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2026年1月30日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年1月31日)

目次
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この記事のポイント

  1. SalesforceとGoogleがAIショッピング向け「Universal Commerce Protocol」を共同発表
  2. エージェンティックAIプロトコル乱立時代の全体像をThe Registerが整理
  3. Visa・Mastercardが決算で揃ってエージェンティックAI戦略を強調

今日の注目ニュース

SalesforceとGoogleが「Universal Commerce Protocol」を発表、AIショッピングの標準化へ

SalesforceとGoogleは、AIエージェントがECサイトと標準化された方法で通信するための新しいオープンプロトコル「Universal Commerce Protocol(UCP)」を共同で発表しました。

UCPは、AIショッピングエージェントが商品検索、価格比較、在庫確認、購入処理などを統一されたインターフェースで実行できるようにする仕組みです。これまでAIエージェントは各ECサイトごとに個別の連携が必要でしたが、UCPによってプラットフォームを問わずシームレスなショッピング体験が実現します。

SalesforceのCommerce Cloud基盤とGoogleのAI技術を組み合わせた本プロトコルは、エージェンティックコマースのインフラ標準化において大きな一歩です。小売事業者にとっては、UCP対応によってAIエージェント経由の売上チャネルを効率的に開放できる可能性があります。

詳細記事: SalesforceとGoogleが「Universal Commerce Protocol」を共同発表、AIショッピングの新標準が始動

エージェンティックAIプロトコルの「アルファベットスープ」を読み解く

The Registerは、急速に増加するエージェンティックAI関連プロトコル群を整理した解説記事を公開しました。MCP(Model Context Protocol)、UTCP、A2A(Agent-to-Agent)など、各プロトコルの位置づけと違いを分析しています。

ツール連携、エージェント間通信、UI制御、そしてEコマースと、それぞれの領域で異なるプロトコルが競合している現状を明快にマッピングしています。特にEコマース領域では、前述のUCPを含め複数の標準化の試みが進行中です。

業界関係者にとって、乱立するプロトコルの全体像を把握し、自社の対応方針を決める上で有用な整理となっています。

詳細記事: MCP、A2A、UCP――乱立するエージェンティックAIプロトコルを整理する

エージェンティックコマース

VisaとMastercard、決算で揃ってエージェンティックAI戦略を強調

VisaとMastercardの両社が今週の決算発表で、エージェンティックAI決済ツールの2026年中のグローバル展開に向けた計画を明らかにしました。

Visaはクレデンシャル管理の強化とAIエージェント向けのセキュア決済基盤を推進しています。Mastercardは先日発表した「Agent Suite」を軸に、マーチャント側のAIエージェント対応を支援する方針です。決済ネットワーク2大巨頭が揃ってエージェンティックコマースを成長分野と位置づけたことで、2026年は実装フェーズに入る見通しです。

Rezolve AI、2.5億ドル調達後に株価17.4%下落 — エージェンティックコマース事業の評価に注目

エージェンティックコマース企業のRezolve AIは、2.5億ドルの登録直接募集を完了しましたが、希薄化懸念から株価が17.4%下落しました。

調達資金はエンタープライズ展開の拡大、M&A、営業体制の強化に充てられます。同社の「Agentic Checkout」プラットフォームは、AIによる会話型コマースにおけるセキュアな決済レイヤーとして設計されています。エージェンティックコマース専業企業の大型調達として、市場の関心と評価が分かれる事例です。

AIコマースツール

Talkdesk、AI搭載コマースオーケストレーションプラットフォームを発表

コンタクトセンター大手のTalkdeskは、小売業界向けのAI駆動プラットフォーム「Talkdesk Commerce Orchestration」を発表しました。

小売とCX(カスタマーエクスペリエンス)の自動化を統合するプラットフォームで、注文管理、顧客対応、在庫連携をAIがオーケストレーションします。コマースとCXの融合は、エージェンティックコマース時代の重要なトレンドの一つです。

AIによる商品発見がブランドサイトへのトラフィックを押し上げ

Future Commerceが米国の2025年ホリデーシーズンの消費者調査を発表しました。AIが商品を推薦した場合、77%の消費者がAIプラットフォームを離れてブランドの公式サイトで購入すると回答しています。

この結果は、AIエージェントがすべての購買を完結させるという予測に対する反証です。Gen Zの35%、Gen Xの40%がAI推薦に基づいて実店舗よりもオンラインで購入すると回答しており、AIが実店舗に与える影響がデジタルよりも早く現れる可能性も示唆されています。ブランドにとっては、AIでの可視性確保が今後の集客に直結する重要な知見です。

Gemini Checkout、米国でeコマースストアに新たなトラフィック導線を提供

GoogleのAIアシスタント「Gemini」に決済機能「Gemini Checkout」が米国で導入されました。

eコマースストアにとっては、Google検索やGeminiとの会話から直接購入につながる新しいトラフィックゲートとなります。チェックアウトフローとコンバージョンの形が変わる可能性があり、AIプラットフォーム経由の売上チャネルがさらに拡大しています。

企業動向・提携

Saks Global、Off 5th大半を閉鎖しAmazon提携も終了

Saks Globalは、オフプライス事業「Saks Off 5th」の大半の店舗閉鎖とeコマース全面停止を発表しました。残る約12店舗では、Saks Fifth Avenue、Neiman Marcus、Bergdorf Goodmanの残余在庫のみを販売します。

また、Amazonとのパートナーシップ「Saks on Amazon」も終了します。破産手続きの中で、ラグジュアリー本業への集中を鮮明にした形です。ラグジュアリーECの事業モデル再編が加速しています。

Instacart、Costcoの欧州食品デリバリーを技術支援

Costcoは、スペインとフランスでのオンライン食品注文にInstacartの技術を採用します。北米以外での提携拡大は初めてで、Instacartの海外成長戦略の一環です。

食品ECのグローバル展開において、テクノロジープラットフォームとして海外市場へ進出するInstacartの新たな成長モデルが注目されます。

DoorDash、Hibbett提携とAI人材採用でコマース領域を拡大

DoorDashは、スポーツ用品チェーンHibbettとの全米パートナーシップを発表し、アスレチックフットウェアやアパレルのオンデマンド配送を開始します。

さらに、Tesla・Boston Dynamics出身のAI・ロボティクスリーダーMilan Kovacを取締役に招聘しました。フードデリバリーから日用品コマースへの拡張と、AI・自動化への投資を同時に進めています。

TikTok買収確定、米国小売業者に「待ちの時代」の終了を告げる

TikTokの米国事業買収が確定し、Chain Store Ageは「米国の小売業者がTikTokに参入しない理由はもうない」と論じています。

買収確定によりプラットフォームの継続性が担保され、TikTok Shopを含むコマース機能への投資リスクが低下しました。特に若年層へのリーチにおいて、TikTokの存在感は今後さらに増すことが予想されます。

グローバルEC動向

韓国EC市場、小売規制の遅れを尻目に成長が加速

韓国のEC市場が既存の小売規制を追い越すペースで成長を続けています。毎日経済が報じたところによると、従来の小売規制がECの実態に追いついておらず、規制のギャップが拡大している状況です。

Coupangをはじめとする韓国ECプラットフォームの急成長に対し、既存の法的枠組みの見直しが急務となっています。

物流・フルフィルメント

UPS対Temu、物流をめぐる法的紛争

物流大手UPSと中国EC大手Temuが法廷で争っています。UPSが先日発表した大規模な人員削減の背景にはAmazon取引の縮小がありましたが、同時にTemuとの物流契約をめぐっても紛争が発生しています。

越境ECの急成長に伴い、物流パートナーシップの摩擦が表面化するケースが増えています。

まとめ

本日のニュースでは、エージェンティックコマースのインフラ整備が一段と加速している様子が鮮明です。SalesforceとGoogleのUCP発表は、AIショッピングエージェントの標準プロトコルという新たなレイヤーの登場を意味します。The Registerの整理記事が示すように、MCP、UTCP、A2A、UCPと複数のプロトコルが乱立する「アルファベットスープ」状態ですが、今後はデファクトスタンダードの争いが本格化するでしょう。

VisaとMastercardが揃って決算でエージェンティックAIを成長戦略の柱と位置づけたことは、決済インフラ側の準備が着実に進んでいることを示しています。一方で、Future Commerceの調査が示す「AIが推薦してもブランドサイトで買う」という消費者行動は、AIエージェント時代においてもブランドの重要性が変わらないことを裏づけています。