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2026年1月11日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年1月11日)

目次
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この記事のポイント

  1. MicrosoftがCopilot内で決済完結する「Copilot Checkout」を発表、AIコマース競争が激化
  2. 消費者の58%がAIツールで製品調査、しかし購入完結への信頼は17%にとどまる
  3. IKEA、値下げ戦略で販売量2.6%増もマージン減少で利益は26%減

今日の注目ニュース

MicrosoftがCopilot Checkoutを発表、AIアシスタント内で決済完結が可能に

MicrosoftとPayPalは1月9日、AIアシスタント「Copilot」内で商品購入を完結できる新機能「Copilot Checkout」を発表した。

Copilot Checkoutでは、ユーザーがAIとの会話の中で商品を検索・比較し、外部サイトに遷移することなくそのまま決済まで完了できる。決済インフラにはPayPal、Stripe、Shopifyが採用され、Urban Outfitters、Anthropologie、Ashley Furnitureなどのブランドが初期パートナーとして参加している。Etsy出品者の商品も購入可能だ。

Shopify加盟店は自動的にCopilot Checkoutに登録され(オプトアウト可能)、非Shopify加盟店はMicrosoftのポータルから申請できる。約1億人の月間アクティブユーザーを持つCopilotは、ChatGPT(週間8億人)には及ばないものの、OpenAI、Amazon、Googleに対抗するAIコマースの新戦線を開いた形だ。

消費者の58%がAI活用で商品調査、しかし購入完結への信頼はわずか17%

ChannelEngineが発表した「Marketplace Shopping Behavior Report 2026」によると、消費者の58%がAIツールを使って商品調査を行っていることが明らかになった。

米国、英国、フランス、ドイツ、オランダの4,500人を対象とした調査では、37%がAIアシスタントを通じて購買プロセスを開始した経験があると回答。一方で、AIを通じた購入完結に「安心感がある」と答えたのはわずか17%にとどまった。

AIは商品発見・比較のツールとしては浸透しているものの、最終的な購入決定においては人間の判断や従来のチェックアウトプロセスへの信頼が根強いことを示している。また、53%の消費者が複数のマーケットプレイスで同一商品を比較し、平均3つのプラットフォームを閲覧してから購入を決定していることも判明した。

エージェンティックコマース

AIが決済業務のバックオフィス自動化を加速、Deloitteレポート

消費者向けエージェンティックAIコマースが注目を集める中、Deloitte Consultingの2026年トレンドレポートは、より大きなビジネス機会がバックオフィス業務にあると指摘している。

Deloitteのグローバル決済リーダーZachary Aron氏によると、「照合、請求書マッチング、例外処理など、ミドル・バックオフィス系の業務でAIエージェントが活用されるようになる」という。AIパイロットを実施してきた企業にとって、2026年はその投資を本格化させる年になると予測されている。

決済業務におけるAI活用は、文書処理、取引ルーティング、督促、照合ワークフローの自動化により、チーム生産性を5〜45%向上させる可能性がある。Capgeminiの「World Payments Report 2026」によれば、決済テック企業の60%がすでにGenAIを導入済みだ。

企業動向・提携

KrogerがVitacostをiHerbに売却、ヘルスケアEC事業を手放す

米スーパーマーケット大手Krogerは1月9日、傘下のヘルス&ウェルネスECサイト「Vitacost.com」をiHerbに売却したと発表した。取引は1月8日に完了している。

Krogerは2014年に約2億8,000万ドルでVitacostを買収していたが、今回の売却は「非コア資産の見直し」の一環として実施された。同社は昨年、全米で60店舗の閉鎖計画を発表し、自動倉庫運営のOcadoとの提携も縮小するなど、コア事業への集中を進めている。

iHerbにとっては、Vitacostの4万点以上の商品カタログと既存顧客基盤を獲得し、米国内事業を強化する好機となる。iHerbは世界180カ国、1,400万人のアクティブ顧客を抱えるグローバルなヘルス&ウェルネスECプラットフォームだ。

IKEA、値下げ戦略で販売量増も利益は26%減

Inter IKEA Groupは2025年度決算で、純利益が15億ユーロ(前年22億ユーロから26%減)となったことを発表した。

利益減少の主因は、過去最大級の値下げプログラムの実施だ。消費者の購買力を支援するため、IKEAはフランチャイジーへの卸売価格を引き下げ、粗利益率は16.0%から14.2%に低下した。一方、この戦略により販売量は2.6%増加し、店舗来店数も2%増の9億1,500万回に達した。

関税や原材料価格の変動、とくに米国の貿易関税発表に伴う不確実性が収益を圧迫した。IKEAは2026年度も現行の価格水準を維持し、「緩やかな成長」を見込むとしている。

消費者動向

Shopifyが2025年ホリデーシーズンのギフトトレンドを発表、DIYキットと懐かしのおもちゃが人気

Shopifyの2025年ホリデーシーズンデータによると、DIYキットやクラシックなおもちゃが大きな売上を記録した。

セルフケア関連では、照明付きバニティミラーの注文が157%増加。バススポンジ(46%増)、アイマスク(35%増)、マニキュアツールセット(34%増)など、「グロウアップ」ギフトが好調だった。

懐かしのおもちゃカテゴリでは、ヨーヨーが76%増、万華鏡が64%増、フットバッグ(お手玉)が61%増と、クラシックな遊び道具への回帰が見られた。フラフープ(33%増)、おもちゃの電車(29%増)も堅調だ。

新年に向けてはパーティーグッズが急伸し、ノイズメーカー(95%増)、パーティーハット(85%増)、カクテルグラス(48%増)、シャンパンフルート(40%増)が売上を伸ばした。

グローバルEC動向

ベトナムEC市場、物流インフラが成長のボトルネックに

ベトナムのEC市場は2025年に260〜280億ドル規模に達する見込みだが、物流インフラの遅れが持続的成長の障壁となっている。

倉庫、ラストマイル配送、地方カバレッジ、コールドチェーンの整備が成熟市場に比べて遅れており、2025年に導入された新たな道路安全規制により、長距離・重量貨物の物流コストが最大20%上昇したという報告もある。

プラットフォーム間の競争激化による「資金消耗戦」も課題だ。割引、送料無料、インフルエンサーマーケティング、物流拡大への重投資がマージンを圧迫している。また、データ分析、オムニチャネル、AI活用などの専門人材不足も成長の制約となっている。

政府は2025年10月に「物流サービス発展国家戦略2025-2035」を承認。2026年からの第4段階では、より持続可能で規制された成長を目指す方針だ。

決済・フィンテック

サブスクリプションコマースプラットフォーム市場、2031年に402億ドル規模へ

Market Research Intellectの最新レポートによると、サブスクリプションコマースプラットフォーム市場は2031年までに402億ドル規模に達する見通しだ。

2024年の市場規模は155億ドルと推定され、2025年から2031年にかけてCAGR(年平均成長率)12.3%で成長すると予測されている。消費財・小売分野での産業採用拡大と継続的なイノベーションが成長を牽引する。

より広義のサブスクリプションEコマース市場は、2025年の205.8億ドルから2034年には460.5億ドルに拡大すると見込まれており(CAGR 9.36%)、定期購入型のビジネスモデルへの関心が高まっている。

まとめ

2026年1月11日のEC・AIコマース業界は、MicrosoftのCopilot Checkout発表に象徴されるように、AIアシスタント内での購買完結という新たな競争軸が明確になった一日だった。OpenAI、Amazon、Googleに続き、Microsoftも本格参入したことで、「会話からコンバージョンへ」の流れが加速している。

一方で、消費者調査が示すように、AIは商品発見・比較ツールとしての役割は確立しつつあるものの、最終的な購入決定における信頼獲得はこれからの課題だ。IKEA の事例が示すように、インフレ下での価格戦略とマージン管理のバランスも、小売企業の共通テーマとなっている。

明日以降は、NRF 2026(全米小売業協会カンファレンス)での各社発表に注目したい。エージェンティックAIのリテール領域への適用がさらに具体化していく見込みだ。