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2026年2月18日

EC・AIコマース ニュースダイジェスト(2026年2月19日)

目次
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この記事のポイント

  1. Adobe CommerceがUCP/ACP対応でエージェンティックコマース標準を推進
  2. DBS×VisaがAPAC初のエージェンティックコマース決済パイロットを開始
  3. FedEx・Metapack・nShiftなど物流各社がEC配送のAI化・プレミアム化を加速

今日の注目ニュース

Adobe Commerce、エージェンティックコマース標準への対応を拡大

Adobe Commerceは2月18日、エージェンティックコマースのオープン標準であるUCP(Unified Commerce Protocol)とACP(Agentic Commerce Protocol)への対応拡大を発表しました。これにより、AIエージェントがAdobe Commerceベースのストアから商品情報を取得し、購買プロセスを自律的に実行できる基盤が整います。

UCPはGoogleが提唱する商品カタログ標準化プロトコル、ACPはOpenAI主導の決済認証プロトコルです。Adobe Commerceがこれらに対応することで、プラットフォーム間の相互運用性が大きく前進します。エージェンティックコマースのエコシステムが主要プラットフォーム間で統一されつつあることを示す重要な動きです。

EC事業者にとっては、AIエージェント経由の新たな販売チャネルに対応するための技術基盤が整うことを意味し、今後のAIコマース戦略を検討する上で注視すべき発表と言えます。

詳細記事: Adobe Commerceがエージェンティックコマース標準「UCP」「ACP」への対応を発表

DBS × Visa、アジア太平洋初のエージェンティックコマース決済パイロット

シンガポールのDBS銀行は、Visaとの提携によりアジア太平洋地域初のVisa Intelligent Commerceパイロットプログラムを開始しました。AIエージェントが日常的な決済を自律的に処理できる仕組みの実証です。

前日にはMastercardがインドで世界初の認証済みエージェンティックコマース決済を完了しており、VisaとMastercardの両陣営がほぼ同時にAPAC地域でパイロットを展開する形となりました。決済ネットワーク間のエージェンティックコマース競争が本格化しています。

銀行がAIエージェント決済の発行者としてパイロットに参加する動きは、エージェンティックコマースが概念段階から実装段階へ移行していることを示しています。

詳細記事: DBS銀行がアジア太平洋初のVisa Intelligent Commerceパイロットを開始

エージェンティックコマース

Razorpay、決済・回収・コマースの三面でエージェンティックAIを推進

インドの決済大手Razorpayの共同創業者Harshil Mathur氏は、同社がエージェンティックAIを決済処理、代金回収、コマースの3つの領域で同時に展開していると明らかにしました

UPI(統一決済インターフェース)で世界をリードしたインドが、次はAI駆動のコマースインフラでも先頭に立てるとの見解を示しています。Razorpayは決済のみならず、マーチャント向けのAIアシスタントやAI回収エージェントなど、コマースバリューチェーン全体でのAI活用を進めています。

インド発のフィンテック企業がエージェンティックコマースに本格参入する動きは、この領域が欧米中心から新興国にも広がりつつあることを示しています。

Agentic Commerce:AIは検索戦争に勝ち、チェックアウト戦争に負けている

invidisのRoi Iglesias氏による分析記事は、エージェンティックコマースの現状における重要な課題を指摘しています。消費者はAIを商品リサーチツールとして急速に受け入れていますが、実際の購買・チェックアウトにおいてはAIの活用が進んでいません。

AIエージェントは商品検索や比較には優れている一方、価格交渉やクーポン適用、最終的な購買決定においてはまだ信頼を得られていないのが現状です。検索から購入までのファネルにおける「断絶」が、エージェンティックコマースの本格普及を阻む最大の壁となっています。

EC事業者にとっては、AIエージェント対応を検索・ディスカバリーだけでなく、チェックアウト体験まで一貫して設計する必要があることを示唆する分析です。

詳細記事: エージェンティックコマースの矛盾――AIは「検索戦争」に勝利し「チェックアウト戦争」に敗北している

企業動向・提携

Shopify、31%増収と初の$2B自社株買いプログラムを発表

Shopifyは2025年Q4決算で売上高31%増を記録し、初の20億ドル規模の自社株買いプログラムを発表しました。同時に、AIコマースツールの拡充も加速しています。

OpenAIとの提携やSwanson Healthなどのブランドとのパートナーシップを通じ、AI駆動のパーソナライゼーションをShopify搭載ストアに展開しています。エージェンティックコマース機能やAIアシスタント「Sidekick」など、マーチャント向けAIツールの全面展開が進行中です。

好決算と積極的なAI投資の両立は、AIコマースがすでに収益に貢献し始めていることを示しています。

eBay、Q1収益見通しが市場予想を上回る

eBayは2025年Q4決算を発表し、Q1の収益見通しがウォール街の予想を上回りました。高級品や自動車部品などのスペシャリティカテゴリへの注力が厳しいEC市場でも成果を上げていることを示しています。

汎用マーケットプレイスからニッチ領域への戦略転換が功を奏しており、EC競争が激化する中でも差別化による成長が可能であることを証明しています。

Global-e、2025年通期で過去最高業績を記録

越境ECプラットフォームのGlobal-eは、2025年Q4および通期で過去最高の業績を達成しました。GMV(流通取引総額)、売上高、調整後EBITDAのいずれもガイダンスの上限を達成または上回っています。

越境EC需要の堅調な拡大を背景に、同社のローカライゼーション技術と決済インフラへの需要が高まっています。グローバルなEC市場で越境取引が引き続き成長ドライバーとなっていることを示す結果です。

Eddie Bauer、破産申請

米アウトドアウェアブランドのEddie Bauerが破産申請を行いました。消費者の嗜好変化が主な要因とされています。

老舗リテールブランドの経営破綻が続く中、デジタル化やDTC(直販)への転換が遅れた企業の淘汰が加速しています。EC時代における実店舗中心ブランドの構造的な課題を改めて浮き彫りにする事例です。

Eternal × OpenAI、コマースAI基盤で提携

インドの食品・消費財大手Eternal Limited(旧Zomato親会社)がOpenAIとの提携を発表し、コマース事業全体にAIインフラを導入します。

フードデリバリーからクイックコマースまで幅広い事業を展開するEternalが、OpenAIの技術基盤を全面採用することで、注文最適化やパーソナライゼーションの高度化を図ります。インドのコマース企業がグローバルAIプラットフォームとの直接提携を進める動きが活発化しています。

物流・フルフィルメント

FedEx、プレミアムEC配送と配送サーチャージを強化

FedExがEC配送戦略を大きく転換し、プレミアムセグメントへの注力を鮮明にしています。長距離・重量物・高価格帯の荷物に特化し、小型パッケージのローカル配送は収益性が低いとして縮小する方針です。

配送サーチャージの改定も併せて実施し、高マージン事業へのシフトを加速しています。先日発表された約500拠点の閉鎖とも連動した構造改革の一環です。

EC事業者にとっては、FedExの料金体系変更が配送コストに直接影響するため、物流パートナーの見直しや配送戦略の再構築を検討する契機となります。

詳細記事: FedEx、プレミアムEC配送に全振り――「Tシャツを送るなら、うちじゃない」

Metapack、AI搭載の配送データ管理ツールを発表

配送プラットフォームのMetapackが、小売業者向けにAI搭載の新世代ツールを発表しました。フルフィルメントが複雑化する中、配送データの管理・可視化にAIを活用し、小売業者がより的確な配送判断を行えるよう支援します。

配送体験の最適化がEC事業者の競争力に直結する中、物流テック企業のAI活用が急速に進んでいます。

Carrefour × Vusion、スマートストアを大規模展開

仏大手小売Carrefourと店舗デジタル化ソリューションのVusionが提携し、スマートストア技術の大規模展開を発表しました。電子棚札やデジタルサイネージなど、実店舗のデジタル化を全店規模で推進します。

オンラインとオフラインの融合が進む中、実店舗のリアルタイムデータ化は在庫管理やプライシングの効率化に直結します。OMO(Online Merges with Offline)戦略の具体的な実装事例として注目されます。

Amazon、倉庫ロボット「Blue Jay」プロジェクトを中止

Amazonが2024年に発表したマルチアーム型倉庫ロボット「Blue Jay」の開発を、プロトタイプ段階で中止したことが明らかになりました。ただし、開発で得られた技術は他のマニピュレーションプログラムに転用される予定です。

Amazonは倉庫自動化において業界最大の投資を行っていますが、すべてのプロジェクトが製品化に至るわけではありません。AI・ロボティクス投資の取捨選択が進む中、実用性のある技術に資源を集中する戦略的判断と見られます。

まとめ

2月19日のEC・AIコマース業界は、エージェンティックコマースの標準化と実装が同時に加速した一日でした。Adobe CommerceのUCP/ACP対応はプラットフォーム間の相互運用性を前進させ、DBS×Visaのパイロットは昨日のMastercard Indiaに続く決済インフラの実証段階入りを示しています。

物流領域では、FedExのプレミアム化戦略やMetapackのAI配送ツールなど、配送の高付加価値化とデータ活用が進んでいます。一方、Amazon Blue Jayの中止は、ロボティクス投資の選択と集中が進んでいることを示唆しています。

Shopify、eBay、Global-eの好決算が相次ぐ中、Eddie Bauerの破産はデジタル化への対応が遅れたブランドの淘汰が続くことを改めて示しました。明日以降は、Adobe・Visa・Mastercardのエージェンティックコマース標準が実際にどこまで相互運用可能なのか、技術的な詳細に注目が集まります。