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AIコマース2026年10月13日

AIコマース ニュースダイジェスト(2026年10月13日)

10月9日から12日のAIコマースニュース。THG CommerceがAIショッピングアシスタントの会話にCriteoのスポンサード商品を表示し、ShopifyはMetaのMuseから店舗を運営できるコネクタを公開しました。Ulta BeautyのAI回答向けコンテンツ運用、Loopsの資金調達、Meeshoのセール実績なども紹介します。

AIコマース ニュースダイジェスト(2026年10月13日)

この記事のポイント

  1. THGがAI接客の会話にCriteoの広告を初めて表示
  2. ShopifyがMuseから店舗運営できるコネクタを公開
  3. エージェントの会話が広告枠と運営画面になり始めた

10月13日のAIコマース関連ニュースをお届けします。今回は10月9日から12日までの4日分をお届けします。この4日間で目立ったのは、AIとの会話が「商品を探す場所」から、広告を出す場所や店を運営する場所へと広がり始めたことです。THG Commerceは、AIショッピングアシスタントの回答の中にCriteoのスポンサード商品を並べる仕組みを公開しました。ShopifyはMetaのエージェントMuseに、事業者が在庫や価格を会話で操作できるコネクタを用意しています。Ulta Beautyが明かしたAI回答向けのコンテンツ運用や、インドの祝祭シーズンのセールでAIの推薦が受注の大半を占めたMeeshoの数字も、同じ流れの中にあります。

今日の注目ニュース

THG Commerce、AIショッピングアシスタントの会話にCriteoのスポンサード商品を表示、CTRは平均の5倍超

英THG Ingenuity傘下のTHG Commerceは、自社のAIショッピングアシスタントにCriteoのスポンサード商品を組み込みました。アシスタントは買い物客の言葉からキーワードと絞り込み条件を取り出しておすすめを作ります。条件に合うスポンサード商品があれば、広告であることを示すラベルを付けて、通常のおすすめと同じ回答の中に並べます。アシスタントはGoogle CloudのGemini Enterprise上に作られており、THG Commerceは欧州のコマース技術企業として初めての取り組みだとしています。

初期の結果では、アシスタント経由のスポンサード商品のクリック率が平均の5倍超、購入率が平均の2倍超だったといいます。表示の判断には、Criteoの検索広告と同じキーワード照合や意味の理解、関連性の閾値が使われ、問いに合わないときは広告を出しません。

AIの回答に並ぶ商品は数点に絞られるため、検索結果のページよりも1枠の重みが大きくなります。会話の中の広告枠をどう値付けし、買い物客の信頼を損ねずに運用するかは、AI接客を入れる小売にとって次の収益化の論点になります。数値の測定条件は公表されておらず、比較の前提は今後の開示を待つ必要があります。

詳細記事: THG CommerceがAIショッピングアシスタントにCriteoのスポンサード商品を統合、CTR5倍超の会話型リテールメディアで変わること

Shopify、MetaのMuseから商品・在庫・注文を操作できる「Shopify Connector for Muse」を公開(続報)

Shopifyは、事業者が自分のストアをMetaのAIエージェントMuseにつなぐ「Shopify Connector for Muse」を公開しました。9月に買い手がMuseの中でShop Payを使って買える仕組みを発表しており、今回は売り手側の入口です。ShopifyのHarley Finkelstein社長は「Museではすでに買い物ができた。これからは事業全体をMuseから動かせる」と投稿しました。

E-Commerce Nationによると、接続を許可すると、Museは商品・コレクション・在庫・注文・顧客・割引・分析のデータを扱えます。商品の作成や価格の変更、ロケーションごとの在庫数の修正ができ、在庫を書き換える前には最新の数量を確かめ直し、変わっていれば処理を止めます。売上や客単価は自然な言葉で問い合わせられますが、分析データは読むだけです。一方で、決済・税・ドメインの設定、本番テーマの公開、返金、支払いの取り消し、返品処理はできないようにしてあります。

9月にAmazonがMuseを遮断したのとは対照的に、Shopifyは事業者側にも扉を開けました。Shopifyは管理画面が引き続き運営の中心で、自社のAIアシスタントSidekickの代わりにもならないと説明しています。エージェントに任せてよい操作と任せない操作の線引きを、プラットフォーム側が先に決めた例として参考になります。

エージェンティックコマース

Ulta Beauty、ChatGPTやGeminiへの質問を調べて答えるコンテンツを出し、AI回答での順位を追跡

米化粧品小売のUlta Beautyで最高マーケティング責任者を務めるKelly Mahoney氏が、The Drumの取材でエージェンティックコマースへの備えを語りました。買い物客がChatGPTやGeminiに打ち込む文章型の質問を調べ、その答えになるコンテンツを、AIが情報源にする場所へ出しています。そのうえで、AIの回答の中で自社の情報がどの順位に出るかを追い、内容を直しているといいます。

コンテンツの担い手には、クリエイターやインフルエンサーに加え、店舗スタッフのプログラム「Ulta Beauties」も含まれます。NielsenIQとの調査では、AIツールを使うアルファ世代の57%が店で商品を見たり試したりしており、使わない層の36%を上回りました。Mahoney氏は、AIが広がるほど店舗体験の価値が上がると見ています。

詳細記事: Ulta BeautyのAI検索対策:買い物客のプロンプトを調べ、回答に載るコンテンツで順位を追う。AIで店舗の価値が上がる理由も

Rezolve Ai、どのAIエージェントからでも注文と支払いを受けられる「RezolvePay」を紹介、Museでのデモも公開

ナスダック上場の英Rezolve Aiは10月9日、消費者が使うAIエージェントと加盟店側のエージェントをつなぎ、注文から支払いまでを完結させるRezolvePayの仕組みを公開しました。あわせて、MetaのMuseがコーヒー店のRezolvePayのエージェントとやり取りし、店頭受け取りの注文を済ませるデモ動画も出しています。

デモのレシートには、注文したエージェントとしてMuseの名前が記載されます。どのAIの経路から注文が来たかを加盟店が把握できる点を、同社は強みとしています。RezolvePayの決済にはステーブルコインなどデジタル資産の決済網も含まれます。AIエージェントがどこから来ても受け付けられる加盟店側の受け皿をめぐって、各社の提案が増えています。

AmazonのAIが作る購入者像「About You」に利用者の戸惑いが拡散、機能は完全には止められず(続報)

AmazonのAIショッピングアシスタントの「About You」をめぐり、SNSで利用者の投稿が相次いでいます。About Youは、アシスタントとの会話、レビュー、購入履歴、Amazonのリスト、検索の5つから利用者像をまとめる機能で、5月に公開されました。Inc.によると、数回の購入から体型や持ち物を断定するような推測が並び、ThreadsやReddit、Xで取り上げられています。

機能そのものを完全にオフにする方法はなく、利用者は誤った推測や知られたくない項目を削除したり、伝えたい情報を書き足したりできます。AIの推薦の精度を上げるには利用者の情報が欠かせませんが、推測の中身を見せたときにどう受け取られるかという課題も浮かび上がりました。

AIコマースツール

Loops、検索・購買相談・商品データを1つにつなぐ小売向けAI基盤でシード350万ドルを調達、NTTドコモも出資

米サンフランシスコのLoopsは10月12日、350万ドルのシード資金を調達したと発表しました。出資したのはa16z speedrun、NTTドコモ、Connecticut Innovations、Alumni Ventures、Monday Capitalです。資金は製品開発、導入支援の体制づくり、海外展開に充てます。

同社は、小売がサイト内検索、購買相談、商品説明の生成、バーチャル試着といったAIを1つずつ別の製品で導入し、つなぎ合わせる負担を問題にしています。Loopsは同じ商品知識と事業の文脈の上にそれらを載せ、商品データを良くすれば検索が良くなり、会話から商品情報の弱い所が見えるという循環をつくるとしています。AI機能が増えるほど、土台となる商品データを1か所で整える設計が問われます。

詳細記事: Loopsが350万ドルを調達、AI検索・購買相談・商品データを1つの商品知識でつなぐ「コマースのAI OS」はEC事業者に何を問うか

富士通、小売の意思決定を支える4つのAIエージェントを日本の小売7社と試行

富士通は、小売の業務と経営判断を支える4つのAIエージェントの試行環境を用意し、日本の小売7社と検証を始めました。売上構造の分析、顧客ロイヤルティの分析、商品計画、店長の支援の4つで、小売・流通向けの事業ブランド「Uvance for Retail」から提供します。

商品計画のエージェントは、商品別・店舗別の販売計画づくりを手伝い、店ごとの在庫配分や欠品を防ぐ在庫移動を提案します。店長向けのエージェントは、販売データに地域の状況、天気、SNSの動きを組み合わせ、品ぞろえや棚割りの変更を勧めます。4つのエージェントは共通の実行基盤の上で同じデータを使います。オーストラリアとニュージーランドでは2027年6月の商用提供を予定しており、日本での試行がその前段になります。

Kroger、7月に始めたAIショッピングアシスタントで利用者が情報を出してくれる度合いが期待を上回る

米食品スーパー大手Krogerのチーフデジタルオフィサー、Yael Cosset氏がRetail Brewの取材に応じ、7月に始めたAIショッピングアシスタントの手応えを語りました。利用者は探している物や条件を入力するため、店頭の購買データよりも健康や味の好みなどの文脈がわかります。こうした情報を出してくれる度合いは「期待を上回った」といいます。

用途を絞った道具なのでかごは小さくなると見ていましたが、実際には当初の目的を超えて商品を追加する動きが出ているそうです。社内では社員向けの研修「AI運転免許」を設け、最終判断に人を残す運用と、決定を取り消せる監査可能なデータを重視しています。同社は9月に、Jet.comの共同創業者Nate Faust氏を初の最高EC責任者に迎えています。

グローバルEC動向

インドの祝祭シーズンのセール、最初の2日間で約2400億ルピー、スマホが4割

コンサルティング会社Redseer Strategy Consultantsの推計によると、インドのEC各社は祝祭シーズンのセールの最初の2日間で、約2400億ルピー(2万4000クロール、25億ドル超)の商品を売りました。注文数は8000万〜9000万件、参加した買い物客は6000万〜6500万人で、流通総額は平常時の1日平均の約6倍でした。

金額ではスマートフォンが38〜40%で最大、家電が25〜27%で続きます。2級以下の都市の買い物客が手頃な祝祭衣料を買い、AmazonやFlipkartはクイックコマースの部隊もセールに投入して、その流通総額は平常時の4〜5倍になりました。インドのセールは、買い手の裾野が地方へ広がる構図が続いています。

Meesho、セール初日の注文が前年比75%増、推薦経由が約85%を占める

インドのECプラットフォームMeeshoは10月10日、セール「Mega Blockbuster Sale 2026」の初日の注文が前年比で約75%増えたと発表しました。開始から15分以内に毎分7万5000件超の注文のピークを迎え、購入した顧客は約60%増えています。

注目は、個人ごとのおすすめが初日の注文の約85%を生んだという点です。ブランド品を集めたMeesho Mallの注文は200%超、クリエイターのコンテンツ経由の注文は約3.7倍に伸びました。地方在住者が多い買い手に向け、検索よりも推薦とコンテンツで商品に出会わせる設計が、セールの規模を支えています。

Morgan Stanley、eBayをネット株の最有力銘柄に、ライブコマースがGMV成長の4割超

Morgan Stanleyは、eBayをネット関連株の最有力銘柄に選び、目標株価を127ドルから132ドルに引き上げました。アナリストのNathan Feather氏は、ライブ配信のオークション「eBay Live」がeBayの流通総額の伸びの40%超を生んでいると見積もっています。発表を受け、eBayの株価は日中に5%上がりました。

eBayは8月の決算説明会で、eBay Liveの流通総額が前年の約8倍になったと説明していました。Feather氏は欧米のライブショッピングを、中古品やコレクターズアイテムのデジタルな競売所と位置づけ、インフルエンサー中心のアジア型とは違うと指摘しています。

企業動向・提携

IKEA最大の運営会社Ingka、中国の抖音(Douyin)に6500点超の公式旗艦店を開設

IKEAの最大の運営会社であるIngka Groupは10月11日、中国のショート動画・コンテンツコマースの大手、抖音(Douyin)にIKEAの公式旗艦店を開きました。179カテゴリーの6500点超を扱い、中国の301都市へ配送します。店舗、自社サイト、アプリ、WeChatなどの既存の販路を補う位置づけです。

Ingka Groupの最高デジタル責任者Parag Parekh氏は、ひらめき、やり取り、購買が近づいている様子を新しい場で学ぶ機会だと述べました。買う前の「アイデアを探している段階」で接点を持つ狙いで、抖音で得た学びをIKEA全体のオムニチャネルの取り組みに生かすとしています。

Ahold Delhaize、セキュリティ障害で一部システムを停止、米国の5つのスーパーのサイトが閲覧不能に

オランダ・ベルギー系の食品小売大手Ahold Delhaizeは現地時間10月12日、ネットワーク内でセキュリティ上の問題が起きたと発表し、予防措置として一部のシステムを停止しました。Grocery Diveによると、同日朝の時点で米国のHannaford、Stop & Shop、Giant Food、Food Lion、The Giant Companyの5つのサイトが閲覧できなくなっていました。

オランダでもAlbert Heijn、Etos、Gall & Gallのサイトが止まっていましたが、店舗はすべて営業しているとしています。復旧の見通しは示されていません。同社は2024年末にも、米国事業でサイバー攻撃を受けています。ネットスーパーの比重が高い食品小売ほど、サイトの停止がそのまま売上の機会損失につながります。

決済・フィンテック

FedExとStripe、配送データを使う中小企業向け融資で長期提携、FedExはStripeの決済も導入

FedExのデータ部門FedEx DataworksとStripeは、中小企業の融資と決済で長期的に協業すると発表しました。FedExの配送網から得られる出荷量、在庫の動き、配送の実績といった業務データを、Stripe Capitalの融資審査に生かします。最初のサービスは2027年初めに始める予定で、FedExで出荷する数万社の中小企業が対象です。

決済の面では、FedExがStripeを決済処理の手段の1つとして使い始め、世界で50を超える支払い方法を追加します。銀行の取引明細や信用スコアだけでは見えにくいEC事業者の実際の商いを、物流のデータで補う試みです。

ギリシャ、EC商品の代金引換を原則として電子決済のみに

ギリシャ政府は、宅配便で届いた商品の代金を受け取り時に払う代金引換について、カードやネットバンキングなどの電子決済を義務づける法案を意見公募にかけました。成立すれば、ECで現金払いをする道は事実上なくなります。

食品の配達、処方箋の要らない医薬品、70歳以上の人、人口の少ない集落や島しょ部は対象外です。eKathimeriniによると、配達される商品の30〜40%がいまも現金で支払われています。代金引換の比率が高い市場では、配達時の決済端末や支払いリンクへの切り替えが事業者の課題になります。

物流・フルフィルメント

Walmart、カリフォルニア州ストックトンに5か所目の次世代EC物流センターを稼働

Walmartは、カリフォルニア州ストックトンに延べ90万平方フィートの次世代EC物流センターを開設しました。同社の次世代センターとしては5か所目です。高密度の保管・取り出しシステムで、従来12工程だった出荷作業を5工程に減らしています。

マーケットプレイスの出店者向けの物流代行「Walmart Fulfillment Services」もこの拠点を使います。既存の4拠点とあわせて、米国の人口の95%に翌日または2日での配送ができる体制で、ジョージア州カーンズビルには6か所目となる150万平方フィートの拠点を計画しています。

Zalando、AIロボットで返品の仕分けを自動化、ドイツとポーランドの拠点で本稼働

欧州のファッションEC大手Zalandoは、独SereactのAIロボットで返品の仕分けを自動化しました。Ceva Logisticsが運営するドイツのグレーフェンとポーランドのシフィエボジンの拠点で、すでに本番として動いています。

双腕のロボットはSereactのAI基盤「Cortex」を使い、商品ごとの学習や事前の品番リストなしに、返品された服を見分けてつかみ、仕分けます。返品は届く状態がばらばらで、従来の倉庫ロボットが苦手としてきた工程です。3社はこれを欧州全体の返品自動化の第1段階と位置づけ、ロボットはサービスとして利用する形で導入しています。

まとめ

この4日間のニュースを並べると、AIエージェントとの会話が、買い物客の相談窓口にとどまらなくなってきたことがわかります。THG CommerceとCriteoは会話の中に広告枠を設け、Shopifyは事業者がMuseに話しかけて在庫や価格を動かせるようにしました。Rezolve Aiは、どのエージェントから来た注文かを加盟店が把握できる点を前面に出しています。会話が広告の場にも運営の画面にもなるなら、何を任せ、何を人が決めるかの線引きが欠かせません。Shopifyが返金や決済設定をあえてMuseに触らせなかったのは、その一例です。

買い物客の側では、Amazonの「About You」への反応が、推薦のための情報集めが見え方次第で反発を招くことを示しました。Krogerのように利用者が進んで条件を伝えてくれる例もあり、差を分けるのは得られる便利さと説明の仕方だと言えます。Ulta Beautyが進めるAI回答向けのコンテンツ運用も含め、エージェントに読まれる情報を誰がどう整えるかが、この秋の小売の共通の宿題になっています。