AIコマース2026年7月31日

Merchant Centerと商品フィード — 広告の道具から、AI回答の材料へ

Google Merchant Centerの商品フィードを、設定の基本からAI文脈まで解説します。Googleは生成AI向けの特別なマークアップは不要としながら、商品情報にはMerchant Centerフィードの利用を推奨しています。鮮度・粒度・属性という3つの条件、schemaとの整合、ChatGPT側のフィードとの違いをまとめました。当社調査では期間限定キャンペーンの捕捉率は43.3%でした。

この記事のポイント

  1. 商品フィードは広告の道具から、AI回答の材料に変わりました。無料リスティングとAIの買い物回答に、同じデータが供給されています
  2. Googleは「生成AI向けの特別なマークアップは不要」と言う一方で、商品情報にはMerchant Centerフィードの利用を推奨しています。この非対称に意味があります
  3. 期間限定キャンペーンの捕捉率を測ったところ、AIが公式キャンペーンを挙げられたのは90機会中39件(43.3%)でした。公式サイトに載っていても届いていません

結論、商品フィードは広告の道具からAIの材料になった

Merchant Centerは長らく、ショッピング広告を出すための仕組みとして理解されてきました。広告運用者が触るもので、SEO担当やコンテンツ担当の視界には入りにくい位置にありました。

その位置づけが変わっています。無料リスティングが加わり、さらにAIの買い物回答に商品情報が供給されるようになったことで、フィードは広告予算とは独立した露出の経路になりました。広告を出していない事業者にとっても、整える理由ができたということです。

Googleは何と言っているか

公式ガイドの記述を2つ並べます。ここに、この記事の骨があります。

Googleは生成AI機能向けの公式ガイドで、生成AI検索のために追加すべき特別なschema.orgのマークアップは無いと明記しています。その同じガイドで、商品リスティングやローカル情報の可視性を高める方法として、Merchant CenterフィードとGoogleビジネスプロフィールを名指しで挙げています。

構造化データは不要だがフィードは推奨する。この非対称は何を意味するのか。AIは、ページから推測できる情報ではなく、確定した商品データを求めているということです。ページ上のHTMLは表現の自由度が高く、価格が税込か税抜か、在庫が何を指すかは書き手次第です。フィードは形式が決まっているので、解釈の余地がありません。

構造化データを実装する意味が無くなったわけではありません。目的が違うだけです。この整理はECの構造化データ実装ガイドに、対策全体の見取り図はLLMO対策とは何かにまとめました。

Merchant Centerの基本

AIの話に入る前に、設定の基本を押さえます。

まずアカウントの開設とサイトの所有権確認です。Search Consoleで確認済みのサイトなら、同じGoogleアカウントで連携できます。

次にフィードの登録です。方法は4つあります。ファイルの直接アップロード、指定URLからのスケジュール取得、Content APIによる自動連携、そしてカートシステムのアプリ連携です。商品数が数十点ならファイル、数百点以上で在庫が動くならスケジュール取得かAPIが現実的です。

必須属性は次のとおりです。id、title、description、link、image_link、availability、price、brand、GTIN、condition。このうちGTINは商品を一意に特定する識別子で、同じ商品を扱う他の出品と突き合わせる基礎になります。誤りや欠落があると、同一商品として扱われず、比較の候補から外れることがあります。JANコードがある商品なら、必ず入れてください。

無料リスティングと広告の関係も整理しておきます。同じフィードが両方に使われます。広告を出さない場合でも、フィードを登録すればショッピングタブの無料枠に掲載される可能性があり、そこからAI側にも情報が渡ります。

AI回答に効くフィードの条件

広告のためのフィードと、AIのためのフィードでは、重視する点が変わります。3つあります。

1つ目は鮮度です。従来のショッピング広告でも更新頻度は重要でしたが、AIの回答ではさらに効きます。会話の中で「いま買うならどれ」と聞かれたとき、古いデータしか無ければ答えに使われません。

ここは実測があります。当社が家電量販3ブランドの公式キャンペーン9件について主要AI5種に質問した調査では、公式キャンペーンを名称として挙げられたのは90機会中39件、43.3%でした。ブランド別に見ると、最も高いブランドが70.0%だったのに対し、低いブランドは30.0%です。公式サイトに掲載されていても、入れ替わる情報はAIに届いていません。

2つ目は粒度です。検索広告向けのタイトルは短いキーワードに合わせて作られていることが多く、会話型の質問に答えるには情報が足りません。「一人暮らし向けで幅60cm以下の洗濯機」のような聞かれ方をしたとき、サイズや設置条件が属性として入っていなければ候補に残りません。

3つ目は属性の充足です。サイズ、素材、対応機種、保証年数。顧客が質問に出す軸を、そのまま属性として持っているかどうかです。自社のカスタマーサポートに来る質問を一覧にすると、埋めるべき属性が見えます。

フィード仕様は更新が続いている領域なので、着手する時点でMerchant Centerのヘルプで最新の属性一覧を確認してください。

schemaとフィードが矛盾すると、両方沈む

実務でいちばん起きる事故がこれです。

同じ商品について、フィードでは税込価格、ページのJSON-LDでは税抜価格を出している。フィードでは在庫あり、ページでは品切れ表示になっている。こうした食い違いは、機械から見るとどちらが正しいか判断できない状態です。片方だけを信じる根拠がないので、両方の確信度が下がります。

対策は単純です。両方を同じソースから生成してください。商品マスタから、フィードとJSON-LDの両方を出力する。手作業で片方だけ直す運用をやめれば、この種の事故は構造的に起きなくなります。

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二重管理は必ず崩れます

フィードは広告チーム、JSON-LDは開発チームという分担になっていると、セール時に片方だけが更新されます。担当を分けるなら、少なくとも出力元のデータは1つにしてください。

ChatGPT側にもフィードがある

フィードはGoogleだけの話ではありません。ChatGPTも加盟店向けのプログラムで商品フィードを受け付けています。

2つのフィードは目的も要件も違うので、並べて整理します。

項目Google Merchant CenterChatGPT(OpenAI)
主な用途ショッピング広告、無料リスティング、AI回答への商品情報供給ChatGPT内での商品推薦(ディスカバリー)
提出方法ファイルアップロード、スケジュール取得、Content API、カート連携加盟店向けプログラム経由での提出。条件は公式ドキュメントを確認
必須属性id、title、description、link、image_link、availability、price、brand、GTIN、condition商品を特定できる識別子と価格・在庫が中核。詳細は公式ドキュメントを確認
更新頻度スケジュール取得またはAPIで随時。価格と在庫が動く商材は1日1回では不足変更の反映速度が重視される。仕様は変更されるため公式ドキュメントを確認
審査商品ごとに承認・不承認の判定があり、診断画面で確認できるプログラムへの参加条件と審査の有無を公式ドキュメントで確認
購入の完結加盟店サイトへ遷移2026年3月のInstant Checkout終了後は、加盟店サイトへ遷移

ChatGPT側の仕様は変化が速い領域です。提出形式、更新頻度、審査の有無、対象となる事業者の条件。いずれも着手する時点でOpenAIの公式ドキュメントを確認してください。この記事の記述も含め、フィード周りは最も陳腐化しやすい部分です。

もう1つ押さえておきたいのは、2026年3月にInstant Checkoutが終了したあとも、フィードは発見(ディスカバリー)の材料として残っていることです。購入がChatGPTの中で完結しなくなっただけで、商品を推薦する材料としてのフィードの役割は変わっていません。ChatGPT側の経路全体はChatGPTで自社商品がおすすめされるにはで扱いました。

誰も効果を測っていない

当社が主要家電量販9ブランドの公式サイトを監査した調査では、商品フィードやAPI連携、AI経由流入の効果測定に関する公開情報が、9ブランドすべてで確認できませんでした。

ただし、これは「やっていない」ことの証明ではありません。外部から見える形で公開していないだけ、という可能性は十分にあります。監査は公開情報を対象にしているので、社内でどこまで測っているかは分かりません。

それでも言えることはあります。フィードを出しているかどうかと、その効果を測っているかどうかは別の問題です。フィードは出して終わりではなく、出したあとにAI回答で自社商品が挙がるようになったかを確認して初めて、投資として成立します。

フィード整備の手順

現行フィードのエラーを確認する

Merchant Centerの診断で、不承認と警告の件数を見ます。完了条件は、不承認がゼロになっていること

必須属性を充足させる

id、title、description、link、image_link、availability、price、brand、condition。完了条件は、全商品で必須属性が埋まっていること

GTINと識別子を整備する

JANコードがある商品には必ず入れます。完了条件は、GTINを持つべき商品でGTINの欠落がゼロになっていること

更新頻度を引き上げる

ファイルの手動アップロードから、スケジュール取得またはAPI連携へ移します。完了条件は、価格と在庫の変更が当日中に反映されること

schemaとの整合を確認する

フィードの1行と、同じ商品のJSON-LDを並べて比較します。完了条件は、価格・在庫・GTINの3つが一致していること

よくある質問

広告を出さなくてもMerchant Centerを使うべきですか?

使ってください。無料リスティングへの掲載があり、そこからAI側の買い物回答にも情報が渡ります。広告予算とは独立した露出の経路です。

ShopifyやBASEの自動連携で足りますか?

基本的な属性は自動で連携されますが、GTINやサイズなどの詳細属性が空のまま送られていることがよくあります。Merchant Centerの診断で、実際に何が送られているかを確認してください。

GTINがない商品はどうすればいいですか?

自社製造品やハンドメイドなど、GTINが存在しない商品には identifier_exists で存在しないことを明示します。空欄のまま送るのとは扱いが違います。

更新頻度はどのくらいが目安ですか?

価格と在庫が動く商材なら、1日1回では足りません。スケジュール取得を複数回に設定するか、変更をAPIで随時送る形にしてください。

ChatGPTのフィードは誰でも出せますか?

対象となる事業者の条件はプログラム側で定義されており、変更されます。着手時点でOpenAIの公式ドキュメントを確認してください。

楽天やAmazonに出店している場合はどうなりますか?

モール側の商品情報はモールが管理します。自社ECサイトを持っているなら、そちらのフィードは自分で整えられます。AIの回答でモール名だけが挙がって自社名が出ないなら、自社サイト側の整備が効きます。

まとめ

商品フィードの意味が変わりました。広告のための仕組みから、AIに確定した商品データを渡すための経路になっています。

Googleが「特別なマークアップは不要」と言いながらフィードを推奨しているのは、推測できる情報ではなく確定したデータを求めているからです。だからこそ、鮮度・粒度・属性の充足がそのまま効きます。

実測では、期間限定キャンペーンをAIが挙げられたのは43.3%でした。公式サイトに載せるだけでは届いていません。フィードを整えたら、AI回答で自社商品が挙がるようになったかまで確認してください。当社では小売・EC事業者向けに無料のAI可視性診断を提供しています。