AIコマース ニュースダイジェスト(2026年9月15日)
WorldlineがUCP向け決済ハンドラーを欧州で先行提供、Ecommpayはエージェント型チェックアウトが脆弱な消費者を排除すると警告、EU・ベトナム・マレーシアでは低額越境ECの優遇見直しが相次ぎます。9月15日のAIコマース関連ニュースをEC事業者向けにまとめました。
この記事のポイント
- WorldlineがUCP向け決済ハンドラーを欧州で先行提供
- Ecommpay調査、脆弱な消費者の41%がツール不具合で決済手続きを完了できず
- EU・ベトナム・マレーシアで低額越境ECの優遇見直しが相次ぐ
9月15日のAIコマース関連ニュースをお届けします。本日の軸は、決済事業者の側で進む「エージェントの受け入れ口」づくりです。前日に紹介したAnt InternationalのAMPでアクワイアラーの1社に名を連ねたWorldlineが、今度はGoogle系のUCPに対応する決済ハンドラーを公開しました。フランスのBPCEも新設した加盟店決済部門で、AIエージェント発の取引を扱う構想を掲げています。一方でEcommpayは、エージェント型のチェックアウトが脆弱な立場の消費者を置き去りにしかねないと警告しました。EC一般では、EUで3ユーロ課金後の荷物減少が明らかになり、ベトナムでは免税基準の引き下げ案、マレーシアでは業界団体の要望と、低額な越境ECへの優遇を見直す動きが同じ日に並んでいます。
今日の注目ニュース
WorldlineがUCP向け決済ハンドラーを提供開始、1回の設定でUCP接続のAIプラットフォームから決済を受け付け

欧州の決済大手Worldlineは、Googleと業界パートナーが共同開発したエージェンティックコマースのオープン標準Universal Commerce Protocol(UCP)向けの決済ハンドラーを、欧州で最初期に提供開始した。
worldline.com欧州の決済大手Worldlineは9月14日、Universal Commerce Protocol(UCP)向けの決済ハンドラーを提供開始したと発表しました。UCPはGoogleと業界パートナーが共同開発した、AIエージェントによる商品発見と購入のためのオープン標準です。Worldlineは、欧州でこの種の決済ハンドラーを出す最初期の一社だとしています。
仕組みの要点は「一度の宣言」です。加盟店は自社の決済設定を一度宣言しておけば、UCPに接続したあらゆるAIプラットフォームで、カード、モバイルウォレット、欧州のローカル決済を受け付けられるとWorldlineは説明しています。新しいAIの接点が増えるたびに決済統合を作り直す必要がなくなるわけです。提供は越境決済プラットフォームのGlobal Collect経由で、名称は「Worldline Global Collect Payment Handler」です。同社のGertjan Dewaele氏(Worldline Global Commerce、製品・技術担当VP)は、エージェンティックコマースの基盤と加盟店のバックエンドを安全につなぐ「UCP上のユニバーサルアダプター」と表現しました。
Worldlineはつい先日、Ant InternationalのAMPでもアクワイアラーとして採用されています。カード網、ウォレット網に続いて、アクワイアラーが複数のエージェント向けプロトコルに受け口を用意し始めた格好です。一方で、利用料金や、実際に接続済みのAIプラットフォーム名は発表で明らかにされていません。加盟店側から見れば、どのプロトコルを選ぶかより「決済事業者がどこまで吸収してくれるか」が実務上の論点になりつつあります。
詳細記事: Worldline、UCP決済ハンドラーを欧州で先行ローンチ:一度の設定でAIエージェント経由のカード・ウォレット決済を受け付ける仕組み
Ecommpayが警告、エージェント型チェックアウトは脆弱な消費者を排除しかねない

消費者の半数以上が何らかの形で脆弱な立場にあり、AI主導のチェックアウトによって多くの人が支払いを完了できなくなる懸念が高まっている。
itbrief.co.uk英国の決済事業者Ecommpayは、エージェンティックコマースに関するレポート「Before They Check Out」を公表し、AIによる買い物代行やチェックアウトの仕組みが、身体的・認知的な制約を抱える消費者を排除するリスクがあると警告しました。
数字の差ははっきりしています。UK Payments Associationのダイバーシティ&インクルージョン作業部会のデータでは、消費者の59%が何らかの程度で脆弱な立場にあるとされます。インターネットやアプリの利用が「得意」と答えた人は全体で92.7%でしたが、能力面の制約がある人では69.5%にとどまりました。デジタルやAIのツールが動かず銀行・決済の手続きを完了できなかった経験は、全体の12%に対し、脆弱な回答者では41%に達しています。脆弱な利用者の34%は、技術が失敗したときに人間へ簡単につながることを求めていました。
規制面の圧力もあります。EUでは欧州アクセシビリティ法が消費者向け金融サービスに適用され、英国では平等法に基づく合理的配慮と金融行動監視機構(FCA)のコンシューマー・デューティーが求められます。同社CMOのMiranda McLean氏は、エージェンティックコマースは最初から「明確で、制御でき、やり直せる」設計でなければ実害を生むおそれがあると述べました。決済事業者こそ信頼の層を担えるという主張には自社の立場も反映されていますが、人へのエスカレーションや取り消し手段をチェックアウト設計の要件に含めるべきだという指摘は、エージェント対応を検討するEC事業者にとって具体的です。6月に紹介したCheckout.comとEcommpayの調査とあわせて読むと、信頼の壁の中身がより立体的に見えてきます。
エージェンティックコマース
食料品AIアシスタントのNeomi、「商品起点ではなく人起点」でカゴを組み立てる設計を語る

Neomiの共同創業者は、AIはカタログ検索ではなく健康目標や文脈からカゴを組み立てるべきだと主張する。
thenextweb.comThe Next Webは、食料品の買い物AIアシスタント「Neomi」の共同創業者Dmytro Lylyk氏とVladyslav Mehera氏へのインタビューを掲載しました。両氏は、食料品の小売は「商品を目立たせる」ことに最適化されてきたが、AIは健康目標や食事制限、場面といった人の文脈からカゴを組み立てるべきだと主張しています。
例として挙げられたのは、「2人のためのロマンチックなディナー」という体験を選んだユーザーのカゴに、依頼していないワインが入っていたケースです。一方で、利用者は最初は検索エンジンのように「牛乳」と単品で頼みがちで、1週間の食事や目標をまとめて伝えるよう促す必要があるとMehera氏は述べています。リテールメディアについては、販促商品は買い手の意図に合う場合だけカゴに入れるべきで、それが「越えてはならない一線」だとLylyk氏は語りました。
エージェントがカゴを組む前提に立つと、商品データは「何のニーズに合うのか」を説明できる形で整える必要があります。広告枠の考え方も、露出の量から意図との適合へ変わっていく可能性を示す事例です。
詳細記事: 食料品AIアシスタントNeomiの共同創業者が語る「人起点」のカート設計:AIが販促商品を入れてよい一線はどこか
AIコマースツール
dunnhumbyが年次Retail Innovation Forumを開催、商品インテリジェンスとエージェンティックコマースでHarmonyaとAzomaに投資

dunnhumbyは先週、米アーカンソー州ベントンビルで年次Retail Innovation Forumを開催し、小売、ブランド、テクノロジー企業、スタートアップ、投資家が集まった。
retailtechinnovationhub.com顧客データサイエンス企業のdunnhumbyは先週、米アーカンソー州ベントンビルで年次のRetail Innovation Forumを開き、エージェンティックコマースを主要テーマに据えました。小売、ブランド、テクノロジー企業、スタートアップ、投資家が参加しています。
会期中に紹介された取り組みは複数あります。CPG(消費財)メーカーのブランド成長を支える新たなポートフォリオ、複数の小売をまたいでCPGが使えるリテールメディアネットワークのアライアンス、そして商品インテリジェンスとエージェンティックコマースの分野でのHarmonyaとAzomaへの新規投資です。あわせて調査・ベンチマークの「Retail Innovation Index」も示され、スタートアップ・オブ・ザ・イヤーにはShopperoo.AIが選ばれました。
AzomaはAIエージェント向け商品情報プロトコル「Agentic Merchant Protocol(AMP)」を手がける企業で、冒頭で触れたAnt InternationalのAMPとは別のプロトコルです。購買データ分析の大手が、エージェントに読まれる商品データの整備にまで投資先を広げた点が注目されます。ただし投資額や提携の具体的な内容は記事では開示されていません。
StyleBuddy、ブランドの自社ECにAIスタイリストを重ねる「Agentic Storefront」を展開

StyleBuddyが描くファッション小売の姿は、AIスタイリング、バーチャル試着、エージェンティックコマースによってオンラインの買い物体験を高めるものだ。
fashionunited.ukFashionUnitedに掲載されたパートナーコンテンツ(広告記事)で、ファッションに特化したAIコマース基盤を開発するStyleBuddy(創業者兼CEOはSiddharth Pandit氏)が事業構想を示しました。同社は10万人超のユーザーコミュニティを持ち、100を超えるファッションブランドと接点があるとしています。
製品は3本柱です。自社の買い物エコシステムでスタイリング起点の商品発見を提供する「Sell With StyleBuddy」、ブランドの自社ECサイトにAIスタイリストを重ねる「Agentic Storefront」、試着イメージや商品画像を生成する「Virtual Try-On」で、いずれも共通のスタイリングエンジンと商品カタログ層で動きます。Agentic Storefrontでは、買い物客が自然言語で探しているものを伝えると、ブランド自身のカタログからコーディネートを提案し、好みを記憶したうえでブランドのチェックアウトの中に顧客をとどめる設計です。
同社は今後12か月でユーザー200万人超、参加ブランド500超を目指すとしています。広告記事のため、数字はすべて同社の説明です。それでも、外部のAIプラットフォームに顧客接点を渡さず、自社サイトの接客をエージェント化する方向性は、アパレルEC事業者の選択肢の1つとして参考になります。
詳細記事: StyleBuddy、自社ECにAIスタイリストを重ねる「Agentic Storefront」を展開:ファッションAIの3本柱と数字の検証
グローバルEC動向
EUの小口輸入荷物がほぼ半減、7月の一律3ユーロ課金の導入後、域内在庫への切り替えも

EUは一律3ユーロの課金を導入したことで、域内に入る低額荷物の数を半減させた。中国系ECプラットフォームの存在感の拡大を抑える取り組みの一環だ。
www.euronews.comEUが7月1日に150ユーロ未満の小口輸入品へ一律3ユーロの課金を導入して以降、域内に届く小口荷物がほぼ半減したことが、オランダとベルギーの税関データで明らかになりました。ベルギーでは前年比53%減、オランダ税関は中国発を中心とするEC荷物が46%減ったとしています。両国で域外からの低額荷物のほぼ半分を扱っています。
ただしオランダ税関は、減少の一部は課金を受けた事業者の手法の変化を反映している可能性があると指摘しました。バルクで輸入してEU域内に保管し、そこから消費者へ販売する企業が増えているとみられ、さらに調べる方針です。欧州委員会によれば、2024年に域内へ入った150ユーロ未満の商品は46億点で、1日平均1200万個にのぼりました。
EUはリールに新設する欧州関税当局とデータハブを軸に税関改革も進めており、新当局は2028年までに稼働する見込みです。越境直送から域内在庫へのシフトが進めば、配送日数や価格の見え方が変わり、欧州で販売する事業者の競争条件にも影響します。
ベトナム財務省、越境ECの急増を受けて輸入品の免税基準を1件10万ドンに引き下げる案

財務省は、越境ECの拡大に伴う不正利用を抑えるため、免税となる輸入品の価額基準を大幅に引き下げることを検討している。
english.luatvietnam.vnベトナム財務省は、輸出入税法の細則を定める政令案で、免税となる基準を1件あたり価額10万ドン(約3.8ドル)または納税額1万ドンへ大幅に引き下げる案を示しました。郵便や国際宅配を含むすべての経路に一律で適用する案です。現行では、郵便・宅配による輸入は価額100万ドンまたは輸入税10万ドンまで免税です。
背景には越境ECの拡大があります。同省の統計では2025年のEC小売市場は310億〜385億ドルで、2026年上半期も約19%の成長を続けました。同省は、高い免税基準は輸入品に国内品より不公平な優位を与え、荷物の分割や価額の過少申告で免税を狙う余地になっていると説明しています。
同省はインドネシア(3ドル以下のみ免税)やEUの3ユーロ課金、2028年7月の150ユーロ基準撤廃予定にも言及しました。ベトナムは2025年初めに宅配の低額品へのVAT免除をすでに廃止しており、低額越境品の優遇縮小は東南アジアでも広がりつつあります。
マレーシア小売チェーン協会、2027年度予算に越境ECの課金を国内並みにそろえるよう要望

マレーシア小売チェーン協会(MRCA)は、税収確保のため、低額商品への売上税の執行強化を含め、越境EC取引への政策を厳格化し課金を公平にするよう政府に提案した。
www.thestar.com.myマレーシア小売チェーン協会(MRCA)は、2027年度予算への要望として、越境EC取引への課金を国内事業者と同水準にそろえ、低額商品(LVG)に課す売上税の執行を強化するよう政府に求めました。
MRCAは、国内の実店舗小売が、無税や過少課税の状態で超低価格を打ち出す海外ECプラットフォームに比べて、コンプライアンス面で大きな負担の差を抱えていると主張しています。この構造的な不均衡が国内企業を脅かすだけでなく、国の税基盤を侵食しているという立場です。あわせて、ECプラットフォーム上の偽造品や粗悪品を抑える規制強化も要望しました。
2027年度予算案は10月9日にアンワル首相兼財務相が議会に提出する予定です。業界団体の要望段階ですが、EUやベトナムの動きと同じ日に並んだことで、低額越境ECへの優遇を見直す流れが地域をまたいで広がっている様子がうかがえます。
企業動向・提携
Amazon Bazaarがインドで顧客5倍、Tier2・Tier3都市は8倍に、本体アプリへの統合と紹介手数料ゼロで拡大、AI動画も開発中

Amazonのメインのマーケットプレイスはブランド品や高価格帯、Amazon Nowは即時・補充需要、Bazaarは価格を重視する買い物客を担う。
www.businesstoday.inインドの低価格EC「Amazon Bazaar」の責任者Sameer Lalwani氏はBusiness Todayの取材に対し、ローンチ以来、顧客数が5倍、出品者数と品ぞろえが3倍になり、Tier2・Tier3都市からの顧客は8倍に増えたと明らかにしました。取り扱いは3000万点超で、すべて500ルピー未満、約80%は300ルピー未満です。
成長の仕掛けは2つあります。1つは、別のストアフロントだったBazaarの商品をAmazonアプリ本体の検索結果やレコメンドに表示する統合です。もう1つは出品者側で、1000ルピー未満の商品の紹介手数料をゼロにした後、出品者登録が50%増えました。AIは、出品者が売れ筋の商品と価格帯を見つける支援や、リール型のAI生成ショッピング動画の開発に使われています。
Lalwani氏は、インドのECは分・時間・日単位の「速度レーン」に分かれていくと語りました。Bazaarのモデルはすでに15〜16か国に広がり、市場によってはAmazon Haulの名称で運営されています。
Allegro、物流・金融・広告のツールを出品者の自社ECにも開放へ、カテゴリ特化のUIも導入

Allegroは物流、金融、広告などのツールとサービスを、マーケットプレイスの外でも出品パートナーが使えるようにする計画だ。パートナーは自社のオンラインストアの売上拡大に活用できる。
ecommercenews.euポーランドのEC最大手Allegroは、ポズナンで初めて開いたカンファレンス「Allegro Open」で、物流・金融・広告などのツールとサービスを、マーケットプレイスの外にある出品者の自社ECサイトでも使えるようにする計画を発表しました。CEOのMarcin Kuśmierz氏は「欧州で最もパートナーに優しいEC企業を作る」と述べています。
もう1つの柱がプラットフォームのバーティカル化です。自動車部品や化粧品のようにカテゴリごとの特性に合わせてインターフェースと購入プロセスを変え、専門店のように買いやすくします。出品者保護プログラムや、外部アプリを使えるAllegro App Storeの開始も明らかにしました。
Allegroグループの上半期GMVは13.7%増、海外GMVは64.8%増です。春にはOpenAIとの提携も結んでいます。マーケットプレイスが自社の内側だけでなく出品者の販路全体を支える方向へ踏み出した点は、欧州の出品者にとって選択肢を広げる動きです。
越境EC向け貿易金融のQupitalがシリーズCで3億ドル調達、販売データを使うAI与信を拡大

香港拠点のQupitalがシリーズCで3億ドルを調達した。
alternativecreditinvestor.com越境EC事業者向けの貿易金融を手がける香港のフィンテックQupitalが、シリーズCで3億ドルを調達しました。オルタナティブ資産運用会社M Capitalが主導し、三菱UFJフィナンシャル・グループとQuester Capitalが資産担保証券(ABS)を通じた追加の資金拠出を確約しています。
Qupitalは、世界のマーケットプレイスで販売する事業者のリアルタイムの販売・運営データを使い、自動のリスクエンジンで審査します。これまでに処理した融資は累計95億ドルを超えました。新たな資金は中国、米国、日本、東南アジアでの融資能力の拡大に充てます。
共同創業者兼CEOのWinston Wong氏は「エージェンティックコマースとソーシャルECが世界の取引スピードを塗り替えている」と述べ、取引データを即座に与信へ変えることが今後の前提になると語りました。同社は12か月以内に利益率45%超を見込み、IPOや買収も検討しています。
決済・フィンテック
BPCEが加盟店決済部門「BPCE Merchant Services」を新設、Payplugを核に2030年までに仏加盟店の4社に1社を狙う

BPCEはPayplugとともにMerchant Servicesを立ち上げ、店舗、EC、オムニチャネルの決済を統合する。2030年までに加盟店の4社に1社を目指す。
www.ecommerce-nation.frフランスの銀行グループBPCEは9月14日、店舗・オンライン・オムニチャネルの決済事業を束ねる新部門「BPCE Merchant Services」を設立しました。BPCE Payment ServicesとPayplugから500人が集まり、インテグレーターや制作会社、決済オーケストレーター、POSソフト事業者、ECプラットフォームなど800を超えるパートナーと連携します。
現在はフランスの加盟店の5社に1社と取引しており、2030年までに4社に1社へ広げるのが目標です。2017年に買収したPayplugはブランドを残し、新組織の技術エンジンと営業の推進役を担います。BPCEグループの決済部門を率いるFrédéric Burtz氏が会長、Payplug共同創業者のAntoine Grimaud氏が統括を務めます。ECではサブスクリプション、トークン化、失敗した決済の再試行を、店舗ではスマートフォンを端末にするTap to Payを打ち出しています。
注目は、Web、店舗、SNS、そして将来はAIエージェント経由の支払いまでを1つの基盤で追えるようにするという構想です。口座間決済のWeroの展開も加速させます。既存のPayplug加盟店は契約・窓口・インターフェースが変わらないと明言されており、移行リスクを抑えながら機能を足していく方針です。
ヨルダンでValuと会話型ECのZbooniが提携、チャット経由の販売にBNPLを組み込む

この提携により、Zbooniのプラットフォーム上の加盟店や中小企業は、追加のインフラを開発することなく、コミュニケーションや会話型チャネルでの販売と顧客対応をデジタル化できる。
techafricanews.com中東・北アフリカ(MENA)のフィンテックValuのヨルダン法人と、中小企業向けの会話型ECプラットフォームZbooniのヨルダン法人が戦略提携を結びました。Zbooniに登録する1000超の加盟店は、Valuが承認する与信枠の範囲で、後払い(BNPL)を決済手段として顧客に提供できるようになります。
Zbooniは、メッセージアプリなどの会話チャネルでの販売、注文管理、決済受付をまとめて提供しています。同社はヨルダンでValuを決済手段として提供する最初のデジタルコマースプラットフォームになるとしており、エジプトで先行した協業モデルを持ち込む形です。
Valuは2026年5月にヨルダン中央銀行の最終承認を得て営業を始めたばかりです。チャットでの接客から後払いまでを追加開発なしでつなげる仕組みは、自社ECを持たない中小事業者が会話型コマースに参加する入り口になります。
物流・フルフィルメント
Amazon、米国のEC梱包でプラスチックを「伸びる紙」に置き換え、北米の単回使用プラスチック入り荷物は1年で28%減

Amazonは米国のEC業務でプラスチック梱包を置き換える新しい「伸長性のある紙」を開発した。
www.dcvelocity.comAmazonは、破れにくく伸縮性のある新しい紙「extensible paper」を、北米のEC梱包で本格的に使い始めたと明らかにしました。この紙は破れる前に5〜7%伸び、一般的なクラフト紙のおよそ2〜3倍の柔軟性があります。中身の形に沿ってなじみ、自動梱包機にもそのまま通せるのが特徴です。欧州では2021年から使っています。
強度の確認には、国際安全輸送協会(ISTA)と共同で作った試験工程を使います。90分のサイクルで17回の落下と2回の振動を加え、倉庫から玄関先までの台車、コンベア、トラック、航空機での扱いを再現します。
同社によると、2025年には世界の注文の11%を商品の元のパッケージのまま出荷し、北米では自動梱包機によってビニール袋2億8800万枚を削減しました。北米で単回使用プラスチックを使った荷物は1年で28%減っています。梱包材の見直しは、配送品質とコストに直結するフルフィルメントの設計課題でもあります。
小売がラストマイルの主導権を取り戻す、自社車両と外部キャリアを1つの配送網として運用

小売は物流テクノロジーを使って自社車両と外部キャリアを1つのネットワークとして管理し、キャリアの不調や配送計画の破綻時にも選択肢を持てるようにしている。
www.ecommercetimes.comE-Commerce Timesは、オンライン小売がフルフィルメントと配車の管理を自ら握り、ラストマイルを競争力とブランド価値の源泉とみなす動きを取り上げました。AI物流プラットフォームLocusの創業者Nishith Rastogi氏は、キャリアの容量不足やサービス水準の未達が起きても、配送を別の手段に振り替えられることが直接管理の利点だと説明しています。
5年前は大手以外にとって自前の配送網は現実的ではありませんでしたが、今は輸送テクノロジーが日々の判断の多くを自動化できるとRastogi氏は述べます。3PLやキャリアを使い続けつつ、どの荷物をどこに任せるかの判断を小売が持つという考え方です。同氏は、米国の買い物客の93%が、先回りの通知で配送遅延の不満が少なくとも一部和らぐと答えたデータも挙げました。
越境ECではLandmark Globalの調査も紹介されています。北米の消費者の69%は、関税や税金がチェックアウト時に前払いされていれば購入を完了しやすいと回答し、隠れたコストは43%の購入を思いとどまらせています。配送の確実性と総額の透明性は、チェックアウトで交わす約束の一部になっています。
消費者動向
McKinseyの北米食料品レポート、2025年の売上増は価格上昇が主因で数量は1%減、ECは46%の小売がすでに黒字

McKinseyのState of Groceryレポートによると、2025年の売上を押し上げたのは数量ではなく価格だった。プライベートブランドからAIまで、業界を変える7つの力を整理している。
theshelbyreport.comMcKinseyの「The State of Grocery North America 2026」の解説ウェビナーの内容をThe Shelby Reportが報じました。2025年の米国の食料品売上は1.2%増えましたが、価格が2.2%上がった一方で数量は1%減っており、ドルでは伸びても買われる点数は減った市場です。レポートは約5,000人の買い物客と40人超の食品小売の経営幹部への調査に基づき、価値、プライベートブランド、生鮮、ウェルネス、EC、リテールメディア、AIの7つの力で業界を整理しています。
数字で目を引くのはパーソナライズとECです。販促のうち完全にパーソナライズされたものの比率は、現在の35%から2〜3年で55%に高まる見込みで、レポートが引用したAntavoの2024年調査では、パーソナライズされたオファーを使うロイヤルティ会員の年間支出は使わない会員の4.3倍でした。ECでは宅配がオンライン注文の約3分の2を占め、46%の小売がECはすでに黒字と回答し、72%が2〜3年で店舗より収益性が高くなると予想しています。
一方で、2030年までにオンライン需要が既存と計画中のフルフィルメント能力を230億〜280億ドル上回る可能性も示されました。オンライン注文を受け止める物流側の備えが、食料品ECの伸びを左右する段階に入っています。
まとめ
本日は、エージェント経由の支払いを加盟店がどう受け入れるかという実務の層で動きが目立ちました。WorldlineはUCPに対する受け口を1回の設定で使えるようにし、BPCEも新部門の構想にエージェント取引を含めています。プロトコルの乱立が続くなかで、その差分を決済事業者が吸収する役割がはっきりしてきました。
同時に、Ecommpayが示した脆弱な消費者の数字は、チェックアウトの自動化が「誰にとって便利か」を問い直すものです。人へのエスカレーションややり直しの手段を設計に組み込めるかどうかが、信頼を得る条件になっていきます。
EC一般では、EUの課金後の荷物減少、ベトナムの政令案、マレーシアの業界要望と、低額越境品への優遇を見直す動きが並びました。今後はマレーシアの予算案提出(10月9日)に加え、EUで進む域内在庫への切り替えが配送条件や価格にどう表れるかに注目です。
