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2026年2月27日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年2月27日)

目次
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この記事のポイント

  1. Bainがエージェンティックコマースの包括レポートを公開、2030年に最大5000億ドル市場と予測
  2. Mirakl黒字化達成・Google×Klaviyo連携強化など、エージェンティックコマース基盤が急速に整備
  3. eBay大規模レイオフやDHL×JD.com提携など、EC業界の再編と越境EC強化が加速

今日の注目ニュース

Bain、エージェンティックAIが小売業を再定義する包括レポートを公開

コンサルティング大手Bain & Companyが、エージェンティックAIが小売業に与える影響を体系的にまとめたレポート「Agentic AI in Retail」を公開しました。レポートでは、AIエージェントが商品の発見から比較、購入までを自律的に実行するエージェンティックコマースが、2030年までに米国EC売上の15〜25%を占め、市場規模は3,000億〜5,000億ドルに達すると予測しています。

現時点で米国消費者の30〜45%がすでに商品リサーチにAIを活用しており、ホリデーシーズンの買い物をChatGPTやPerplexityで始めるユーザーも17%に上ります。一方で、AIによる完全自律購買には約50%の消費者が慎重な姿勢を示しているとのことです。

Bainは小売企業に対し、(1)AIが代替しにくい独自商品・ロイヤルティプログラムの強化、(2)AI検索への対応を含むリテールメディア戦略の再構築、(3)ファーストパーティデータの保護とAIパートナーとのデータ共有条件の交渉、の3つを戦略的優先事項として提言しています。

詳細記事: Bain & Companyが予測する「2030年に最大5000億ドル」のエージェンティックコマース市場

eBay、800人を対象に大規模レイオフを実施

eBayが全従業員の約6%にあたる800人の人員削減を発表しました。同社は「戦略的優先事項」への資源集中を理由に挙げており、AI投資の強化が背景にあるとみられています。

今回のレイオフは、eBayがトレーディングカードマーケットプレイス「TCGPlayer Hub」を買収した直後のタイミングで実施されました。EC業界ではAI活用に向けた投資と、それに伴う組織再編が同時に進行しており、eBayもこの流れに沿った動きと言えます。テック業界全体で続くリストラの波がEC分野にも波及している状況です。

エージェンティックコマース

Mirakl、黒字化を達成しエージェンティックコマースに注力

マーケットプレイスプラットフォーム大手のMiraklが黒字化を達成しました。同社はEnterprise向けにマーケットプレイス構築ソリューションを提供しており、小売・B2B分野で400以上のクライアントを持つ業界リーダーです。

黒字化という事業基盤の安定化を背景に、Miraklはエージェンティックコマースへの対応を次の成長戦略の柱に据えています。AIエージェントがマーケットプレイス上で自律的に商品を検索・比較・購入する時代に備え、プラットフォーム機能の拡張を進める方針です。マーケットプレイスプラットフォーム事業者がエージェンティックコマースを明確に事業戦略に組み込んだ事例として注目されます。

詳細記事: Mirakl、創業13年で通期黒字化を達成

Google × Klaviyo、エージェンティックコマース向けAI連携を強化

GoogleとCRMプラットフォームのKlaviyoが、エージェンティックコマースを推進するためのAI連携を強化すると発表しました。Google広告・検索・RCSメッセージングとKlaviyoのリアルタイム顧客データを統合し、AIエージェントが顧客の購買行動に基づいて最適なアクションを自動実行する仕組みを構築します。

この提携により、EC事業者はGoogle検索でAIエージェントに「発見」されやすくなるとともに、Klaviyoのデータを活用したパーソナライズされた購買体験をエージェント経由で提供できるようになります。広告、CRM、AIエージェントの三位一体のエコシステムが形成されつつある点が、業界にとって重要な動きです。

詳細記事: GoogleとKlaviyoが戦略提携を発表

AIコマースツール

Bilt、AIネイバーフッドコンシェルジュでChatGPTに対抗

リワードプラットフォームのBilt Rewardsが、AI搭載の「ネイバーフッドコンシェルジュ」機能を発表しました。ユーザーの居住エリアに特化した地元のレストラン、サービス、イベントをAIが推薦する仕組みで、ChatGPTなどの汎用AIとの差別化を図ります。

Biltは家賃支払いでポイントが貯まるリワードサービスとして成長してきましたが、今回のAIコンシェルジュ導入により「住む」から「暮らす」全般をカバーするプラットフォームへの進化を目指しています。地域密着型のデータとAIを組み合わせたローカルコマースのアプローチとして、EC事業者にとっても示唆に富む事例です。

詳細記事: Bilt Rewardsが「AIネイバーフッドコンシェルジュ」を発表

グローバルEC動向

米国EC市場が1.38兆ドルに到達、世界第2位を維持

2025年の米国EC市場規模が1.38兆ドルに達し、世界第2位の地位を維持していることが明らかになりました。首位は引き続き中国で、米中のEC市場格差は依然として大きい状況です。

米国市場ではモバイルコマースの伸長とAI活用による購買体験の進化が成長を牽引しています。1.4兆ドルの大台が目前に迫る中、エージェンティックコマースの普及がさらなる成長を後押しすると予測されています。

Coupang、ベンダーへの不当な価格引き下げ圧力で21.8億ウォンの罰金

韓国EC大手のCoupangが、プラットフォーム上のベンダーに対して不当な価格引き下げ圧力をかけたとして、韓国公正取引委員会から21.8億ウォン(約153万ドル)の罰金を科されました。

Coupangは同時期にデータ漏洩の影響も受けており、四半期収益が市場予想を下回る結果となっています。急成長を遂げてきた同社ですが、規制当局との摩擦やセキュリティ課題への対応が、今後の成長に影響を与える可能性があります。

インドEC市場、2026年に12.4%成長へ——AIとソーシャルコマースが牽引

インドのEC市場が2026年に12.4%の成長を遂げる見通しです。成長の主要ドライバーとして、AIを活用したパーソナライゼーションとソーシャルコマースの拡大が挙げられています。

インドは2030年までにEC市場規模が2,800〜3,000億ドルに達すると予測されており、東南アジアと並ぶグローバルECの成長市場として注目を集めています。地方都市への浸透と決済インフラの整備が、成長の持続性を左右する鍵となります。

企業動向・提携

DHL Group × JD.com、中国-欧州の小売回廊で戦略提携

DHL GroupとJD.comが、ドイツブランドの中国市場進出を支援する覚書を締結しました。この提携は、ドイツのメルツ首相の訪中に合わせて発表されたもので、中国-EU間の越境EC物流を強化する戦略的な枠組みです。

de minimis(少額免税)制度の改革が進む中、越境ECの物流構造が再編されつつあります。DHL×JD.comの提携は、B2Cの越境EC物流における新たなスタンダードを示すものとして、グローバルEC事業者にとって重要な参考事例です。

Shein、サプライチェーン強化に大規模投資を計画

中国発のファストファッションEC大手Sheinが、サプライチェーンの強化に向けた大規模投資を計画していることが報じられました。IPOを見据えた動きとされ、グローバルオペレーションの安定性と効率性の向上を目指しています。

米中間の貿易摩擦やde minimis制度の見直しなど、越境ECを取り巻く規制環境が変化する中、Sheinは供給網の多元化と各国拠点の強化で対応する戦略をとっています。グローバルEC事業者にとって、サプライチェーンのレジリエンス確保がますます重要になっていることを示す動きです。

まとめ

本日のニュースでは、エージェンティックコマースの具体化が一段と加速していることが鮮明になりました。Bainの包括的レポートが市場規模予測を示し、Miraklの黒字化やGoogle×Klaviyoの連携強化など、プラットフォーム側の準備が着実に進んでいます。

一方、eBayの大規模レイオフやCoupangの規制対応など、既存EC企業がAI投資と組織再編を同時に進める難しさも浮き彫りになっています。DHL×JD.comの越境EC提携やSheinのサプライチェーン投資は、グローバルECの物流基盤が再構築されつつあることを示しています。

明日以降は、Bainレポートに対する各企業の反応や、エージェンティックコマース対応の具体的な実装事例に注目していく必要があります。