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2026年2月26日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年2月26日)

目次
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この記事のポイント

  1. Stripe年次レターがエージェンティックコマースの「現実」を報告、ボット決済は着実に増加も全体の1%未満
  2. Perplexity AIがPayPal連携でチャット内ショッピングを実現、検索から購入の一気通貫体験へ
  3. B2B・決済・信頼性など、エージェンティックコマースの実装課題が各領域で浮き彫りに

今日の注目ニュース

Stripe年次レターが示すエージェンティックコマースの現在地――「着実だが、まだ序章」

Stripeが2026年の年次レターを公開し、エージェンティックコマースの進捗状況について詳細な分析を示しました。共同創業者のパトリック・コリソン氏は、AIエージェントによるコマースの「奔流(torrent)」が2026年中に訪れると予測しています。

同レターによると、Stripeプラットフォーム上でのボットによる決済トラフィックは着実に増加しているものの、全体に占める割合はまだ1%未満にとどまっています。これはエージェンティックコマースが「話題先行」ではなく、実際の取引データに基づいた現実的な評価として注目に値します。

Stripeは同時に、AIエージェントがカード情報を入力してチェックアウトする新しい決済フローへの対応を進めており、エージェント専用のAPIやセキュリティ機能の開発を加速させています。決済インフラ大手がエージェンティックコマースの「基盤側」に本格投資している点は、今後の市場形成を占う重要なシグナルです。

詳細記事: Stripe年次レターが示すエージェンティックコマースの現在地

PerplexityがPayPal連携でチャット内ショッピングを実現――AI検索からワンストップ購入へ

AI検索エンジンのPerplexityが、PayPalとの連携によるチャット内ショッピング機能を展開しています。ユーザーはPerplexityの会話インターフェース内で商品を発見し、そのままPayPalで決済を完了できます。

従来のEC購買フローでは「検索→比較→サイト訪問→カート→決済」と複数ステップが必要でしたが、Perplexityのアプローチはこれを会話の中に圧縮します。AIが商品情報を集約・比較し、ユーザーの質問に答えながら購入までをシームレスに導く仕組みです。

エージェンティックコマースの「具体的な消費者体験」として、検索エンジンからECプラットフォームへの直接的な購買導線が形成されつつある点は、EC事業者にとって新たなチャネル戦略の検討を迫るものです。

詳細記事: PerplexityがPayPal連携でチャット内ショッピングを本格展開

エージェンティックコマース

Deloitte調査:B2BサプライヤーのエージェンティックAI導入、ERP刷新の遅れがボトルネックに

Deloitte Digitalの最新調査によると、B2BサプライヤーにおけるエージェンティックAIの導入は、多くの経営層が想定しているよりも大幅に遅れています。主な原因として、レガシーERPシステムの刷新が進んでいない点が指摘されています。

B2C領域ではAIチャットボットやレコメンドエンジンの導入が進む一方、B2B領域では複雑な価格設定、カスタム見積もり、承認フローなどがAIエージェント化のハードルとなっています。ERPとコマースプラットフォームの統合が不十分な企業では、エージェンティックAIの導入効果も限定的になるとDeloitteは分析しています。

B2B EC事業者にとって、エージェンティックAI導入の前提として基幹システムの近代化が急務であることを示す調査結果です。

詳細記事: Deloitte調査:B2BサプライヤーのエージェンティックAI導入遅れ

Circle、ステーブルコインとエージェンティックコマースの融合を推進

USDCの発行元であるCircleが、ステーブルコインをエージェンティックコマースの決済基盤として位置づける戦略を明らかにしています。AIエージェントが自律的に決済を行う際、従来のクレジットカードネットワークではなくステーブルコインを決済レールとして活用する構想です。

プログラマブルな特性を持つステーブルコインは、AIエージェントが条件付き決済や自動精算を実行する上で従来の決済手段より適しているとCircleは主張しています。エージェント間のマイクロペイメントや即時決済にも対応しやすい点が強みです。

暗号資産業界からエージェンティックコマースの決済インフラに参入する動きとして、既存カードネットワークへの挑戦という側面も持っています。

詳細記事: Circleがステーブルコインをエージェンティックコマースの決済基盤に

エージェンティックAIの信頼性確保へ、セキュリティ・透明性フレームワークの構築が加速

エージェンティックAIの急速な普及に伴い、セキュリティと透明性を担保するフレームワークの構築が業界全体で急務となっています。AIエージェントが商取引や本人認証を代行する際、そのネットワークの安全性をどう確保するかが大きな課題です。

現状では、AIエージェントの行動を監査・検証する標準的な仕組みが存在せず、不正利用やなりすましのリスクが指摘されています。生体認証やデジタルIDと連携した信頼性フレームワークの策定に、複数の業界団体が動き始めています。

エージェンティックコマースの普及には「技術の進歩」だけでなく「信頼の基盤」が不可欠であることを示す動きです。

詳細記事: エージェンティックAIの信頼フレームワーク構築が加速

AIコマースツール

Reddit、AIショッピング検索機能をテスト中――コミュニティ推薦を購買導線に

Redditが、AIを活用した新しいショッピング検索機能のテストを米国の一部ユーザーを対象に開始しました。この機能は、コミュニティの推薦データをもとに商品カルーセルを表示し、価格・画像・購入リンクを直接提示するものです。

Redditの強みは、実際のユーザーレビューや議論に裏打ちされた「本音のレコメンデーション」にあります。AIがこれらのコミュニティデータを解析し、検索クエリに対して最適な商品を提案する仕組みは、従来の広告ベースのショッピング検索とは一線を画しています。

CGM(Consumer Generated Media)プラットフォームがEC機能を強化する動きとして、EC事業者はRedditを新たな販売チャネルとして意識する必要が出てきます。

詳細記事: RedditがAIショッピング検索機能をテスト

Klaviyo × Google、AIコマース領域で戦略提携を拡大

マーケティング自動化プラットフォームのKlaviyoが、Googleとの戦略提携を拡大し、AIを活用したパーソナライズドショッピング・広告ツールの提供を強化すると発表しました。発表を受けてKlaviyoの株価は上昇しています。

この提携により、KlaviyoのカスタマーデータとGoogleの広告・AI技術を組み合わせた、より精度の高いターゲティングとコマース体験が実現されます。EC事業者がファーストパーティデータを活用してGoogle広告のパフォーマンスを最大化する新たな手段となります。

マーテックとアドテックの融合がAIによって加速している象徴的な事例です。

企業動向・提携

MercadoLibre、AI戦略の次なるステップを公表――広告収益67%増、決済アシスタントが87%の問い合わせを自動解決

LatAm最大のECプラットフォームであるMercadoLibreが、AI戦略の詳細と次のステップを明らかにしました。2025年Q4にはAI駆動の広告ツールがMercado Ads収益を為替中立ベースで67%押し上げ、決済サービスMercado PagoのAIアシスタントは問い合わせの87%を人間の介在なしで解決しています。

広告・決済・物流の各領域にAIを本格投入し、収益性とユーザー体験の両面で成果を出している点は、グローバルEC企業のAI活用モデルとして参考になります。

Wayfair、2026年の成長施策とAI活用計画を発表

家具・インテリアEC大手のWayfairが、共同創業者のニラジ・シャー氏とスティーブ・コニン氏の連名で2026年の成長戦略を発表しました。商品ラインナップの拡充、価格競争力の強化、配送改善に加え、AIの活用をチャットボットからより複雑なワークフローやデザインアシスタントへ拡大する方針です。

家具ECという高単価・低頻度カテゴリにおけるAI活用の深化として注目される動きです。

グローバルEC動向

タイEC市場、2030年に1.8兆バーツ到達予測――AI活用と消費者信頼が成長を牽引

タイのEC市場が2030年までに1.8兆バーツ(約7.5兆円)に到達するとの予測が発表されました。成長の主要ドライバーとして、消費者信頼の向上、AI技術の採用拡大、海外ブランドへの需要増が挙げられています。

Lazadaはタイ市場で「トレードアップ(より高品質な商品への移行)」トレンドを捉え、プレミアム商品カテゴリの強化を進めています。東南アジア主要市場の一つであるタイのEC成長見通しは、同地域への展開を検討するEC事業者にとって重要な指標です。

韓国、EC事業者3,500社向けデジタル支援プログラムを展開

韓国政府が、中小EC事業者3,500社を対象としたデジタル化支援プログラムを開始しました。グローバル展開やデジタルツール導入を支援する内容で、政府主導によるECエコシステムの底上げを狙っています。

アジア各国でEC事業者への公的支援が拡大する中、韓国は特にK-コマースのグローバル展開を後押しする姿勢を鮮明にしています。

Meta × インド小売業協会、AIがインドのオムニチャネル購買を加速

Metaがインド小売業協会(RAI)と共同で、インドのオムニチャネルリテールに関するホワイトペーパーを発表しました。インドのEC市場は2030年までに$200-300Bに倍増する見通しで、AIとオムニチャネル戦略がその成長を牽引すると分析しています。

WhatsAppやInstagramを活用した対話型コマースがインドで急成長しており、AI技術との組み合わせで店舗とオンラインの購買体験を統合する動きが加速しています。人口14億人の巨大市場におけるAIコマースの実態を示す重要なデータです。

まとめ

本日のニュースは、エージェンティックコマースが「話題」から「実装」フェーズに移行しつつある状況を多角的に映し出しています。Stripeの年次レターが示す「着実だが慎重な成長」という評価は、業界全体の現在地を端的に表現しています。

一方で、PerplexityのPayPal連携やCircleのステーブルコイン活用など、具体的な実装事例が次々と登場しており、インフラ層での競争が本格化しています。DeloitteのB2B調査が示すように、導入のハードルは領域によって大きく異なり、ERPなど基幹システムの近代化が前提条件となるケースも多いことが明らかになりました。

今後は、Redditのような非EC専業プラットフォームのコマース参入と、エージェンティックAIの信頼性・セキュリティ確保の動きがどう交差するかに注目です。