AIコマース ニュースダイジェスト(2026年9月28日)
2026年9月25日から27日のAIコマースニュース。SharkNinjaがAIエージェントで週約2万件の顧客チャットを処理、Perform.AIが配送実績を軸にしたAIコマースOSを発表、GoKwikはAI音声通話でカゴ落ち回収が倍増したと公表。
この記事のポイント
- SharkNinjaがAIエージェントで週約2万件の接客を処理
- Perform.AIが配送実績を軸にAIコマースOSを発表
- 出品や音声接客など周辺業務のエージェント化が進行
今回は9月25日(金)から27日(日)にかけて報じられた動きをまとめました。前週後半はMetaの「Muse」やGoogleのUCPなど、AIエージェント側の購入窓口が開く話題が中心でした。今回はその反対側、つまりブランドや加盟店がエージェントを迎え入れるために、自社の接客や運用をどう作り替えているかという話題が目立ちます。家電ブランドのSharkNinjaは、顧客チャットの多くをAIエージェントに任せる体制を全世界で立ち上げました。Parcel Performから社名を変えたPerform.AIは、AIエージェントに推薦されるかどうかは広告ではなく配送や返品の実績で決まるという前提で、新しい製品群を発表しています。
今日の注目ニュース
SharkNinja、Salesforceの基盤へ移行して全世界に展開、AIエージェントが週約2万件の顧客チャットを処理

CIOのVelia Carboni氏が、Salesforceとともにエージェント活用の競争を率いている。
diginomica.com掃除機のSharkと調理家電のNinjaを展開するSharkNinjaは、コマース基盤をSalesforceへ移し、9か月で基盤を作り直して米国とカナダで稼働させた後、全世界へ展開しました。CIOのVelia Carboni氏がdiginomicaの取材で明らかにしたもので、Commerce Cloud、Service Cloud、Data 360(旧Data Cloud)、Agentforce、Shopper Agentをあわせて稼働させています。
エージェントの仕事は、購入前の相談にとどまりません。Agentforceは現在、週約2万件の顧客チャットを処理しています。製品に付いたQRコードを読み込むとチャットが立ち上がり、セットアップを案内します。ブラシやフィルターといった交換部品の検索もAIが担います。Carboni氏は、購入直後の接点を担う「unboxing agent」を特に推しており、小売店やAmazon、TikTok Shopで買った顧客を自社の会員として取り込むことを狙いとしています。同社は参入1年足らずで米国のTikTok Shop最大のブランドになったとも述べています。
注目したいのは、エージェントを購入前だけでなく購入後の接点にも置いている点です。多くのブランドは販売の大半を他社チャネルに頼っており、顧客との直接の関係を持ちにくい状況にあります。製品そのものを入口にしてエージェントにつなぐ設計は、自社ECの売上規模にかかわらず応用できます。Salesforceの公開事例では、ショッピング機能を加えたチャットのコンバージョン率を11%としていますが、算定の定義や比較対象は示されていません。
詳細記事: SharkNinjaがAgentforceとShopper Agentを全世界展開、AIエージェントが週2万件のチャットで購入前後の接客を担う事例
Perform.AIが「AIコマースOS」を発表、AIエージェントに推薦されるかは配送実績で決まると主張

Perform.AIは、ECの全工程を対象とするAIコマース・オペレーティングシステムの提供開始を発表した。
thepaypers.com配送追跡データ企業のParcel Performは9月22日、社名をPerform.AIに変え、ECの業務を一体で扱う「AI Commerce Operating System」を発表しました。同社は、消費者の購買を手伝うAIエージェントが価格と配送スピードで商品を評価し、約束どおりに届けた実績のあるブランドだけを推薦するという見方を示しています。ロイヤルティや広告はエージェントの判断に効かず、一貫した運用実績が効くという主張です。
システムは、AI Commerce Visibility、Checkout、Post-Purchase、Returnsの4つのモジュールと、配送会社との日々の連携を担う物流層で構成されます。全体を横断する「AI Decision Intelligence」がデータを読み、次の打ち手を判断して実行します。最適化の目標は粗利です。AI Commerce Visibilityは2025年10月に発表済みの製品で、AIツールがブランド名だけでなく個別の商品ラインや配送、返品についてどう語っているかを示します。
導入企業のマーケティング、物流、カスタマーサービスの各チームは、MCP(Model Context Protocol)経由で自社のEC運用データに接続できます。普段使っているAIツールから、別の管理画面を開かずに照会できる仕組みです。AIエージェントに選ばれる条件として、商品データだけでなく配送や返品の実績まで点検対象に入れた点が、この発表の要点です。
詳細記事: Parcel PerformがPerform.AIに改称し「AI Commerce Operating System」を発表:AIエージェントに選ばれる条件は配送と返品の実績か
エージェンティックコマース
Block、エージェント決済の標準「x402」を推進するx402 Foundationに参加

Block Financial Platformの製品責任者Steve Reis氏によると、Blockはオープンなエージェンティックコマースを推進するためx402 Foundationに参加した。
www.pymnts.comSquareやCash Appを運営するBlockは9月24日、AIエージェントの決済に使うオープン標準x402を推進するx402 Foundationに参加しました。Block Financial Platformの製品責任者Steve Reis氏がブログで明らかにしました。x402は、Webの「402 Payment Required」を使ってエージェントがAPIやデータの利用料をその場で支払えるようにする仕組みです。
Blockは決済と消費者向け製品の知見を財団のワーキンググループに持ち込み、x402のBitcoin Lightning対応への貢献も続けるとしています。同社はこれまでに、オープンソースのAIエージェント「goose」の提供、Agentic AI Foundation(AAIF)の立ち上げ支援、Universal Commerce Protocol(UCP)への参加を進めてきました。
カード網を持たないBlockが、UCPとx402の両方に関わる点は見ておきたいところです。商品購入のチェックアウトと、機械どうしの少額決済を別々の標準で押さえる動きと読めます。加盟店側からは、Square経由でどの標準に対応できるようになるのかが次の確認点になります。
AIコマースツール
GoKwik、WhatsAppのカゴ落ち施策にAI音声通話を加えると回収が倍増、D2C30社のデータを公表

WhatsAppでのAI音声通話がD2Cの回収率と投資対効果を押し上げ、60〜65%の応答率で単一チャネル比2.5倍の購入につながった。
www.thehindubusinessline.comインドのECテック企業GoKwikは、AI Calling機能を使うD2Cブランド30社の6か月分のデータを公表しました。WhatsAppのカゴ落ち施策にAIの音声通話を加えたブランドでは、カゴ落ちからの回収が倍増し、WhatsAppだけの場合と比べて増分の投資対効果が10倍を超えたといいます。
通話の応答率は平均60〜65%でした。AI通話とWhatsAppの両方で接した顧客は、どちらか一方だけの顧客に比べて購入完了の確率が2.5倍でした。同社のKwikEngageは現在、月に100万件を超えるAI通話を処理しています。AIは商品、配送日、支払方法、割引、返品条件といった購入直前の疑問に答えます。
共同創業者兼CEOのChirag Taneja氏は、カゴ落ちの原因は購入意欲や価格だけでなく、答えの出ていない質問であることも多いと述べています。ただし数値はすべて同社の自社データで、第三者による検証は示されていません。7月に紹介したGoKwikとPayUのChatGPT連携に続き、会話で購入を完結させる領域への投資が続いています。
詳細記事: GoKwikのAI音声通話でカゴ落ち回収が2倍に、D2C30社・6か月のデータとWhatsApp併用の読み方
SureDone、出品作業を代行するAIエージェント「Taska AI」を試験提供

マルチチャネルEC向けの出品・在庫・受注管理基盤SureDoneが、自社のコマース基盤上に構築したAI出品エージェント「Taska AI」を発表した。
www.prnewswire.comマルチチャネルの出品・在庫・受注管理を提供するSureDoneは9月23日、AI出品エージェント「Taska AI」を発表しました。一部の試験導入企業で稼働を始めており、今後数週間で段階的に対象を広げます。
Taskaは、SureDoneが持つ商品データ、各チャネルとの連携、出品のワークフローを会話型の画面にまとめたものです。販売者は商品の点検、タイトルや説明文の改善、チャネルごとの項目の準備を頼み、範囲を区切った出品計画を確認できます。販売者が計画を承認すると、Taskaが実行して各チャネルでの結果を追跡します。「送信済み」と「マーケットプレイスで反映を確認済み」を区別し、却下された出品を示して次の手を提案する点が特徴です。
最初は確認を前提にした使い方から始め、販売者が許可した範囲で自動化を広げる方針です。AmazonのSeller Assistantと同じく、販売者の裏側業務にエージェントが入り込む流れの一例です。
AnyMind、ライブコマース基盤「AnyLive」にAlibabaの大規模言語モデルQwenを統合

AnyLiveのマルチモデルAI構成にQwenを加え、リアルタイムの意図分析と応答精度を高める。
anymindgroup.comAnyMind Groupは9月24日、Alibaba Cloudと戦略的な合意を結び、ライブコマース基盤「AnyLive」にAlibabaの大規模言語モデルQwenを組み込むと発表しました。Qwenは既存のモデル群を置き換えるのではなく、複数モデル構成の1つとして使われます。
狙いは、AIアバターが視聴者のあいまいな質問を読み取り、文脈に合った答えを返す精度を上げることです。アジアの言語では、敬語の使い分けや複数言語の混在、地域特有の言い回しが理解を左右します。ライブ配信では視聴者が見ている間に答える必要があるため、意図の把握と応答の速さがともに問われます。
AnyLiveは、人が出演する配信と並行してAIの配信を動かし、深夜など通常は配信しない時間帯を埋める使い方を想定しています。一方で、Qwenを入れたことによる精度や転換率の変化、費用条件は開示されていません。
Google Search Console、Google Lensなど画像を使った検索からの流入を分けて計測可能に

GoogleはSearch Consoleにマルチモーダルのフィルタを追加し、Google Lens、かこって検索、画像を使った検索からの流入を計測できるようにした。
www.ecommerce-nation.frGoogleは9月24日から、Search Consoleの検索パフォーマンスレポートに「マルチモーダル」フィルタを加えました。画像で検索を始めたり補ったりした場合の流入を、通常の文字入力による検索と分けて確認できます。生成AI機能に関するレポートにも組み込まれる予定です。
対象はGoogle Lens、Androidの「かこって検索」、Google検索への画像アップロード、Chromeの「この画像を検索」です。これまでは、画像を起点にした流入はGoogle検索全体の数字に含まれていました。
EC事業者にとっては、商品写真が画像検索経由でどれだけ集客しているかを把握しやすくなります。ただし、どんな検索語や画像で表示されたかは公開されません。商品画像の質が集客に効いているかを確かめる入口として使うのが現実的です。
消費者動向
Criteo調査、米州の食品ECは客単価が17%上昇、CPG広告主の86%がChatGPT経由の購入を記録

Criteoを利用するCPG広告主の86%が7月にChatGPT経由の売上を記録し、買い物客の40%はパーソナルケア用品の補充をAIに任せてもよいと回答した。数字は何を示しているのか。
ppc.landCriteoの消費財(CPG)レポート「CPG Pulse 2026」を、PPC Landが詳しく分析しました。米州の食品・日用品ECでは、7月1日から8月18日の期間にサイト訪問が前年より8%減った一方、1回あたりの購入額は17%増え、売上高は12%伸びました。訪れる回数は減っても、まとめて買う傾向が見えます。
AIとの関係では、7月にCriteoのCPG顧客の86%が、少なくとも1件はChatGPTから送客された購入を記録しました。買い物客の40%は、パーソナルケア用品の補充をAIに任せてもよいと答えています。調査は米国、英国、フランス、ドイツ、日本、韓国の6,300人超が対象で、日本では直近の購入者の69%が食品や日用品を毎日または週に数回買っていました。
PPC Landは、設問ごとに母数が異なる点や誤差範囲が示されていない点を指摘しています。17%の上昇も、値上げや大容量品へのシフトと区別されていません。それでも、日用品の購入経路にChatGPTがすでに入り込んでいることを示すデータとして参考になります。
グローバルEC動向
越境ECの利用先でTemuがAmazonに並ぶ、37か国調査で直近の越境購入先はともに24%

越境ECでは、Statistaが分析した指標でAmazonとTemuの差が事実上なくなった。
www.merca20.comStatistaがまとめたデータによると、37か国のネット利用者に2025年の直近の越境購入先を尋ねたところ、Temuと答えた人は24%で、Amazonと同じ割合でした。メキシコのマーケティング専門メディアMerca2.0が報じています。
Temuが国外展開を始めたのは2022年9月です。運営するPDDは低価格を武器に、Amazon、Shein、AliExpress、eBay、Walmartといった既存の大手と正面から競ってきました。わずか3年で、越境購入の入口として最大手に並んだことになります。
欧州では少額輸入品への課税強化が進んでおり、Temuの価格優位がどこまで続くかは今後の焦点です。越境ECに取り組む事業者にとって、消費者が海外から買う場所がAmazon一強ではなくなっている点は、出品先を考える材料になります。
ASOS、第4四半期に流通総額がプラスに転じる、顧客数は前年を下回ったまま

ASOSは8月30日に終わった会計年度の第4四半期に販売額を伸ばした。前年に12%減った後の小幅な増加で、2022年以来初めて顧客数も前四半期比で増えた。
ecommercenews.eu英国のファッションECのASOSは、8月30日に終わった会計年度の第4四半期に、流通総額(GMV)が1桁台前半の伸びに転じたと発表しました。前年度は12%減っていました。顧客数も2022年以来初めて前四半期比で増えています。
ただし回復は途上です。通期の流通総額は5%減で、8月末のアクティブ顧客は1,640万人と前年の1,700万人を下回りました。ASOSは年間で約30の提携ブランドを加え、提携先の在庫を預かって配送や返品まで担う方式と、提携先が直接出荷する方式を広げました。この2つで提携ブランド売上の21%を占め、前年から10ポイント以上増えています。
在庫を自社で抱えずに品ぞろえを広げる手法と、返品率を顧客に見せる取り組みで粗利を改善しています。報じられた伸びは提携先の取引を含む流通総額で、売上高の回復を示すものではありません。通期決算は11月5日に公表される予定です。
企業動向・提携
Shopify、Tailwind CSSを開発するTailwind Labsを買収、エージェンティックコマースの画面づくりを強化

Shopifyは、広く使われているオープンソースのデザインツールを開発するTailwind Labsを買収し、自社の基盤に取り込む。エージェンティックコマースの画面層になるという構想の一環だが、同社株はこのところ強い圧力を受けている。
finance.yahoo.comShopifyは、Webサイト制作で広く使われるCSSフレームワークTailwind CSSの開発元、Tailwind Labsを買収しました。買収額は開示されていません。Tailwindの開発者Adam Wathan氏は、Shopifyのストアフロントのデザインや、エージェンティックコマース向けの画面づくりへの取り組みに触れています。
Tailwindのオープンソース事業はMITライセンスのまま、現在のチームが率いる形で続きます。既存のTailwind Plusとui.shの利用者は引き続き使えますが、新規の申し込みは受け付けを止め、Tailwind CSS本体に集中します。
AIエージェントが商品や購入画面を組み立てて見せる場面が増えるほど、画面を描く部品の標準を押さえる意味は大きくなります。一方、Shopify株は9月上旬にAI関連投資による利益率悪化への懸念から大きく下げており、投資家は追加の支出に敏感になっています。
Common Thread Collective、TikTok Shopの代理店TBAR Partnersを買収

D2Cブランド向けのグロース支援会社Common Thread Collectiveが、クリエイター起点のコンテンツとTikTok Shop運用を得意とする公式代理店TBAR Partnersを買収した。
pulse2.comD2Cブランドの成長を支援するCommon Thread Collective(CTC)は、TikTok Shopの公式エージェンシーパートナーであるTBAR Partnersを買収しました。買収額は開示されていません。
TBARは40以上のECブランドの成長を支援し、月500万ドルを超える流通総額を運用しています。顧客にはGrüns、Vita Coco、Ridge、HexCladなどがいます。CTCは、クリエイターとの提携、ストア運営、アフィリエイト、広告運用を、自社のデータ分析や財務計画の支援と組み合わせて提供するとしています。
TikTok Shopは、今回の注目ニュースで取り上げたSharkNinjaが米国最大のブランドになるなど、有力ブランドの主要チャネルになりつつあります。運用を担う代理店の再編は、チャネルとしての定着を映しています。
物流・フルフィルメント
Amazon、1回の納品で8か国に在庫を届ける「Global Warehousing and Distribution」を年内に拡大、日本も対象

複数の国で出品しているAmazonの販売事業者は30%にとどまる。コンプライアンス、物流、販売体験にわたる新機能で、この状況を変えることを狙う。
www.aboutamazon.comAmazonは販売事業者向けカンファレンスで、海外展開を支える新しいサービス群を発表しました。中心となるGlobal Warehousing and Distribution(GWD)では、工場近くのAmazon拠点に一度納品するだけで、複数の国の顧客に届けられます。現在は米国に接続しており、年内に英国、日本、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、カナダの7か国を加えます。
在庫は1つのプールで管理され、実際に需要が出た国へだけ移されます。8か国すべてがつながった段階で、保管料は米国のAmazon Warehousing and Distribution(AWD)より最大45%安くなり、FBAへの補充は最大5日早まるとしています。国ごとに試験と認証を繰り返さずに済むコンプライアンス支援も用意し、試験導入した販売者では費用を最大60%減らせたといいます。
Amazonによると、複数の国で出品している販売者は30%にとどまりますが、そうした販売者の売上は1か国のみの販売者より平均70%多いといいます。前週に紹介したSeller Assistantと合わせ、出品から在庫配置までを国をまたいで一体で扱う方向がはっきりしてきました。
DHL eCommerce、東欧で小包会社の買収を継続、バルト三国のVenipak買収を予定

DHL eCommerceは東欧でさらに小包会社の買収先を探している。バルト三国のVenipak買収の計画が最新の一手で、CEOのPablo Ciano氏は同地域を欧州での買収計画の重点に据えている。
ecommercenews.euDHL eCommerceは、東欧で小包配送会社の買収を続ける方針を示しました。バルト三国のVenipakの買収計画が最新の動きです。CEOのPablo Ciano氏がドイツの物流専門紙DVZの取材に答えました。
Ciano氏は、西欧と南欧では埋めるべき空白が少なくなったと説明しています。英国では小包事業をEvriと統合し、スペインとポルトガルではポルトガルの郵便会社CTTと提携しました。イタリアではPoste Italianeと宅配ロッカーの合弁会社を立ち上げています。
国ごとの配送網をつなぎ、越境の小包を各国の国内配送と同じように届けることが狙いです。欧州で越境販売を行う事業者にとっては、配送品質と料金の選択肢が変わる可能性があります。
決済・フィンテック
BlackRock、AIエージェントがステーブルコイン需要を生むとの研究報告

暗号資産とブロックチェーンの動向を伝える。
bitcoinke.io世界最大の資産運用会社BlackRockは9月中旬に公表した研究報告で、AIエージェントの普及がステーブルコインの新たな需要源になるとの見方を示しました。ソフトウェアがデータやサービス、計算資源の対価を人を介さずに支払う場面が増えるためです。
報告は、ステーブルコインが24時間決済でき、従来の決済網では割に合わない少額決済にも向くと説明しています。2025年の調整後の取引額は11兆ドルを超え、2026年9月時点の時価総額は3,000億ドルを上回ったと推計しています。Coinbaseが始めたx402のように、APIやデータの利用料をステーブルコインで払う仕組みの試行も始まっています。
ただしBlackRock自身も、AIエージェントによる決済はまだ初期段階だと注意を促しています。消費者向けの商品購入でステーブルコインが使われる段階には距離があり、当面はAPIやデータなど機械どうしの取引が中心になります。
FIDO Alliance、エージェント決済の本人確認で標準づくりを模索、CEOは大規模普及は数年先との見方

業界団体と決済事業者が、エージェンティックコマースの標準、特に本人確認のあり方を検討している。
www.paymentsdive.comパスキーなどの認証標準を策定するFIDO AllianceのCEO、Andrew Shikiar氏がPayments Diveの取材に応じ、エージェンティックコマースに向けた本人確認の標準づくりについて語りました。FIDO AllianceにはVisa、PayPal、Apple、Meta、JPMorgan、Wells Fargoなどが加盟しています。
Shikiar氏は、エージェントそのものの情報だけでなく、その背後にいる本人と結び付けて確認できることが重要だと強調しました。AIによって認証情報の窃取やディープフェイク、偽の身元による口座開設が増えるなか、取引ごとに「本人である」と判断できるシグナルを集める必要があるという立場です。
一方で同氏は、エージェンティックコマースが大規模に広がるのは数年先だとみています。加盟店と消費者が、エージェントの取引が想定どおりに進み、不正が大きく入り込まないと信頼できるようになるまでには時間がかかるという見立てです。
EBANX、パキスタン進出を計画、中南米ではApple Payのトークン復号を自社で実施

EBANXは、JazzCash、Easypaisa、Raastに対応してパキスタンへ進出する準備を進め、中南米ではApple Payトークンの復号を自社で行うようにした。
thepaypers.com新興国向けの決済サービスを提供するEBANXは、次の半期にパキスタンで決済事業を始める計画を発表しました。最初に対応するのは、それぞれ5,000万人超の利用者を持つ現地ウォレットのJazzCashとEasypaisaで、同国の即時決済網Raastへの接続も続けます。
同社は2026年にタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、トルコにも進出しています。World Data Labの数字では、パキスタンのEC支出は2026年から2030年にかけて年平均22%伸びる見通しです。あわせて9月から、中南米とカリブ地域でApple Payのトークンを自社の基盤内で復号する方式に切り替えています。
新興国ではカードよりも現地のウォレットや即時決済が主流になりつつあります。海外販売を広げる事業者にとっては、現地の決済手段にまとめて対応できる決済代行の存在が、進出先を選ぶ条件の1つになります。
台湾のEC決済、2030年にデジタルウォレットがクレジットカードを逆転する見通し

台湾のEC決済市場は2025年の230億ドルから2030年に300億ドルへ拡大する見通しで、デジタルウォレットがオンライン取引に占める割合を高める。
asianbusinessreview.comWorldpayのデータによると、台湾のEC決済市場は2025年の230億ドルから2030年に300億ドルへ拡大する見通しです。現在はクレジットカードが取引額の39%で最大、デジタルウォレットが34%で続いています。
2030年にはウォレットが40%に増え、カードの35%を上回ると予測されています。現金は15%から11%に下がり、口座間決済は6%から8%に増える見込みです。店頭ではすでにウォレットが36%で首位に立っており、2030年には44%まで伸びるとしています。利用されている主なサービスはLINE Pay、Apple Pay、PayPalです。
台湾へ越境販売する日本のEC事業者にとっては、カード決済だけでは取りこぼしが増えていく可能性を示すデータです。
まとめ
今回のニュースに共通するのは、AIエージェントを迎え入れる側の準備が、商品データの整備から一歩進んだことです。SharkNinjaは購入前後の接点を同じエージェントでつなぎ、Perform.AIは配送と返品の実績そのものをAIに選ばれる条件として扱いました。GoKwikの音声通話やSureDoneの出品エージェントも、これまで人が担っていた取引周辺の作業をAIが引き受ける例です。
一方で、FIDO AllianceのCEOが大規模な普及は数年先とみているように、エージェントが本人に代わって支払う場面の信頼づくりは道半ばです。今週は、各社のエージェント施策が自社データ以外の検証可能な成果を示せるか、そしてAmazonのGWDの国別展開がどの順で進むかに注目です。
