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2026年1月29日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年1月29日)

目次
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この記事のポイント

  1. Zuckerbergがエージェンティックコマースツールの展開を予告、Meta本格参入へ
  2. McKinseyがエージェンティックコマースの自動化カーブを分析、小売業界の変革を展望
  3. IPG調査でレガシーブランドがAIコマース対応で新興勢力に敗北と判明

今日の注目ニュース

Zuckerberg、エージェンティックコマースツールと大規模AI展開を予告

MetaのMark Zuckerbergは、Q4 2025決算発表の場で、2026年にエージェンティックコマースツールを展開する計画を明らかにしました。「今後数ヶ月で新しいモデルの出荷を開始する」と述べ、2026年を「パーソナルスーパーインテリジェンスを届ける大きな年」と位置づけています。

Metaは2025年半ばにAI研究部門を「superintelligence labs」として再編しており、今回の発表はその延長線上にあります。Facebook、Instagram、WhatsAppといった巨大プラットフォーム上でAI購買エージェントが動作することになれば、エージェンティックコマースの普及に大きなインパクトを与えることになります。

決済・物流・商品データの各レイヤーでMetaがどこまで踏み込むかが、今後の注目ポイントです。

詳細記事: Zuckerbergが予告する「エージェンティックコマース」── Meta決算で見えた2026年AI戦略の全貌

McKinsey、エージェンティックコマースの「自動化カーブ」を分析

McKinsey & Companyは、エージェンティックコマースにおける自動化の進展を「自動化カーブ」として体系的に分析したレポートを公開しました。AIショッピングエージェントが小売業界をどのように変革するかを、段階的なフレームワークで示しています。

レポートでは、機械可読な商品情報の整備、AIエージェントとの連携インターフェース構築、そして完全自動化された購買フローの実現までを段階的に整理しています。小売業者にとっては、自社がこのカーブのどの段階にいるかを把握し、次のステップに向けた準備を進めることが急務です。

コンサルティング大手がエージェンティックコマースを本格的に取り上げたことで、経営層の意思決定にも影響を与える可能性があります。

詳細記事: McKinseyが提唱する「エージェンティックコマースの自動化カーブ」

エージェンティックコマース

IPG調査: レガシーブランドがエージェンティックコマース戦争で敗北

大手広告グループIPGが発表した「Agentic Systems in Commerce」レポートが、Amazonマーケットプレイスのデータを分析し、レガシーブランドと新興ブランドの間に大きなパフォーマンス格差があることを明らかにしました。

調査によると、チャレンジャーブランドが分析対象18カテゴリ中16カテゴリで勝利しており、15カテゴリでは勝率差が15%を超えています。特にヘルスケア分野では86ポイントもの差が開いています。その背景には、大手CPGブランドの商品ページの最大90%が数ヶ月から数年間更新されていないという構造的な問題があります。

ChatGPTなどのAIツールが商品発見の主要チャネルになるにつれ、コンテンツを継続的に更新できるブランドが優位に立つことになります。レガシーブランドにとっては、オペレーションの近代化が急務です。

詳細記事: IPG調査が暴く「エージェンティック・コマース戦争」――レガシーブランドはなぜ負けているのか

Talon.One、エージェンティックコマース向け統一インセンティブプロトコルを発表

プロモーション・ロイヤルティプラットフォームのTalon.Oneは、エージェンティックコマースにおけるロイヤルティとプロモーションを機械可読にする「Unified Incentives Protocol」を発表しました。ネイティブMCPサーバーサポートも含まれています。

AIエージェントがクーポンやポイント、割引などのインセンティブ情報をプログラム的に読み取り、消費者に最適なオファーを提示できるようになります。これまで人間が手動で確認していたプロモーション情報が、AIエージェントのワークフローに自動的に組み込まれることになります。

エージェンティックコマースの実装レイヤーとして、決済・商品情報に続いてロイヤルティ分野でも標準化が進んでいることを示す動きです。

詳細記事: Talon.Oneが「Unified Incentives Protocol」を発表 ― AIエージェントにロイヤルティと割引を"見せる"新標準

VGS「Agent Connect」イベントを発表

決済トークナイゼーションのリーダー企業VGSが、エージェンティックコマースの未来を探る1日限りのイベント「Agent Connect」を発表しました。

VGSはエージェンティックコマースインフラを自社の中核領域と位置づけており、決済データの安全な取り扱いとAIエージェントの連携に特化しています。同社のイベントは、エージェンティックコマースが業界として独立したエコシステムを形成しつつあることを象徴しています。

AIコマースツール

AI検索がEC市場5950億ドルを2028年までに再形成: Euromonitor

Euromonitor Internationalのレポートによると、AI搭載の検索・発見機能がリテールEC市場を根本的に変革し、2028年までに5950億ドル規模の市場を再形成する見込みです。

従来の「キーワード検索→商品一覧スクロール→比較」という購買フローが、会話型AIとの対話で完結するようになりつつあります。これにより購買ジャーニーが大幅に圧縮され、商品発見からコンバージョンまでの経路が根本的に変わります。

AIからECサイトへの流入が2025年に302%急増

Euromonitor Internationalのデータによると、AIツールからECサイトへのリファラルは2025年1月から12月にかけて302%増加しました。他のリファラルソースの23%増と比較すると、その伸びは圧倒的です。

特に注目すべきは、米国の既存スキンケアブランドの約半数が、消費者がAIツール経由で商品を発見するようになるにつれて市場での存在感を失う可能性があるという指摘です。Euromonitorのグローバルインサイトマネージャー、Rabia Yasmeen氏は「消費者の行動が、キーワード入力と商品リストのスクロールから、自然言語での会話へと変化した」と述べています。

決済・フィンテック

決済プロセッサーがAIコマース戦争で陣営を選択: Stripe vs PayPal

AIコマースの台頭を受けて、決済プロセッサー大手が異なる戦略を打ち出しています。StripeはAIネイティブなインフラ構築に注力し、開発者・AIエージェント向けのAPI最適化を推進しています。一方PayPalは、既存の消費者基盤を活かしたAIコマース対応を進めています。

両社のアプローチの違いは、エージェンティックコマースにおける決済の未来が一枚岩ではないことを示しています。マーチャントにとっては、自社のビジネスモデルに合った決済パートナーの選択がより重要になってきます。

グローバルEC動向

ラテンアメリカEC市場、2150億ドル超へ

Digital Commerce 360のレポートによると、ラテンアメリカのEC市場は2150億ドルを超える見通しです。MercadoLibreを中心に、同地域のEC成長率は世界平均を上回っています。

注目すべきは、調査対象の消費者の半数が「一度でもネガティブな体験をしたらそのプラットフォームを離れる」と回答している点です。成長市場であると同時に、顧客体験の品質が競争力を左右する厳しい市場でもあります。

企業動向

Allbirds、全米店舗を閉鎖しEC専業へ転換

DTC(Direct-to-Consumer)ブランドの代表格だったAllbirdsが、全米のフルプライス店舗を閉鎖し、2つのアウトレット店舗のみを残すことを発表しました。ピーク時には60店舗以上を運営していましたが、グローバルで直営4店舗のみとなります。

Allbirdsはかつてシリコンバレーで「テックブロお気に入り」として人気を博しましたが、競争激化と成長鈍化により実店舗戦略の見直しを迫られました。EC専業への回帰は、D2Cモデルの限界と進化を象徴する動きと言えます。

Forbes: AIは実店舗小売を破壊するか、それとも救うか

Forbesの分析記事が、EC成長の鈍化を背景に、小売業者がAIを活用して店内ショッピング体験を再発明しようとしている動向を取り上げています。

パーソナライゼーション、ガイダンス、商品発見といった領域でAIを活用することで、実店舗ならではの体験価値を高めようとする動きが加速しています。オンラインとオフラインの境界がAIによってさらに曖昧になりつつある中、実店舗の役割は「販売の場」から「体験の場」へと変化しています。

物流・フルフィルメント

DHL等、米国税関のPostal Import Parties承認を取得

DHLのeCommerceおよびGlobal Forwarding部門が、米国税関国境警備局(CBP)から「Qualified Postal Import Parties」の承認を取得しました。郵便関税の徴収・送金が可能な事業者として認定されたことになります。

これにより、越境EC事業者にとっては通関プロセスの選択肢が広がり、配送スピードやコストの最適化が期待できます。トランプ政権下での関税政策の変化と合わせて、越境EC物流の環境が変わりつつあります。

まとめ

本日のニュースでは、エージェンティックコマース関連の動きが特に活発でした。MetaのZuckerbergが本格参入を予告し、McKinseyが体系的な分析を公開、IPGの調査がレガシーブランドの課題を浮き彫りにし、Talon.Oneがロイヤルティ分野での実装を発表するなど、エージェンティックコマースが「コンセプト」から「実装」のフェーズに移行していることが鮮明です。

AIからECサイトへのリファラルが302%増加したEuromonitorのデータも、AIコマースが実際のトラフィックと売上に直結し始めていることを裏付けています。明日以降は、Metaの具体的なツール発表や、McKinseyレポートへの各社の反応に注目です。