AIコマース2026年9月11日

AIコマース ニュースダイジェスト(2026年9月11日)

Ant International・Mastercard・VisaによるKnow-Your-Agent相互運用の協業、Amazon DSP経由のChatGPT広告、PayUの加盟店向けAgent HQなど、9月11日のAIコマース関連ニュースをEC事業者向けにまとめました。

この記事のポイント

  1. Ant International・Mastercard・VisaがAIエージェントの本人確認で協業を開始
  2. Amazon DSPからChatGPTの会話型広告を買える試験提供が始まる
  3. PayUやShopifyなど、決済と基盤側がエージェント経由の商流を取り込みにいく

9月11日のAIコマース関連ニュースをお届けします。本日は、AIエージェントが買い物をするときの「身元確認」と「商品発見の収益化」という2つの土台で大きな動きがありました。前日に紹介したMastercardのAgent Connectは加盟店側の受け口でしたが、今日はカードとウォレットの3陣営が、エージェントをどう見分けるかの共通原則づくりに踏み出しています。あわせて、決済事業者のPayUや、ShopifyとWalmartの経営陣が、エージェント経由の取引を自社の基盤にどう取り込むかを具体的に語りました。

今日の注目ニュース

Ant International、Mastercard、VisaがKnow-Your-Agentの相互運用で協業を開始

Ant International、Mastercard、Visaの3社は9月10日、AIエージェントの身元を確認する仕組み「Know-Your-Agent(KYA)」を、ネットワークをまたいで通用させるための協業を始めたと発表しました。各社の審査や判断のプロセスは残したまま、エージェントの登録と識別に共通の原則をそろえる狙いです。

3社はすでに、Visaの「Trusted Agent Protocol」、Mastercardの「Verifiable Intent」、Ant Internationalの「Agentic Mobile Protocol」をそれぞれ公開しています。今回はこれらを統合するのではなく、運営者へのひもづけ、共通の認定要件、継続的な取引モニタリングの3点で、互いの信頼シグナルを認識し合えるようにします。議論はシンガポール金融管理局(MAS)が主導する業界プラットフォーム「BuildFin.ai」で進めます。

EC事業者にとっては、決済ネットワークごとに個別の本人確認へ対応する手間が減る可能性があります。ただし発表は協業の「開始」にとどまり、対応時期や加盟店側の実装要件は示されていません。3つのプロトコルが並立する間の統合コストを誰が負うのかは、引き続き注視が必要です。

AmazonがChatGPT広告の出稿窓口に、Amazon DSP経由で試験提供を開始

Amazon Adsは9月10日、OpenAIとの提携により、ChatGPT上の広告をAmazonの広告キャンペーンの延長として配信できるようにすると発表しました。現在は米国の一部広告主が試験的に利用しています。広告主はAmazon DSP(広告の自動買い付けツール)を通じて、ChatGPTの利用者に広告を届けられます。

報道によると、キャンペーンの設定や運用はAmazon Adsの担当者が支援し、どの会話に広告を出すかという配信の判断はOpenAIの広告システムが行います。広告はChatGPTの回答の下にテキストや画像で表示されます。Amazon DSPでオムニチャネルの広告枠調達を統括するChris Conetta氏は、会話型広告を「ブランドにとって最も速く伸びている接点」と位置づけました。

注目すべきは、利用者が選択肢を調べ、比べ、決める場面そのものに、最大級のリテールメディアが出稿の導線をつないだことです。ChatGPT上で商品が見つかる経路は、AIによる自然な推薦と広告の2本立てになりつつあります。Amazonに出稿しているブランドやセラーにとっては、既存の運用の延長でAIアシスタント上の露出を検討できる入口ができました。

詳細記事: AmazonがOpenAIと提携、Amazon DSP経由でChatGPT広告の試験提供を開始。出稿ブランドの商品発見はどう変わるか

エージェンティックコマース

PayUが加盟店向けAIエージェントストア「Agent HQ」を公開

インドの決済大手PayUは、中小加盟店向けのAIエージェントストア「Agent HQ」を発表しました。加盟店の管理画面に組み込まれており、業務ごとに必要なエージェントを数クリックで「雇う」ように導入できます。

提供される機能は大きく2系統です。1つは成長のための機能で、商品やサービスをChatGPTやClaude、WhatsAppで見つけてもらい、そのまま取引できるようにします。自社サイトやアプリで動く会話型アシスタントも作れます。もう1つは運用の効率化で、取引のフォローアップ、チャージバックの照合、返金のエスカレーション、精算などをエージェントが自動化します。PolicybazaarやDailyObjectsなどがすでに利用しています。

決済事業者が持つ取引データを起点に、集客から業務処理までをエージェントで束ねる動きです。独自に開発体制を持てない中小ECが、エージェント経由の購買にどう対応するかの現実的な選択肢の1つになりそうです。

詳細記事: PayUが中小加盟店向けAIエージェントストア「Agent HQ」を開始、ChatGPT・Claudeでの販売と決済業務の自動化を管理画面に内蔵

Shopify経営陣、エージェント経由の実トラフィックは「まだ6〜9か月目」と説明

ShopifyのCFOであるJeff Hoffmeister氏とHead of GrowthのArchie Abrams氏は、Goldman Sachsのカンファレンスで、エージェンティックコマースの現状を語りました。LLMで商品を調べてから購入に至る実際のトラフィックが見え始めてから、まだ6〜9か月しかたっていないとしつつ、従来の検索より高いコンバージョンが出ていると説明しています。

両氏が強調したのは、発見の入口がMetaでもOpenAIでも、取引は加盟店のサイトとShopifyの基盤で完結するという点です。LLMの商品発見に向けては、商品の特徴を細かく分類し、在庫と価格をリアルタイムで持つ「Shopify Catalog」を前面に出しました。LP、価格、画像のバリエーションをエージェントに模擬評価させる「SimGym」も紹介しています。

SEOについては、「black pants」のような広い検索語から「Vuori pants」のようなブランド名での検索へ比重が移っていると述べました。独立系ブランドにとっては、エージェント経由で見つけてもらう余地が広がる変化だという見立てです。

詳細記事: Shopify経営陣がGoldman Sachs会議でエージェンティックコマース戦略を説明、Catalogと決済基盤でAIの中抜きを防ぐ構え

GlanceがAppleのiOSに買い物エージェント機能を統合

InMobi傘下のGlanceは、同社のショッピング技術をAppleのiOSに統合したと明らかにしました。Appleのオンデバイスモデルの上に構築しており、iOS 27を搭載するiPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Max、iPhone Duoで利用できるとしています。

Glanceはこれまで、Androidのロック画面にコンテンツや買い物の提案を表示するサービスで広がってきました。COOのMansi Jain氏によると、今回の統合では画像生成の処理がすべて端末上で行われ、データがiPhoneの外に出ません。CEOのNaveen Tewari氏は、利用者の買い物の意図を商品発見と行動につなげる体験をAppleと作ったと述べています。

GlanceはSamsungのスマートTVにも同様の機能を展開しており、OS側の画面が新しい購買の入口になりつつあります。ただし、体験の具体的な仕様や対応市場、決済までの流れは現時点で公表されていません。

W3CとGS1のワークショップ、エージェントの購買は「商品の特定」でつまずくと議論

W3CとGS1は9月8〜9日、Googleとの共催でワークショップ「E-Commerce for Humans and AI Agents」をチューリッヒで開きました。議論の中心は、エージェントが検索、比較、決済まで進めても、利用者が意図した実物の商品を特定できずに失敗する「ラストメーター問題」です。

GoogleのUCPとOpenAIのACPはいずれも、商品の識別にGTIN(国際標準の商品コード)を使います。ワークショップでは、GS1 Digital Linkで実物の商品をブランド公式のデータに結びつける手法が紹介され、MarsとK10Xのパイロットが事例として示されました。一方で、schema.orgやGS1 Web Vocabularyなど語彙の違いによる分断は残っていると指摘されています。

EC事業者にとっては、GTINや商品属性の整備が、エージェントに正しく買ってもらうための前提条件になりつつあることを示す議論です。なお、ワークショップは正式な成果報告をまとめずに閉幕しました。

決済・フィンテック

インドのNPCI、UPIで支払うAIエージェントの登録簿を構築へ(続報)

ロイターによると、インドの小売決済網を運営するNPCI(インド決済公社)が、UPIで支払いを行うAIエージェントを審査する登録簿を構築しています。NPCIが準備を進めるエージェント向けプロトコル「Unified Agent Protocol」の一部として位置づけられるとのことです。前日にお伝えしたNPCIのエージェント決済の検討が、より具体的になった形です。

関係者によると、登録簿はまずUPIで支払うエージェントを対象とし、将来はカードや公共料金の支払いにも広がる可能性があります。当初は食料品などの少額で頻度の高い支払いを、1件ごとの承認なしにエージェントが行う用途が想定されています。一方で、誤った支払いや不正な支払いの責任の所在は、別途規制で整理が必要だとされています。

冒頭で紹介したKYAの協業と同様に、エージェントの身元をどう管理するかは、各国で制度として形になり始めました。

SolidgateがKlarnaと提携、欧州の加盟店が後払いを追加設定なしで導入可能に

決済オーケストレーション(複数の決済手段を1つの接続で束ねる仕組み)を提供するポーランドのSolidgateは、Klarnaとの提携を発表しました。Solidgateの加盟店は、一括払い、無利息の分割払い、長期のファイナンスといったKlarnaの支払い方法を、追加の設定なしでチェックアウトに組み込めます。

Solidgateは、SaaS、EdTech、EC、モビリティなど500社超の加盟店を抱えています。Klarna側にとっては、バルト三国や中東欧のサブスクリプション型・越境型の加盟店へ広がる経路になります。Klarnaのアクティブ利用者は世界で1億2000万人超です。

後払いの導入を決済基盤側でまとめて済ませられるため、中堅規模のECが支払い手段を増やすハードルはさらに下がります。

メキシコのNeloが1億ドルの融資枠を確保、分割払いアプリからコマース基盤へ

メキシコのフィンテック企業Neloは、Victory Park Capitalから1億ドルの融資枠を確保したと発表しました。消費者向けクレジットのアプリから、消費者と加盟店を直接つなぐ二面型のマーケットプレイスへ事業を広げます。年換算の売上高は1億1500万ドル、アクティブ顧客は100万人です。

新たな事業は3本柱で構成されます。アプリ内ECの「Tienda Nelo」では、商品が届いてから隔週の分割払いを始められ、利用者の3人に1人がここで初めてネット通販を経験しているといいます。提携サイトの支払い方法として使える「Nelo Checkout」、加盟店の在庫資金を融資する「Nelo Capital」も用意しています。与信には、支払い能力を予測するAIモデルを使っているとしています。

現金決済が根強いメキシコでは、後払いがEC利用そのものを広げる入口として機能しています。

広告・リテールメディア

Walmart、ショッピングエージェント「Sparky」の週間利用者が前年比2倍、注文単価は4割高い

Walmart Connect米国責任者のRyan Mayward氏は、Goldman Sachsのカンファレンスで、広告事業をリテールメディアから総合的な広告プラットフォームへ広げる方針を語りました。その中で、自社のショッピングエージェント「Sparky」の利用状況も明らかにしています。

同氏によると、Sparkyの週間アクティブ顧客は前年の2倍になり、前四半期比でも60%増えました。Sparkyを使った買い物の平均注文額は、使わない買い物より40%高いといいます。大学フットボールの観戦パーティーの準備のように、何を買うか決まっていない場面で使われることが多く、利用者が伝える状況の情報が関連商品の提案につながっていると説明しました。

あわせて、GoogleやOpenAIのエージェント型ショッピング画面でWalmartの商品が見つかるよう連携していることにも触れ、規模はまだ小さいと認めています。自社エージェントと外部エージェントの両方に張る戦略が、数字とともに示された形です。

AIコマースツール

AmazonがPrime Videoの「見て買う」機能を拡充、Amazon Lensでシーンの服やインテリアを探せるように

Amazonは9月10日、Prime Videoの視聴中に関連商品を見つけて買える機能を拡充すると発表しました。Fire TVで出演者情報などを表示する「X-Ray」に新しく「Shop」タブが加わり、視聴中の作品に関連する商品が並びます。

スマートフォンのAmazonアプリも強化されました。視聴中にアプリを開くだけで、その作品のストアフロントに移動できるようになりました。さらに「Shop the Scene」では、画像検索のAmazon Lensが登場人物の服装やインテリアを認識し、似た商品を探します。完全に同じ商品が見つかるとは限らない点はAmazonも認めています。Shop the Sceneは米国のiOSとAndroidで600超の作品に対応し、既存の「Shop the Show」は1300作品から8000作品超へ広がります。

動画を見ている時間そのものを商品発見の場に変える取り組みで、画像認識AIが視聴と購買をつなぐ役割を担っています。

GAC México、Mercado Libre、Salesforceが新車購入の入口をECとAIで再設計

中国系自動車メーカーのメキシコ法人GAC Méxicoは、Mercado Libreの公式ストアで車種ラインアップを展開し、SalesforceのAgentforceとAutomotive Cloudで見込み客の対応を自動化する取り組みを進めています。

消費者はMercado Libre上で車種や価格、在庫を比べて問い合わせを登録します。その後、Salesforceの仕組みが情報を集めて購入意欲を評価し、正規販売店へつなぎます。ローンや販促、在庫の最終的な案内は販売店が担い、ECとAIは購入検討の前半を受け持つ分担です。Mercado Libreはブラジルで新車掲載を試したのち、メキシコでは2026年1月から試験運用を始めていました。

高額で検討期間の長い商品でも、比較と問い合わせの段階をマーケットプレイスとAIエージェントが担う形が広がっています。

消費者動向

Similarwebの年次EC調査、AIで調べる買い物客の89%は検索も併用

Similarwebは「State of Ecommerce 2026」レポートを公開しました。AIを買い物の調べものに使う消費者の89%は、検索エンジンも併用していることがわかりました。同社のアナリストは「消費者はツールを乗り換えているのではなく、重ねて使っている」と表現しています。

AIプラットフォームからECサイトへの直接の流入は1年で200%超増えたものの、検索に比べると量はまだ小さいとしています。一方で、AIが推薦したブランドは購入で有利になり、場合によっては2対1の差がつくと指摘しました。ECのアプリセッションはウェブ訪問の約1.3倍のペースで伸びており、米国の消費者の86.5%が主にスマートフォンやタブレットで買い物をしていると回答しています。

流入数だけを見るとAIの影響は小さく見えますが、購入の意思決定への影響は大きいという結果です。AI経由の成果をクリック数だけで測らない視点が求められます。

Deloitteの年末商戦予測、EC売上は最大8.4%増で全体の伸びを上回る

Deloitteは、2026年11月から2027年1月までの米国の年末商戦について、小売売上が前年同期比4.0〜4.8%増の1.70兆〜1.71兆ドルになるとの予測を発表しました。前年の同じ期間の伸びは4.1%でした。

EC売上は7.5〜8.4%増の3161億〜3189億ドルと、全体を上回る伸びを見込んでいます。Deloitteは、デジタルツールや販促、価格比較が購買の流れの中で果たす役割の大きさを背景に挙げました。可処分所得は4.5〜5.2%伸びると予測しています。

前日に紹介した調査では、年末商戦でAIを使う買い物客が5割を超える一方、準備ができている小売は1割に満たないとされていました。ECの伸びを取り込めるかは、AI経由の比較検討にどこまで対応できるかにも左右されそうです。

グローバルEC動向

インド政府がEC規則を改正、検索結果の操作とダークパターンへの規制を強化

インド消費者問題局は、消費者保護(EC)規則の改正を発表しました。2027年1月1日から、ECプラットフォームに対して、利用者を誤認させる検索結果の操作や、見せかけの値引き表示への規制を強めます。

改正では、検索結果の関連性を損なう操作が禁止され、スポンサー枠には広告であることを明確に表示する義務が課されます。ダークパターン(利用者を意図しない選択へ誘導する画面設計)については、2023年のガイドラインの順守に加え、年1回の自己監査と順守証明の掲示が求められます。消費者の明示的な同意なしに個人情報を使うことも制限されます。政府の苦情窓口であるNational Consumer Helplineとの連携も義務づけられました。

検索順位と広告表示の透明性は、AIによる推薦が広がるなかでも各国の規制当局が重視している論点です。インドで事業を行うECは、2027年1月1日の施行に向けて、年末商戦と並行して準備を進める必要があります。

フランスのEC訪問者数ランキング、Temuが3か月で310万人減、Vintedがトップ5入り

フランスのEC業界団体FevadとMédiamétrieが、2026年第2四半期のEC訪問者数ランキングを公表しました。首位はAmazonで月間4120万人、2位はLeboncoinで3210万人と、上位は変わっていません。

目立ったのは中国系マーケットプレイスの後退です。Temuの月間訪問者数は第1四半期の2440万人から2130万人へ、3か月で310万人(12.7%)減りました。Sheinは12位から9位に順位を上げたものの訪問者数はほぼ横ばいで、前年比では7.1%減です。AliExpressも1590万人から1510万人へ減少しました。一方、中古品取引のVintedは2010万人で上位5位に入りました。

これらの数字は、7月1日に始まった新たな関税措置の前の時点のものです。第3四半期のデータで、低価格の越境ECにどこまで影響が出るかが見えてきます。

企業動向・提携

Commerce(旧BigCommerce)が年6000万〜8000万ドルのコスト削減と自社株買いを発表

EC向けソフトウェアを提供するCommerce(旧BigCommerce)は、コスト削減と収益性改善の計画を発表しました。年換算で6000万〜8000万ドルの削減を見込み、2027年から通期の非GAAP営業利益率を20%以上にすることを目標に掲げています。発表を受け、株価は取引時間中に約19%上昇しました。

削減の中心は、人員、外部の専門サービス、拠点、ソフトウェア、インフラです。2026年通期の売上見通し(3億3650万〜3億4450万ドル)は据え置き、非GAAP営業利益の見通しは300万ドル引き上げて3100万〜3700万ドルとしました。2028年9月10日まで有効な5000万ドルの自社株買い枠も設けています。

約1か月前の第2四半期決算では売上が前年並みの8451万ドルにとどまり、株価が大きく下落していました。エージェンティックコマース対応を掲げる中堅のECプラットフォームにとって、成長投資と収益性の両立が課題になっていることがうかがえます。

NetflixがShopeeと東南アジアで初のEC提携、有料会員「ShopeeVIP+」に動画配信を同梱

Sea傘下のShopeeは、Netflixとの提携により、新しい有料会員プログラム「ShopeeVIP+」を始めました。インドネシア、タイ、フィリピンの利用者が対象で、Netflixにとっては東南アジアで初めてのEC企業との提携になります。

ShopeeVIP+の会員は、Netflixのモバイルプランを利用できるほか、最低購入額なしで使い放題の送料無料クーポン、毎日の割引クーポンなどの特典を受けられます。インドネシアでは月額4万ルピアから、フィリピンでは複数月契約で月額140ペソからです。Canva Pro、ChatGPT Go、Duolingoといった他社の特典も含まれます。

Amazonのプライム会員と同じく、動画配信を組み込んで有料会員の継続率を高める設計です。東南アジアのEC競争が、配送や価格だけでなく会員制度の厚みでも争われるようになっています。

Primarkが英国で宅配を開始へ、ネット販売への慎重姿勢を転換

英国の低価格衣料チェーンPrimarkは、英国で宅配サービスを始める計画を明らかにしました。開始時期は示していませんが、出荷のためにシェフィールドの倉庫を取得しています。

Primarkは2022年まで商品をネットで販売しておらず、その後も店舗受け取りのClick & Collectにとどめてきました。親会社のAssociated British Foodsは、第4四半期の英国売上を約1%増と見込む一方、既存店ベースでは英国で横ばい、全体では3%減を予想しています。アナリストは、SheinやTikTok Shop、Vintedとの競争が方針転換の背景にあると指摘しました。

アナリストのJulie Palmer氏は、低価格を維持したまま宅配で利益を出せるかが本当の試金石だと述べています。返品対応の設計も含め、店舗中心の小売がECの採算にどう向き合うかの事例になりそうです。

まとめ

本日は、エージェントが買い物をする前提で「誰が責任を持つか」と「どこで見つけてもらうか」の仕組みづくりが並行して進んだ1日でした。Ant International、Mastercard、VisaのKYA協業とインドNPCIの登録簿は、エージェントの身元確認が決済ネットワークと国の制度の両面で形になり始めたことを示しています。

商品発見の側では、AmazonがChatGPT広告の出稿窓口となり、ShopifyはCatalogと自社の取引基盤で発見と決済の両端を押さえる姿勢を明確にしました。PayUのAgent HQやWalmartのSparkyの数字からも、エージェント経由の購買を自社の基盤に取り込む競争がすでに実務の段階にあることがわかります。

一方、Similarwebの調査は、AI経由の流入が量としてはまだ小さく、検索と併用されている現実も示しました。W3CとGS1の議論が指摘したように、商品コードや属性データの整備は、どの入口から来るエージェントにも正しく買ってもらうための共通の土台です。年末商戦に向けて、各社の実装がどこまで進むかに注目です。