Stellagent ResearchReport No. 008

家電量販店の返品・保証を質問、主要AI5種の回答の40%が正しく案内できず|ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexity・Copilot検証

家電量販店5社の返品・初期不良・長期保証・ポイント返金・保証修理について、主要AI5種の回答100パターン(5社×5AI×4シナリオ)を公式情報と照合。40.0%(誤答25.0%+回答不能15.0%)が正しく案内できず、うち15%は実害リスクを含む誤答、62%に出典URLの問題が見つかりました。

調査日2026年7月21日公開日2026年7月22日調査主体Stellagent株式会社分野家電量販店 / 小売・EC
Key Findings主要な調査結果
  1. 01

    家電量販店5社×主要AI5種×4シナリオの100の質問パターンのうち、公式情報に照らして正答だったのは60件(60.0%)にとどまり、誤答25件(25.0%)、回答不能15件(15.0%)でした。規約系の質問を汎用AIの回答のまま顧客案内に使うにはリスクが残りました。

  2. 02

    主判定が誤答で、返品・交換期限や長期保証の年数・補償範囲を公式確認範囲より有利・長めに案内するなど実害リスクを含む質問パターンは15件(15.0%)でした。

  3. 03

    存在しない・非公式・別ブランド・該当違いなど出典URLに問題を含む質問パターンは62件(62.0%)に達し、特にMicrosoft Copilotは20件中19件(95.0%)でした。正答率だけでは回答の安全性を測れない結果です。

Survey Overview調査概要
調査名
家電量販店の返品・保証ポリシーに対する主要AI回答精度調査
調査対象
主要AIによる家電量販店の返品・保証ポリシー回答(返品/初期不良・長期保証・ポイント返金・保証修理)
対象企業
ビックカメラ、ヨドバシカメラ、ヤマダデンキ、ケーズデンキ、エディオン
対象AI
ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexity、Microsoft Copilot
調査日
2026年7月21日
評価対象
100の質問パターン(5社×5AI×4シナリオ)、AI回答ログ268件
取得項目
回答全文ログ、AI回答スクリーンショット、出典URL、判定、公式正答要約と公式スクリーンショット
集計方法
各質問パターンを2〜3回の回答の多数決で正答・誤答・回答不能に判定し、実害リスクと出典問題を追加フラグとして集計
調査主体
Stellagent株式会社

調査サマリー

Stellagent株式会社は、主要な家電量販店5社の返品、初期不良、長期保証、ポイント返金、保証修理条件について、主要AIサービス5種がどの程度正確に回答できるかを調査しました。調査では、各社の公式FAQ、規約、保証ページを正答基準として保存したうえで、同一形式のプロンプトをChatGPT、Claude、Gemini、Perplexity、Microsoft Copilotへ入力し、回答内容と出典URLを照合しました。

2026年7月21日時点の本調査では、5社×5AI×4シナリオの100の質問パターンを評価しました。各質問パターンは同じプロンプトで最低2回試行し、判定の揺れ、実害リスク、出典問題が見られた場合に3回目を追加したため、AI回答ログは合計268件です。

指標結果
対象企業5社
対象AI5種
シナリオ4問
評価対象の質問パターン100件(5社×5AI×4問)
AI回答ログ268件(2回試行32件、3回試行68件)
主判定:正答60件(60.0%)
主判定:誤答25件(25.0%)
主判定:回答不能15件(15.0%)
主判定が誤答かつ実害リスクあり15件(15.0%)
追加フラグ:出典問題回答が1回以上62件(62.0%、重複あり)

100パターンの主判定は、正答60件(60.0%)、誤答25件(25.0%)、回答不能15件(15.0%)でした。また、主判定が誤答で、かつ実害リスクを含んだ質問パターンは15件(15.0%)でした。存在しないURL、非公式URL、公式だが該当違いのURLなど、出典に問題を含んだ質問パターンは62件(62.0%)でした。出典問題は正答・誤答・回答不能にまたがる追加フラグであるため、主判定とは合算しません。

家電量販店の返品・保証ポリシーに対する主要AI5種の回答精度 ─ AIサービス別の正答率と出典問題率。正答率は55.0〜65.0%に収まる一方、出典問題率はMicrosoft Copilotの95.0%からChatGPTの40.0%まで開いた(100の質問パターン・Stellagent株式会社調べ・2026年7月21日調査)

上図は、出典として「Stellagent株式会社調べ」を明記し、本ページへのリンクを設置いただくことで、報道・記事・資料等にそのまま転載いただけます。

調査背景

生成AIは、買い物前後の疑問を調べる手段として一般消費者に使われ始めています。家電の購入後には、初期不良、返品、交換、長期保証、ポイント返金、出張修理など、公式規約やFAQに基づく確認が必要になる場面があります。

こうした質問では、回答が便利であること以上に、期限、対象条件、返金方法、保証範囲が正確であることが重要です。AIが「もっともらしいが誤った期限」や「実際より有利に見える保証条件」を案内すると、顧客の期待値と公式対応の間にずれが生じ、店舗やサポート窓口への問い合わせ負荷にもつながり得ます。

本調査は、家電量販店を批判するものではありません。公式情報が存在していても、汎用AIがそれを正しい文脈で拾い、正しく要約できるとは限らないことを検証し、公式データに基づいて回答する専門AIサポートの必要性を示すために実施しました。

調査概要

項目内容
調査名家電量販店の返品・保証ポリシーに対する主要AI回答精度調査
調査主体Stellagent株式会社
実施者Stellagent
調査手法AI回答実験、公式サイトのデスクリサーチ
調査日2026年7月21日
対象企業ビックカメラ、ヨドバシカメラ、ヤマダデンキ、ケーズデンキ、エディオン
対象AIChatGPT、Claude、Gemini、Perplexity、Microsoft Copilot
対象企業の選定基準国内の一般消費者が家電購入先として想起しやすく、実店舗または公式オンラインストアを展開し、返品・保証・ポイント等の案内ページを公開している主要家電量販店5社を対象としました。対象企業は、全国的な認知、事業規模、実店舗または公式オンラインストアでの家電販売、返品・保証・ポイント等の公式情報の公開状況を踏まえて選定しました。
対象AIの選定基準国内の一般ユーザーがWeb UIで利用でき、商品購入後の問い合わせや規約確認に使われやすい主要な汎用生成AI・回答エンジンを対象としました。検索エンジン型・回答エンジン型を含め、出典URL提示の有無と正確性も比較できる構成としました。
実施手順各社×各シナリオの公式出典URLを確認し、スクリーンショットと公式正答要約を保存しました。その後、各AIへ同一形式のプロンプトを入力し、回答全文ログ、AI回答スクリーンショット、出典URL、判定を1回答ごとに保存しました。
文脈影響の抑制Temporary mode、一時チャット、シークレットチャット、または新規チャットを使用しました。各プロンプトにも「過去の会話や記憶は参照しないでください」と明記しました。
記録方法回答を取得するたびに、その場で回答全文、取得日時、モデル名または表示名、契約プラン、Web検索設定、出典URL、判定を記録しました。実害リスク誤答、存在しないURL、引用候補になる回答はAI回答スクリーンショットも保存しました。
実行回数各企業×各AI×各シナリオで最低2回実施しました。2回の判定が割れる、実害リスクの誤答が1回以上出る、出典URLが存在しないまたは公式と異なるページを示す場合は、事前定義した追加確認として3回目を取得しました。結果として、100の質問パターンのうち32件は2回試行、68件は3回試行となり、AI回答ログは合計268件になりました。
集計単位公開本文の主指標は「企業×AI×シナリオ」の100の質問パターンです。各質問パターンは2〜3回の回答の多数決で「正答・誤答・回答不能」のいずれかに判定しました。全回答268件の回答単位集計も補助指標として保持しました。
除外・対象外本文が取得できなかった無効キャプチャ1件は、分析対象外として保存しました。当初は8社を候補としましたが、速報版として公式証跡が保存済みで代表性が高い5社を先行分析対象とし、対象外とした企業で取得した一部ログは正答率集計・本文主張に算入していません。
倫理・プライバシー公開情報とAI出力のみを対象とし、個人情報は扱っていません。

AIサービスと実施条件

各AIは同一のモデル階層・契約プランでそろえていません。モデル名、プラン、Web検索設定は、回答ごとに記録しました。AIサービスのUIやモデル表示は日時・アカウント状態により変わる可能性があります。

AIサービス主な表示名・モデル表示実施条件
ChatGPTChatGPTサインイン済み、一時チャットまたは新規チャット。回答内に検索・出典表示あり。
ClaudeHaiku 4.5プロプラン、シークレットチャット。Web検索の実行表示あり。
GeminiGemini 2.5 Flash未ログインまたは無料環境で実施。回答内に検索・出典表示あり。
Perplexityモデル表示は回答ログに記録無料プラン、シークレットモード。検索/Computer表示あり。
Microsoft CopilotCopilot Smartサインイン済み、一時モード表示あり。回答内に検索・出典表示あり。

モデル階層、契約プラン、Web検索設定がサービスごとに異なるため、後述のAIサービス別の違いは、サービスそのものの差だけでなく、使用したモデル・プラン・検索設定の組み合わせによる差を含みます。

判定基準

各回答は、公式出典で確認できる必須事実との一致を基準に、正答・誤答・回答不能のいずれかに判定しました。誤答はさらに、実害につながりにくい軽微な誤差と、ユーザーの行動や問い合わせ負荷に影響し得る実害リスクに区分しました。

分類定義
正答公式出典で確認できる必須事実を正しく述べ、ユーザーに不利または過度に有利な誤解を生む断定がない回答。
誤答期限、対象条件、補償率、返金方法、回数、申請先、例外条件のいずれかに公式情報と異なる主張がある回答。部分的に正しくても、必須事実に誤りがあれば誤答としました。また、公式情報だけでは確認できない事項について具体的な期限・年数・条件を断定し、ユーザーに誤った確度を与える回答も、確認できない事実を断定した誤りとして誤答に含めました(実害が想定される場合は実害リスクに区分)。
回答不能「公式情報だけでは確認できない」「公式サイトを確認してください」など、具体的な誤事実を断定しない回答。公式URLだけを提示して実質回答しない場合も含めました。
軽微な誤差表現差、詳細条件の省略、一般論としての注意喚起不足など、直ちにユーザーの不利益につながりにくい誤り。
実害リスク返品期限を実際より長く答える、対象外修理を無料と答える、ポイント利用分を現金返金と誤案内する、補償率や保証年数を実際より有利に答えるなど、ユーザーの行動や問い合わせ負荷に影響し得る誤り。

出典URLは、提示有無に加えて、正しい公式ページ、公式だが該当違い、非公式、存在しないURL、出典なしに分類しました。

使用シナリオ

各シナリオは、家電購入後に消費者が実際に確認したくなる規約系の論点を、自然な質問として尋ねる形にしました。

IDシナリオ検証する主な事実
S1開封後の初期不良・返品/交換初期不良時の連絡期限、返品/交換可否、開封済み商品の扱い、店舗購入/オンライン購入の条件差
S2長期保証の年数・補償率長期保証の加入条件、保証年数、年次別補償率、対象外条件
S3ポイント払い分の返金ポイント利用分の返還方法、現金返金の有無、ポイント失効/返還タイミング、購入取消時の扱い
S4エアコン保証修理の無料回数・条件保証修理の回数上限の有無、無料修理条件、出張費/部品代/対象外条件、メーカー保証と長期保証の区別

使用プロンプト(全文)

各プロンプトの {{企業名}} は、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、ヤマダデンキ、ケーズデンキ、エディオンの正式表記に置き換えて入力しました。1試行ごとに新しい一時チャット等を使用しました。

S1

で買った冷蔵庫が、開封後に初期不良だと分かった場合、何日以内なら返品または交換できますか。店舗購入とネット購入で条件が違う場合は分けて、公式情報に基づいて答えてください。分からない場合は推測せず「公式情報だけでは確認できない」と書き、参照したURLがあれば示してください。過去の会話や記憶は参照しないでください。

S2

の冷蔵庫向け長期保証は、何年目まで何%補償されますか。加入条件、年数、年次別の補償率、対象外条件が分かる範囲で、公式情報に基づいて答えてください。分からない場合は推測せず「公式情報だけでは確認できない」と書き、参照したURLがあれば示してください。過去の会話や記憶は参照しないでください。

S3

で家電を買って返品または注文取消になった場合、ポイント払い分は返金時にどう扱われますか。現金やカード支払い分との違い、ポイントが戻るかどうか、条件が分かる範囲で、公式情報に基づいて答えてください。分からない場合は推測せず「公式情報だけでは確認できない」と書き、参照したURLがあれば示してください。過去の会話や記憶は参照しないでください。

S4

で購入したエアコンの保証修理は、何回まで無料ですか。メーカー保証と長期保証の違い、無料修理の条件、出張費や部品代、対象外条件が分かる範囲で、公式情報に基づいて答えてください。回数上限が公式情報だけでは確認できない場合は、そのように答えてください。参照したURLがあれば示してください。過去の会話や記憶は参照しないでください。

主要な公式出典

公式ページは2026年7月21日に確認し、スクリーンショットを保存しました。以下は本調査の正答基準に使った主要URLです。各シナリオの正答基準は、これらのページで確認できる必須事実(期限、対象条件、補償率、返金方法、回数、例外条件)としました。

企業S1S2S3S4
ビックカメラ出典1 / 出典2出典出典1 / 出典2出典
ヨドバシカメラ出典出典出典1 / 出典2出典
ヤマダデンキ出典出典1 / 出典2出典1 / 出典2出典1 / 出典2
ケーズデンキ出典出典出典1 / 出典2出典
エディオン出典1 / 出典2出典1 / 出典2出典出典

全体結果

100の質問パターンの主判定は、正答60件、誤答25件、回答不能15件でした。この3分類は互いに排他的で、合計100件、100.0%になります。誤答25件のうち、実害リスクを含むものが15件、残り10件は表現差や条件省略にとどまる軽微な誤差でした。実害リスクは、主判定が誤答の質問パターンのうち、ユーザーの行動や問い合わせ負荷に影響し得る誤りを含むものとして集計しました。出典問題は、主判定とは別に付けた追加フラグです。たとえば「結論は正しいが出典URLが非公式」という回答パターンは、主判定では正答に入りつつ、出典問題ありにも入ります。

出典問題あり62件は、主判定が正答28件、誤答24件、回答不能10件にまたがっています。出典URLが提示されても、その出典が正しい公式ページとは限らないため、正答率とは別の安全性指標として扱いました。

主判定・追加フラグ件数割合
主判定:正答6060.0%
主判定:誤答2525.0%
主判定:回答不能1515.0%
主判定が誤答かつ実害リスクあり1515.0%
追加フラグ:出典問題回答が1回以上6262.0%

回答ログ単位では、268件のうち正答155件(57.8%)、誤答72件(26.9%)、回答不能41件(15.3%)でした。回答ログ単位では3回目追加確認の回答も含むため、公開本文の主指標は100の質問パターン単位としました。

AIサービス別の正答率

AI別の質問パターン正答率は、ChatGPTとMicrosoft Copilotが65.0%、Claudeが60.0%、GeminiとPerplexityが55.0%でした。

AIサービス質問パターン正答誤答回答不能正答率実害リスクあり出典問題あり
ChatGPT20132565.0%28
Microsoft Copilot20135265.0%119
Claude20127160.0%413
Gemini20116355.0%313
Perplexity20115455.0%59

正答率だけを見ると上位差は小さい一方、出典問題を含む質問パターンには大きな差がありました。Microsoft Copilotは20件中19件(95.0%)で出典問題を含み、ChatGPTは20件中8件(40.0%)でした。出典URL付きの回答でも、その出典が正しい公式ページとは限らない点が確認されました。

シナリオ別の正答率

長期保証の年数・補償率(S2)は正答率48.0%で、4シナリオの中で最も低くなりました。保証制度は企業ごとに名称、年数、年次別負担、無料保証と有料保証の区別が異なるため、AIが古い規約や別制度を拾いやすい領域と考えられます。

シナリオ質問パターン正答誤答回答不能正答率実害リスクあり出典問題あり
S1 初期不良・返品/交換25148356.0%615
S2 長期保証の年数・補償率251211248.0%617
S3 ポイント払い分の返金25143856.0%317
S4 エアコン保証修理の無料回数25203280.0%013

シナリオ別の質問パターン正答率 ─ 長期保証の年数・補償率(S2)が48.0%で最も低く、エアコン保証修理(S4)が80.0%で最も高い(各シナリオ25パターン・Stellagent株式会社調べ・2026年7月21日調査)

上図は、出典として「Stellagent株式会社調べ」を明記し、本ページへのリンクを設置いただくことで、報道・記事・資料等にそのまま転載いただけます。

S3では回答不能が8件ありました。これは、AIが誤って断定するよりは安全な挙動とも言えますが、顧客目線では結局公式窓口やFAQを確認する必要が残ります。S4は正答率が80.0%と高い一方で、出典問題を含む質問パターンは13件(52.0%)あり、結論が合っていても出典が安定しないケースがありました。

企業別の傾向

企業別の正答率は、公式情報の構造や保証制度の複雑さ、AIが検索で拾うページの違いに影響されます。したがって、本調査では企業別の数値を各社の優劣として扱わず、AIにとって回答が難しくなりやすい情報構造の参考指標として示します。

企業ID質問パターン正答誤答回答不能正答率実害リスクあり出典問題あり
KS20154175.0%18
EDION20132565.0%012
BIC20127160.0%512
YODO20115455.0%314
YAMADA2097445.0%616

企業別の差は、公式情報の見つけやすさだけでは説明できません。AIが別ブランド、グループ会社、古いPDF、非公式ブログを拾うかどうかにも左右されます。たとえばヤマダデンキでは、ヤマダウェブコム、ヤマダモール、家電保、無料長期保証、古い保証規定PDFなど複数の導線が混在し、AI回答に揺れが生じました。

企業×AI別マトリクス

企業IDChatGPTClaudeGeminiPerplexityMicrosoft Copilot
BIC100.0%50.0%50.0%25.0%75.0%
YODO25.0%75.0%50.0%50.0%75.0%
YAMADA25.0%50.0%75.0%50.0%25.0%
KS100.0%50.0%50.0%100.0%75.0%
EDION75.0%75.0%50.0%50.0%75.0%

表の各数値は、4シナリオのうち正答した質問パターンの割合です。母数が各4件と小さいため、この表はAIや企業の絶対的な順位付けではなく、どの組み合わせで誤答・回答不能・出典問題が起きたかを見るための補助表です。

誤答・出典問題の主なパターン

返品期限を確認範囲より踏み込んで案内する

ヤマダデンキのS1では、ヤマダウェブコムの初期不良対応は商品到着から14日以内と確認できました。一方、店舗購入の初期不良期限は公開公式情報だけでは確認できる範囲に限定して採点しました。ChatGPTは3回中3回、店舗購入について「購入から1週間以内」または「1週間を過ぎると修理対応」と案内し、公式確認範囲より踏み込んだ回答となりました。

長期保証の年数を長く答える

ヤマダデンキのS2では、保存済み公式基準として、無料長期保証はメーカー保証込み6年または4年、家電保はメーカー保証込み5年または3年としました。Perplexity、Gemini、ChatGPTでは、古い保証PDFや別導線を拾い、9年、10年、11年など保存済み基準より長い保証年数を案内する回答がありました。

非公式・別ブランド・古い導線を公式のように扱う

Claudeはヤマダデンキのポイント返金質問で、別会社のYAMADAYA STOREの返品ルールを参照し、ポイント返還条件を具体化しました。Microsoft Copilotはヤマダデンキの初期不良質問で非公式ブログを参照したり、存在しない example.com を「公式情報」として引用したりしました。ChatGPTでは、ヤマダモールやマツヤデンキの導線が回答に混在するケースがありました。

回答不能は安全だが、顧客課題は残る

ポイント返金(S3)では、AIが「公式情報だけでは確認できない」と回答するケースが比較的多く見られました。誤った断定を避ける意味では望ましい挙動ですが、顧客がその場で知りたい返品・返金条件を解決できないため、公式FAQ、規約、注文情報、会員情報を接続したサポートAIの必要性が残ります。

抽出・集計・正規化・同順位処理の方法

集計単位は「企業×AI×シナリオ」の100の質問パターンです。各質問パターンは、最低2回の回答を取得し、2回の判定が割れる、実害リスクの誤答が1回以上出る、出典URLが存在しないまたは公式と異なるページを示す場合に、事前定義した追加確認として3回目を取得しました。結果として、100の質問パターンのうち32件は2回試行、68件は3回試行となりました。

各質問パターンの主判定(正答・誤答・回答不能)は、2〜3回の回答の多数決で決めました。3回試行で判定が1件ずつに割れた場合は、必須事実の誤りの有無を優先し、実害リスクを含む回答があるパターンは実害リスクありとして扱いました。実害リスクと出典問題は、主判定とは別の追加フラグとして、1回でも該当があれば質問パターン単位で「あり」に計上しました。そのため、出典問題ありの62件は正答・誤答・回答不能のいずれの主判定にもまたがります。

企業名・ブランド名は、ヤマダ電機・ヤマダ・ヤマダウェブコムをヤマダデンキ、ヨドバシをヨドバシカメラ、ジョーシンをJoshinのように正規化しました。出典URLは、公式かつ該当ページ、公式だが該当違い、非公式、存在しないURL、確認不能、出典なしの区分で分類しました。判定は正答・誤答・回答不能、誤答重みは軽微な誤差・実害リスクで記録しました。

無効回答の扱いとして、AIが回答を拒否する、公式確認を促すだけ、対象企業を取り違える、URLのみ提示して実質回答しない回答も削除せず記録し、実質回答しない回答は回答不能に含めました。接続中断などで本文が取得できなかった無効キャプチャ1件のみ、分析対象外として保存しました。回答ログ単位の268件の集計は、3回目追加確認を含むため補助指標とし、公開本文の主指標には100の質問パターン単位を用いました。

事業者への示唆

  1. 公式FAQや規約は、人間向けのページとしてだけでなく、AIが誤読しにくい構造で整備する必要があります。返品、初期不良、保証、ポイント返金は似た用語が多く、通常返品と初期不良、無料保証と有料保証、利用ポイントと付与ポイントが混同されやすい領域です。

  2. 出典URL付き回答でも、正しいページに基づくとは限りません。AI回答の品質管理では、URL提示率だけでなく、公式かどうか、該当トピックかどうか、古い規定ではないかを検証する必要があります。

  3. 顧客サポート領域では、汎用AIに任せるのではなく、企業が管理する公式データ、FAQ、規約、商品・注文・会員条件に接続した専門AIが必要です。特に返品期限、保証年数、補償範囲、ポイント返金は、誤案内が顧客期待や問い合わせ負荷に直結します。

  4. 専門AIを導入する場合も、回答不能を適切に扱う設計が重要です。公式情報で確認できない場合は推測せず、確認先、必要情報、問い合わせ導線を示すことで、誤答リスクと顧客の不安を同時に減らせます。

調査上の注意事項

  • 本調査は2026年7月21日時点のAI回答と公式情報に基づく探索的調査であり、統計的な一般化を目的としたものではありません。
  • AI回答は日時、モデル、検索設定、会話履歴、アカウント状態、地域、UIの変更により変動する可能性があります。
  • 公式規約、FAQ、保証制度は改定される可能性があります。本調査では調査日時点のURL、スクリーンショット、公式正答要約を一次証跡として保存しました。
  • 企業別の正答率は、AIが検索で拾ったページ、公式情報の構造、保証制度の複雑さに左右されます。家電量販店各社の対応品質を評価するものではありません。
  • 本調査は各AIを同一のモデル・契約プランで揃えておらず、モデル階層、契約プラン、Web検索設定がサービスごとに異なります。AIサービス別の違いは、サービスそのものの差だけでなく、使用したモデル・プラン・検索設定の組み合わせによる差を含みます。特定AIの優劣を評価したものではありません。
  • AI回答のスクリーンショットは証跡として保存していますが、公開時に画像を掲載する場合は、引用範囲、サービス利用規約、権利面を確認する必要があります。
  • 本レポートに記載された企業名、商品名、サービス名は各社の商標または登録商標です。

更新履歴

  • 2026年7月22日:初版公開
Citation引用・転載について

本調査結果は、出典として「Stellagent株式会社調べ」と明記し、本ページのURLへのリンクを設置いただくことで、報道・記事・資料等に自由に引用・転載いただけます。

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