumen、エージェンティックコマース向けOpen Commerce Protocol(OCP)を発表

Deeplumenが、エージェンティックコマース向けのオープンプロトコル「OCP(Open Commerce Protocol)」を発表しました。AIエージェントが自律的に商取引を行うためのフルスタックのインフラレイヤーを提供するプロトコルです。

エージェンティックコマースのインフラ領域では、複数のアプローチが競合しています。OCPはオープンスタンダードとして位置づけられており、エコシステム全体の相互運用性を重視する点が特徴です。

詳細記事: Deeplumen、Open Commerce Protocolでエージェンティックコマースのインフラ標準化に挑む

韓国Waddle、AIコマースエージェントGentooで米国市場に参入

THE ELECが、韓国のスタートアップWaddleがAIコマースエージェント「Gentoo」で米国市場への参入を目指していると報じています。OpenAI主催のグローバルハッカソンで優勝した勢いを活かし、海外展開を本格化する動きです。

エージェンティックコマースの競争は米中の大手テック企業に集中しがちですが、韓国やインドなどからも独自のアプローチで市場参入するスタートアップが増えています。

詳細記事: 韓国Waddle、AIコマースエージェントGentooで米国市場に挑む

Netcore Unbxd、エージェンティックマルチモーダル検索を発表

Netcore Unbxdが、テキスト・画像・会話を統合した「エージェンティックマルチモーダル検索」を発表しました。EC向けの商品検索を、従来のキーワードベースからAIエージェントが文脈を理解して最適な商品を提案する形に進化させるソリューションです。

複数の入力モダリティ(テキスト、画像、音声)を組み合わせることで、ユーザーの意図をより正確に理解し、コンバージョン率の向上を図ります。

AIコマースツール

OpenAI、ChatGPTショッピングを「発見」重視モデルに転換

TechInformedが、OpenAIがChatGPTのショッピング機能を「発見型」モデルに転換したと報じています。直接購買ではなく商品の発見・比較・推薦に焦点を移した形です。

3月24日のアップデートではビジュアルブラウジング、商品比較、マーチャントカタログデータの統合が追加されました。広告モデルに頼らず、ユーザー体験を最優先するアプローチは、Googleのショッピング広告とは対照的です。

SephoraがChatGPTで購入可能に

RetailDetailが、SephoraがChatGPTのショッピング機能に参入したと報じています。ChatGPTの会話内でSephora商品を閲覧・購入できるようになりました。Beauty Insiderロイヤルティプログラムと連携し、会話型のインターフェースで商品レコメンデーションを行います。

グローバルEC動向

WTO MC14でEC関税モラトリアムが失効——1998年以来初の事態

WTO(世界貿易機関)の第14回閣僚級会議(MC14)がカメルーン・ヤウンデで閉幕し、1998年から続いてきた電子商取引に対する関税免除(モラトリアム)が初めて失効しました。合意に至らなかったことで、各国が独自にデジタル関税を導入する可能性が開かれます。

EC事業者への直接的な影響は現時点では限定的ですが、今後各国がデジタル関税を導入した場合、越境ECのコスト構造が大きく変わる可能性があります。ITIFの分析によれば、米国は戦略的な通商政策の再構築が必要と指摘されています。

タイ、EC免税廃止と40%関税導入へ

Nation Thailandが、タイ税関がEC小包への免税制度を廃止し、40%の関税を課す計画を報じています。東南アジアで進む越境ECへの規制強化の一環です。

Temu、Shein、TikTok Shopなど中国系ECプラットフォームの急成長に対し、各国政府が自国産業保護の観点から規制を強化する動きが加速しています。WTOモラトリアムの失効とあわせて、越境ECを取り巻く環境は厳しさを増しています。

企業動向・提携

Meta、Shoptalk 2026でソーシャルコマース新ツールを発表

Home News Nowが、MetaがShoptalk 2026でリテーラー向けの新しいソーシャルコマースツールを発表したと報じています。Instagram、Facebook上でのショッピング体験をさらに強化し、ソーシャルコマースの拡大を進めています。

決済・フィンテック

Amex、AIツール活用で決済体験を進化

Payments Diveが、American ExpressのAIツール活用戦略を報じています。同社CEOはAIの活用領域を「数百」特定しており、決済体験の向上からリスク管理まで幅広く導入を進めています。

物流・フルフィルメント

Amazon、配送利便性を次のレベルへ

FreightWavesが、Amazonの配送利便性向上施策を報じています。即日配送・時間指定配送のさらなる拡充により、EC事業者に対する配送スピードの競争圧力が一層高まっています。

まとめ

エージェンティックコマース領域では、AlibabaのQwen補助金戦略、Shoptalkでのリテールメディアの危機感、DeeplumenのOCP発表、Waddleの米国展開と、インフラからアプリケーションまで幅広い動きが見られました。AIエージェントが購買プロセスに関与する範囲は日々拡大しており、EC事業者はAIチャネル対応を戦略的に進める必要があります。

グローバルEC動向としては、WTO MC14でのEC関税モラトリアムが1998年以来初めて失効し、タイでもEC小包への40%関税導入が計画されるなど、越境ECを取り巻く環境が厳しさを増しています。